
JRA ダイワスカーレットの7番仔はまさかの「ウオッカ」似!? ライバル2頭の産駒が受け継いだ対極的な母の特徴
25日、東京競馬場で行われた石和特別(2勝クラス)は、1番人気に支持された田辺裕信騎手のダイワクンナナ(牝4、美浦・国枝栄厩舎)が人気に応えて優勝。前走の1勝クラスに続き連勝を決めた。
同馬は現役時代にウオッカと死闘を繰り広げた名牝ダイワスカーレットの7番仔。デビュー勝ちを収めた素質馬だったが、以降は思うような結果を出すことが出来ず、クラシック戦線に乗ることが出来なかった。その後も8連敗と低迷が続いたものの、デビュー戦以来となる久々の勝利を挙げたのが前走だった。
出遅れて最後方からのレースを強いられながらも、直線一気で前を行く全馬をゴボウ抜き。優れたスピードと類い稀なレースセンスで一世を風靡した母ダイワスカーレットとは、まるで逆をいくような破天荒な競馬を披露した。
そして再び1番人気に推された芝1800mの石和特別だったが、またしてもスタートで3馬身ほど出遅れ。10頭立てのレースとはいえ最後方からの追走となった。
開幕週の東京コースは晴天にも恵まれて絶好の馬場状態。1000m通過は1分1秒4のスローペースだったこともあり、最後の直線に入っても最後方のままだったダイワクンナナにとって決して楽な展開ではなかった。
ところが、エンジンが掛かってからの末脚は、前走の再現VTRでも見ているかのような豪脚を発揮。上がり3F最速33秒0の切れ味でまたしても全馬を撫で切って見せたのだった。
デビュー2戦での先行策からレースを重ねる度に、道中でのポジションを下げていったダイワクンナナ。連敗ストップだけでなく、連勝を決めた2戦がいずれも出遅れて最後方からの直線一気。上がり3F最速の連勝は素質の開花を予感させるのに十分なパフォーマンスだったといえる。
そこで思い出されるのは母であるダイワスカーレットよりも、東京の長い直線で豪脚を炸裂させたライバルのウオッカだ。2007年の日本ダービーを制し、64年ぶりに牝馬のダービー馬となったウオッカは、2頭の最後の戦いとなった08年の天皇賞・秋(G1)では2cm差の激闘を演じた。
繁殖入り後のウオッカはタニノアーバンシーやタニノフランケルなどを出したが、鋭い末脚を持つ母ウオッカとは逆に、いずれも逃げ先行を武器とした産駒。こちらもダイワスカーレットとダイワクンナナ同様に、母と仔で対極的な戦法を得意としている馬だった。
そう考えると逃げ先行が得意戦法だったダイワスカーレットが、ウオッカのような豪脚を持つダイワクンナナを出したこともまた不思議な話である。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
PICK UP
Ranking
5:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
アドマイヤ軍団が「G1・45連敗」武豊と絶縁し「40億円」と引換えに日本競馬界フィクサーの”逆鱗”に触れた凋落の真相?
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 春のG1戦線に水を差す「醜聞」続く…現役騎手の父に詐欺容疑、G1馬オーナーが逮捕
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 有馬記念に続き東京大賞典も「記憶力」が決め手…最強フォーエバーヤングから絞りに絞った2点で勝負!
- JRA池添謙一「2度結婚」「DV不倫」よりも紆余曲折の騎手人生。オルフェーヴル三冠→外国人で凱旋門賞、勝負強さは当代随一だが……
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
関連記事
JRA 「岩田康誠からの卒業」を印象付けた古川吉洋の決定的な言葉とは。マイラーズC(G2)ケイデンスコール代打成功で「騎乗停止」の主戦は立場なし!?
JRA 川田将雅、相棒ダノンスマッシュ香港惨敗に内心ソワソワ!? 世界のL.デットーリ「×」→R.ムーア「◎」→J.モレイラ「?」の心は
JRAとプロ野球とJリーグが連動!? フローラS(G2)14番人気スライリー2着激走で広島打線大爆発!? 3つの「ウェリントン」が大混乱……
JRA【青葉賞(G2)展望】世代屈指の「豪脚」持ち主ワンダフルタウンVS「ラストイヤー」藤沢調教師の秘蔵っ子!
JRA【天皇賞・春(G1)展望】コントレイル世代のディープボンドVSアリストテレスが一騎打ち! 27年ぶり阪神開催は大混戦★上位人気馬予想オッズ付き★