JRAレイパパレ「挫折」に深刻理由!? 川田将雅「早めに動かされた」M.デムーロ奇襲でプラン崩壊、秋G1で立ちはだかった最重要課題
26日、中山競馬場で開催されたオールカマー(G2)は、横山武史騎手の2番人気ウインマリリンが優勝。5着に敗れた春の天皇賞(G1)以来の復帰戦で白星発進を決めた。
約5ヶ月ぶりの休み明けで、馬体重は前走から14キロ増も成長分だったか。450キロ台で走っていた昨年に比べて充実ぶりが伝わってくる。1番人気タイトルホルダーに騎乗したセントライト記念(G2)を、13着と人気を裏切った横山武騎手にとっても嬉しい勝利となった。
そんなウインマリリンに対し、単勝オッズ2.1倍と抜けた1番人気の支持を受けながら4着に敗れたのが、川田将雅騎手のレイパパレ(牝4、栗東・高野友和厩舎)だ。
「前走より具合も雰囲気も良く、道中我慢してくれました。ただ、早めに動かされた分、ゴール前で苦しくなってしまいました」
川田騎手がレース後のコメントで振り返った大本命馬の敗因。誤算となったのは、3~4コーナーに掛けて外からマクっていったM.デムーロ騎手とグローリーヴェイズの奇襲だろう。
16頭立て芝2200mのレース。大方の予想通り、ロザムールが逃げる展開でレイパパレは2番手からの追走。最後の直線で前の馬を交わして先頭を奪うのが、これまでの勝ちパターンだった。
だが、グローリーヴェイズが早めに上がったため、これに伴って後続の追い上げがワンテンポ早くなる。川田騎手としては、自分のタイミングで仕掛けたいところだったが、自ら動かざるを得ない展開になってしまった。
「結果的に早仕掛けすることになったのが、最後の直線で踏ん張り切れなかった理由でしょうか。本来なら二段ロケットで差を広げたいところを、1ハロン早いタイミングで脚を使わされたことも響いてか息切れしました。
ただ、この敗戦を“負けて強し”と評していいのかは疑問が残ります。直線で叩き合ったグローリーヴェイズにも競り負けましたし、レイパパレが壁になって追い出しが遅れたウインマリリンだけでなく、さらに後ろのウインキートスにも後れを取りました。
冷静に振り返れば負けるべくして負けたといった方がしっくりくる感じです」(競馬記者)
立ちはだかったのは、あと1ハロンの壁である。
マイルでデビューして徐々に距離を伸ばしていたレイパパレ。コントレイルやグランアレグリアらの強敵相手に4馬身差の圧勝を飾った大阪杯(G1)だが、前の馬が残りやすかった馬場状態とノーマークに近い逃げに助けられたという声も少なくなかった。
そして、良馬場で距離が1ハロン延びた宝塚記念(G1)は、真価を問われるレースだったものの、クロノジェネシス相手にあっさり突き放される完敗。秋のG1戦線で主役を演じるためには、どうしても勝っておきたかったオールカマーだけに、この敗戦は深刻かもしれない。
「これまではどちらかといえば挑戦者の立場でしたが、マークされると脆さを見せたのは気掛かりです。10キロ増えたとはいえ、442キロで出走したように小柄な馬。G1馬ということで56キロを背負ったことも影響したでしょう。
中山はゴール前に急坂もあり、距離も敗れた宝塚記念と同じ芝2200m。厳しい展開とはいえ、G1馬なら踏ん張って欲しかったです」(同)
そこで気になるのが、芝2200mで連敗したレイパパレの次走である。秋の天皇賞(G1)は大阪杯と同じ芝2000mだが、グランアレグリアやコントレイルなど強力メンバーが出走を予定。エリザベス女王杯(G1)なら牝馬が相手となるが、距離は再び芝2200m。いずれにしてもあと「1ハロンの壁」は、今後も立ちはだかる課題となるりそうだ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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