JRA「16年ぶり」川田将雅が演じた大失態!? 「絶対に負けられない」単勝1.1倍を襲った3つの想定外にファンから怒りと諦めの声
12日、中山競馬場で行われた7Rの3歳上1勝クラスは、新人・永野猛蔵騎手が騎乗したアドマイヤチャチャが勝利した。
道中でハナに立ったフジマサディープを交わして先頭を奪うと、そのまま後続の追撃を凌いでの押し切り。13着に惨敗した前走から巻き返しに成功した。前の馬が止まりにくい開幕週の馬場を味方につけた永野騎手の好判断も光ったレースだった。
これに対し、絶対に落とせない一戦で失態を演じてしまったのが、川田将雅騎手とボーデン(牡3、美浦・岩戸孝樹厩舎)のコンビだ。
ボーデンは、1月30日に行われた東京の3歳未勝利(芝1800m)で、JRA未勝利戦史上最速と1分45秒2をマークした実力馬。2着に6馬身差をつける圧勝に加え、母系にエアグルーヴがいる血統的背景からクラシック候補ともいわれた逸材である。
スプリングS(G2)で3着に入るもその後、右後肢にフレグモーネを発症していることが判明し、登録していた皐月賞(G1)を回避。1番人気に推された前走のラジオNIKKEI賞(G3)で6着と敗れ、復活を期待されていた。
近走の敗戦は、重賞ということで情状酌量の余地もあっただけに、メンバーが一気に弱化した1勝クラスとなれば、1.1倍の断然人気を集めたのも無理はないだろう。
それだけに、“勝って当然”のレースを敗れてしまったことは、陣営としても大誤算だったに違いない。
14頭立て芝1600mのレース。ゲートが開いてすぐ、腰を落とすような格好でスタートしたボーデンは、後方4番手からの苦しい位置取りを強いられた。これには鞍上の川田騎手も後ろ過ぎると判断したのか、徐々にポジションを押し上げて中団まで進出する。
距離のロスが少ない内からスルスルと上がっていったボーデン。このまま最短距離でリカバリーしたいところだったが、ここで誤算があった。最終コーナーを待たずにバテたフジマサディープが下がり始め、ボーデンは進路変更を余儀なくなされたのだ。
これにより、追い出しがワンテンポ遅れたボーデンは懸命に追い上げを図ったものの、ようやくエンジンが掛かった頃には時すでに遅し。勝ち馬だけでなく、3着馬すら捉えられない4着での入線となった。
「まず一つは、スタートで後手を踏んだことが大きかったです。二つ目は、勝負所での進路変更。三つ目は、マイルへの距離短縮でしょうか。
ただ、本当に強い馬なら少々の不利は跳ねのけても勝ってしまうだけの力があります。結果的にボーデンは過剰人気だったというしかなさそうです」(競馬記者)
圧倒的1番人気の敗戦に、ネットの掲示板やSNSでは「なにやってるんだ!」「いや、これは馬が弱かった」など、一部のファンから川田騎手の騎乗を責める声や諦めの声も出ていたが、馬券圏内にも入れなかった走りに、“負けて強しだった”のかと問われると微妙なところ。
未勝利戦を除くと、JRAで単勝1.0~1.1倍の馬が4着以下に敗れたのは、2005年4月2日の阪神8R(4歳上500万下)アドマイヤレオンが6着に敗れて以来とのこと。今回の敗戦には、16年5ヶ月ぶりというオマケまでついた。
スパっと切れる脚も見られなかっただけに、ボーデンの次走はもう少し距離が長い方がいいのかもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
PICK UP
Ranking
23:30更新- オーギュストロダン回避で「逆輸入対決」は実現せず…武豊、坂井瑠星に注目集まる凱旋門賞
- 【シリウスS(G3)展望】フェブラリーS(G1)1番人気の大器オメガギネス登場!
- スピルバーグ、ラブリーデイが最後の勝利…天皇賞・秋の王道ステップに変化
- 横山典弘ピューロマジック「9秒9」超えた稀代の韋駄天? 超速レコード持ち主はデュランダルに大楽勝
- サイレンススズカ級は不在!混戦模様の毎日王冠はローシャムパークでもシックスペンスでもない“まさかの激走穴馬”急浮上!
- 「助手席に誰も乗っていない」「同乗者は制止不可能だった」謎多きJRAの説明…憶測飛び交う角田大河の函館コース侵入
- 【凱旋門賞(G1)展望】地元ソシエ&ルックドゥヴェガ有力も、日本のシンエンペラーに大きなチャンス
- JRA・G1「トレンド継続」で武豊らにチャンス到来!? 秋華賞(G1)有力馬に騎乗する今年G1未勝利ジョッキーは?
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 藤田伸二「酷いレース」のマリーンCにブチ切れ?「何を学んできたのか不思議だわ!」田口貫太に不満爆発
関連記事
JRA【ローズS(G2)展望】調教「5馬身遅れ」もC.ルメール2戦2勝クールキャットが中心!? 姉デゼルの無念を……川田将雅オヌールにもチャンスあり
JRA 良血馬「ノーステッキ」で圧巻の勝ち上がり!「これから成長してくれれば」晩成傾向ハービンジャー産駒に川田将雅も期待する存在とは?
JRA「内枠先行有利」の中山は横山武史の独壇場!? 中京は福永祐一VS川田将雅の争い……芝はノーザンファームが席巻か【秋競馬攻略のポイント】
JRA川田将雅「海外遠征」では屈辱の歴史!? 日本ダービー制覇も「次走」乗り替わり、“オマケ”で凱旋門賞挑戦もC.ルメールから叱責……
JRA川田将雅「多くの方にご迷惑をお掛けするが……」熱く語った米国遠征の理由。2週間隔離でエリザベス女王杯(G1)レイパパレ蹴ってでも叶えたい夢