
G1・5勝の弟、圧勝で惜しまれる「幻」の怪物3歳牝馬
16日、福島競馬場で行われた10Rいわき特別(2勝クラス)は、単勝1.4倍の1番人気ホウオウルーレット(牡3歳、美浦・栗田徹厩舎)が優勝。1月の黒竹賞(3歳1勝クラス)以来、約半年ぶりとなる3勝目を挙げた。
「攻め馬では派手さはありませんでした。いつものパターンより揉まれるなど、いろいろ教え込む形で勝ってくれました。今後は重賞に向かうことになりますが、楽しみです」
ホウオウルーレットと初コンビを組んだ田辺裕信騎手はレース後にそうコメント。次走は来月のレパードS(G3)ということになりそうだ。
「いやー、それにしても強かったですね。古馬とは初対戦でしたが、このクラスでは器が違いました。実質トップハンデの54kgも全く関係なかったです。
これまで逃げ、先行で結果を残してきただけに、中団馬群を見る形になったときはどうなることかと思いましたよ。でも内々で砂を被りながらも、鞍上は落ち着いて外目にエスコートしていました。
4角手前でムチが入りましたが、直線を向いてからの脚色は1頭だけ違っていましたね。5馬身差の圧勝劇には『さすがG1・5勝馬の弟』という声が周りからも上がっていましたよ」(競馬記者)
この春、ホウオウルーレットを軽く退けた怪物牝馬が
ホウオウルーレットの兄は、昨年の東京大賞典(G1)4連覇の偉業を果たすなど、ダートG1を5勝しているオメガパフューム。そんな偉大な兄を持つホウオウルーレットもデビュー当初からダート路線での活躍が期待されていた。
昨年12月の2歳新馬を勝利したときには、鞍上の横山和生騎手が「古馬のような感じ」とコメント。デビューしたばかりの2歳馬には最大限の賛辞を送っていたのだが……。
ホウオウルーレットはその後、黒竹賞でデビュー2連勝を飾ったものの、伏竜S(OP)と青竜S(OP)で2連敗。重賞級とさえ言われた実力には疑問の声も上がり始めていたが、今回のパフォーマンスでそんな雑音もかき消したといえるだろう。
一方、そんなホウオウルーレットの勝利で、大いに株を上げた牝馬がいる。ホウオウルーレットが5着に敗れた3月の伏竜Sを制したデリカダ(牝3歳、栗東・吉田直弘厩舎)だ。
牝馬ながら480kgを超えるパワフルな馬体を持つデリカダ。伏竜Sでデビュー3連勝を飾ったが、その出走馬を改めて見ると、のちのち“伝説のレース”と呼ばれるかもしれないほどのメンバーが走っていた。
デリカダからクビ差の2着だったのはノットゥルノ、さらにアタマ差の3着にはペイシャエスが好走。先述した通り、ホウオウルーレットは5着だった。
「ノットゥルノとペイシャエスは、3歳ダート王を決めるジャパンダートダービー(G1)でワンツーを決めたばかりです。牝馬のデリカダはそんな2頭に先着していました。芝路線に比べて、パワーを要するダート路線は牝馬が不利といわれますが、デリカダなら牡馬に交じっても活躍できるかもしれません。1年ほど先の話にはなりますが……。
実はデリカダは6月の関東オークス(G2)に選出されていたのですが、レースへの調整過程で屈腱炎を発症してしまい、現在は長期休養中です。全治9か月以上と診断されているので、復帰は早くても来年の春以降になりそうです」(同)
無傷の3連勝を飾ったまま約1年間を棒に振ることになってしまったデリカダ。ただしレースには出走できずとも、その株は上昇の一途を辿っている。“伝説のレース”で相まみえたメンバーの今後にも注目していきたい。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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