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田辺裕信「2歳新馬」お断り!? 未だ騎乗ゼロに隠された真意

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 7月半ばを迎え、たけなわとなった夏競馬。G1専門のライトファンがお休みする中、熱心な競馬ファンにとって、ある意味サマーシリーズよりも注目度が高いのが毎週の「新馬戦」である。

 来年のクラシック候補はもちろん、将来のダート王やマイル王候補などを狙うスケールの大きな馬たちをいち早くチェックするのも、夏競馬の醍醐味の1つと言えるだろう。

 無論、それは鞍上を務める騎手たちも同様だ。

 毎年のリーディング上位を占めるC.ルメール騎手や川田将雅騎手、福永祐一騎手などトップジョッキーたちの大きな稼ぎ場が新馬戦であり、今のうちに将来のパートナー候補を決めておくことが、後々の大レースの結果を大きく左右すると言っても過言ではないだろう。いわゆる「唾を付ける」ということだ。

 例えば、今や関東のトップジョッキーとなった若手のホープ横山武史騎手も、その名を全国に轟かせた最大のきっかけは、昨年の年度代表馬エフフォーリアとの出会いだった。

 一昨年の夏の札幌でデビューして以来、ずっと横山武騎手とコンビを組んでいるエフフォーリア。しかし、もしその時に横山武騎手が他のレースや馬を優先して本馬に騎乗していなければ、そこからのコンビ結成は至難の業だったはずだ。そういった意味では、運命的な出会いが騎手人生を大きく変えたともいえる。

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田辺裕信騎手 撮影:Ruriko.I

 だが、その一方でそんな“ビッグチャンス”新馬戦と一線を画しているトップジョッキーがいる。関東の田辺裕信騎手だ。

 6月から始まった今年の2歳新馬戦だが、実は田辺騎手はまだ1鞍も騎乗していない。無論、休養しているわけではなく、先週も3勝を挙げて福島の開催リーディング2位と至って好調だ。

「2歳新馬」騎乗ゼロに隠された真意

 しかし、その一方で新馬戦の騎乗は皆無。それどころか函館2歳S(G3)はもちろん、2歳未勝利戦にさえ一切騎乗しておらず、完全に2歳馬にノータッチという状況が続いている。新馬戦が騎手にとって大きなチャンスであることは先述した通りであり、それは当然田辺騎手も例外ではない。一体、どういうことなのだろうか。

「以前から独特の理論を持った変わり者で知られている田辺騎手ですが、日々の騎乗で最も気を付けていることがアクシデントなどで故障しないことだそうです。その点、2歳の新馬はまだ競馬が分かっていない馬も多く、落馬などのアクシデントに繋がりやすいことも確か。その分、新馬戦などで騎乗する騎手がレースを教える枠割を担っていますが、田辺騎手は極力キャリアの浅い2歳馬に騎乗することを避けているようです。

もちろん、騎手にとって新馬戦は名馬との出会いのチャンスですし、その後の乗鞍や成績にも大きく影響します。さらに先週の福島でも土日ともに新馬戦が2鞍(日曜は2歳未勝利もあって4鞍)あったように、それらの騎乗を放棄すれば、少なからず現時点での成績にも影響があります。

ただ、それでも田辺騎手本人は気分が乗らないそうで……。目先の成績よりも、長く楽しく競馬に乗り続けることを、何よりも優先して考えているそうです。“本気”になれば『すぐにでも関東のトップに立てる』と話す関係者も多いんですけどね(笑)」(競馬記者)

 例えば、この6月に約1年の休養を得て北村友一騎手が復帰後初勝利を飾ったが、昨年5月に落馬負傷した際に騎乗していたジャグリングは、まだキャリア3戦目の若い馬だった。無論、これはあくまで一例に過ぎないが、あえて若駒との距離を取ることで、落馬などのアクシデントによるリスクを回避するという考え方もあるということだ。

 実際に、田辺騎手とのコンビで今春の牡馬クラシックを沸かせ、秋の菊花賞(G1)でも有力視されているアスクビクターモアも、デビュー戦から手綱を取っていたわけではなく、3戦乗った戸崎圭太騎手からのバトンを受け取っている。

「なんというか、出世欲のようなものがないんですよね。騎乗すると決めたレースには全力を尽くしますし、時に田辺騎手ならではの天才的な騎乗も見せてくれるんですが、例えば2014年の安田記念(G1)のジャスタウェイの騎乗依頼を蹴ったのは、関係者の間では有名な話。別にそのレースに騎乗馬がいたわけでもないんですが、とにかく自分が納得しないと、どんな有力馬の依頼でも断るのが彼のスタイルなんです。昨年春のクラシックを戦ったタイトルホルダーも、秋にはあっさりと横山武騎手に乗り替わりましたが、本人は特にこだわっていなかったそうです。今では日本を代表する馬にまで成長しましたが、特に気にしてないと思いますよ」(別の記者)

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柴田善臣騎手

 記者曰く、そんな田辺騎手が敬愛しているのが、自身が断った2014年の安田記念で代わりにジャスタウェイを勝利に導いた柴田善臣騎手だという。

 JRAの現役最年長ジョッキーとして知られる柴田善騎手は、今年55歳のシーズンを迎えている大ベテランだ。この春にはこれまでの中央競馬の発展、畜産業の振興への貢献が認められ、JRA所属騎手としては初の黄綬褒章を受章。8月のワールドオールスタージョッキーズへの出場も決まった。

 近年は年間20勝程度と、無理せずマイペースの騎乗。同じく50代でも第一線で戦う武豊騎手とは異なる道を歩むジョッキーだが、多くのファンからご意見番、相談役と親しまれ、田辺騎手もそんな価値観に大きな魅力を感じているようだ。

 他のジョッキーらが繰り広げる激しい生存競争をよそに、あくまでマイペースを貫く田辺騎手。だが、現在も関東リーディング5位とその手腕に陰りはない。昨年は8月の新潟開催から本格的に2歳戦にも参戦しているが、果たして今年はいつ気分が乗るのか……。

 いずれにしても、秋や来年の大舞台でもその名を見たいジョッキーの1人だ。

(文=銀シャリ松岡)

<著者プロフィール>
 天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。

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