
JRA種牡馬引退ハーツクライの残した「超良血」が雪辱を果たす!? 宝塚記念(G1)ワンツーフィニッシュの「激走サイン」から浮上する狙い馬
数々の名馬をターフに送り出してきたハーツクライが種牡馬を引退していたことが21日、明らかになった。
同馬は2019年の年度代表馬リスグラシューをはじめ、これまでジャスタウェイやワンアンドオンリーなど多くのG1馬を輩出。今年度の種付けは行っていなかったため、今年に産まれた当歳馬がラストクロップとなる。
今週、阪神競馬場で行われる宝塚記念(G1)だが、このレースには現役時代のハーツクライも参戦。そのポテンシャルを再認識させられるレースだった。
2004年の日本ダービー(G1)でキングカメハメハの2着となったハーツクライだったが、その後のG1レースでは菊花賞7着、ジャパンC10着、有馬記念9着と不振が続き、年明けの初戦となった大阪杯(G2・現G1)では最後方から追い込むも2着と惜敗。続く天皇賞・春(G1)でも5着と敗れ、宝塚記念では前年の覇者タップダンスシチー、前年の秋古馬G1三冠馬ゼンノロブロイから大きく離された、単勝18.3倍の3番人気だった。
当時のハーツクライは完全な追い込み馬で、宝塚記念も後方3番手からの競馬。逃げと見られていたタップダンスシチーが4番手に控えたことで、コスモバルクがハナを奪ったレースは平均ペースで進んだ。
4コーナー手前で早くもタップダンスシチーが先頭に立ち、その後ろから虎視眈々と窺うリンカーン、ゼンノロブロイらも続いて最後の直線へ。
伸びを欠いた上位人気馬を外から一気に交わしたスイープトウショウの完勝かと思われたが、唯一これに迫ったのがハーツクライだった。最後方に近い位置取りからスイープトウショウの上がり3ハロンを0.5秒も上回る末脚で追い詰めたが、結果は2着とクビの差で届かなかった。
その後、秋の天皇賞(G1)からC.ルメール騎手に乗り替わったハーツクライが、同年暮れの有馬記念で当時の無敗三冠馬であったディープインパクトを撃破したのは有名な話である。ハーツクライにとってはこれがG1初制覇であったが、晩成の血が完全に開花した瞬間だったといえるだろう。
その翌年にはアラブ首長国連邦に海外遠征し、ドバイシーマクラシック(G1)を圧勝。成績だけを見ればG1・2勝と物足りない感もあるが、キングカメハメハ世代の日本ダービー(G1)2着馬で、晩成であったことも考えれば、その能力は近年でも屈指の存在だったといえそうだ。
今週の競馬開催ではハーツクライ産駒が注目を集めそうだが、宝塚記念の裏にあたる東京ではパラダイスS(L)が行われる。
05年の宝塚記念で激戦を繰り広げた、ハーツクライとスイープトウショウ。その間に生まれたスイープセレリタスが出走するのも何かの縁だろう。
近4走で二桁着順が3回と結果は出ていないが、5走前に勝利したのが今回と同じ東京1400mの舞台。このコースは2勝3着1回と得意としているだけに、激走に期待したいところだ。
(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。
PICK UP
Ranking
5:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
宝塚記念(G1)団野大成「謎降板」に関西若手のエースが関係!? 武豊の不可解な登場と突然のフリー発表…関係者を激怒させた「素行不良」の舞台裏
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 未勝利ルーキーが「深刻理由」で乗鞍激減!?度重なる失態に師匠からはお灸、エージェントも契約解除の大ピンチ
- JRA「出禁」になったO.ペリエ「税金未払い」騒動!? L.デットーリ「コカイン使用」K.デザーモ「アルコール依存症」過去の”外国人騎手トラブル”に呆然……
- 【阪神C(G2)展望】武豊“マジック”でナムラクレア、ママコチャを破った重賞馬が待望の復帰戦! 短距離界の有馬記念に豪華メンバーが集結
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 天才の息子・福永祐一は何故「天才」と呼ばれないのか? 「漁夫の利」に集約されたシュヴァルグランでの「決意」に落胆
関連記事
岡田総帥の「忘れ形見」ウンがホッカイドウ競馬でついにデビュー! コスモバルク2世の呼び声高い期待馬の目標は日本ダービー制覇
JRAピンクカメハメハ「急性心不全」は騎手にとっても例外ではない!? トップジョッキーの「プロ意識」が呼び込む若手のチャンス、C.ルメールが北海道専門の裏事情
JRAカレンブーケドールに「シルバーコレクター」返上のチャンス!? 宝塚記念(G1)「初勝利」の歴史が善戦続きに終止符の期待、戸崎圭太はダノンキングリーの屈辱を晴らせるか
JRA宝塚記念(G1)クロノジェネシス「グランプリ3連覇」に黄色信号!? 待ち受ける「魔のドバイ帰り」、そして“怖い”福永祐一騎手の存在
JRA伝説の新馬戦再び!? 福永祐一「ダービー出れるわ」ゆくゆくは引退を発表した父の後継種牡馬にも……、「鉄板ニックス配合」の大物がベールを脱ぐ