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JRA「失地回復」狙うダノンザキッドに過酷な試練!? 捨てられたヴェロックスは都落ち、悩める川田将雅に「鞍上問題」も浮上?

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 昨年の最優秀2歳牡馬ダノンザキッド(牡3、栗東・安田隆行厩舎)が、岐路に立たされている。

 デビューから無傷の3連勝でホープフルS(G1)を制し、クラシックの主役といわれるまで上り詰めたが、断然人気に推された弥生賞(G2)で3着に完敗。巻き返しを期待された皐月賞(G1)で1番人気を裏切る15着と敗れると、日本ダービー(G1)を前に骨折が判明し、戦列離脱を余儀なくされた。

 春に精彩を欠いた2歳王者に対し、皐月賞(G1)はエフフォーリア、ダービーはシャフリヤールが勝利。既にエフフォーリアは菊花賞(G1)回避を表明し、シャフリヤールも参戦は明らかにされておらず、3歳牡馬クラシックの勢力図は瞬く間に群雄割拠の時代へと変わっていった。

 そんな状況下で骨折から復帰するダノンザキッド陣営が選択したのは、菊花賞を使わずにマイルから2000mを視野に入れたローテーション。始動戦に古馬が相手の富士S(G2)を予定していることが分かった。

 だが、今秋のG1戦線はダノンザキッドにとって、かなり過酷な戦いとなる可能性が高い。

 富士Sからのローテーションで選択肢に入るのは、国内だと秋の天皇賞(G1)かマイルCS(G1)の2つ。連闘になる天皇賞出走は考えにくく、マイルCS参戦が濃厚か。通常なら何の問題もないように感じられるが、ダノンザキッドは川田将雅騎手を主戦として起用しているダノックスの所有馬だ。

 ダノックスには今年の安田記念(G1)で女王グランアレグリアを破る金星を挙げたダノンキングリーがいるが、このとき手綱を取ったのは川田騎手だった。秋もマイル路線を使われるなら激突する可能性がある。

 ダノンザキッドは、ホープフルSを制しているとはいえ2歳G1。古馬の一線級相手に実績があるダノンキングリーに比べると見劣りは否めないだろう。

 富士Sで川田騎手とのコンビは濃厚だが、次走で鞍上問題が発生した場合に川田騎手が継続して騎乗するかは分からない。信頼を勝ち取るためにも、陣営が期待する以上の結果を残す必要にも迫られる。

 加えて、ダノンザキッドがジャスタウェイ産駒であることもまた懸念材料の一つ。

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 それは同じ父を持つヴェロックスの低迷である。2019年の牡馬クラシック三冠ですべて3着以内に入ったほどの実力馬だったが、暮れの有馬記念(G1)で8着に敗れると、年明けの小倉大賞典(G3)を単勝1.4倍の断然人気で9着と惨敗。以降は別馬のような凡走を繰り返している。

 ついには主戦を務めていた川田騎手とのコンビも解消し、袂を分かった前走のエプソムC(G3)で川田騎手が騎乗したファルコニアが3着。捨てられた格好のヴェロックスは4着に敗れ、リベンジは失敗に終わった。

 かつてG1の舞台で輝いたヴェロックスにとって、今週末の小倉記念(G3)に出走を予定していることは“都落ち”のような現状。失地回復を目論むダノンザキッドも、富士Sを凡走するようなことがあれば、他人事ではなくなるのかもしれない。

(文=高城陽)

<著者プロフィール>
 大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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