JRA C.ルメール、武豊と「立場逆転」で踏んだり蹴ったり!? 「コロナが憎い」クロノジェネシス断念も二転三転で泣きっ面にハチ
「乗れば勝つ自信があります。コロナが憎いです」
先日掲載された『デイリースポーツ』のインタビューにそう答えたのは、C.ルメール騎手だ。“思い人”は、自身とのコンビで春の宝塚記念(G1)を圧勝し、日本競馬を代表して凱旋門賞(G1)に挑むクロノジェネシス。記事には帰国後は2週間の隔離(当時)となるため、渡仏を断念したとある。
言い換えれば、遠征+隔離期間によって、日本のビッグレースに騎乗できないということ。引く手数多のルメール騎手だからこその悩みだが、具体的には今週末のスプリンターズS(G1)や、再来週の秋華賞(G1)といったところが代表的な騎乗不可のレースとなっていた。
中でも、ルメール騎手を思い留まらせたのは、春に「3歳No.2牝馬」として日本ダービー(G1)にも挑戦したサトノレイナスの存在だろう。
ぶっつけ本番の秋華賞直行を発表した際は、管理する国枝栄調教師も「何とかタイトルを一つ獲らせたい」と語るほどの逸材であり、ルメール騎手も将来的にはアーモンドアイやグランアレグリアといった、自身が主戦を務めた歴史的名牝に続いてほしいという思いがあったはずだ。
「デビュー戦で単勝1.4倍と育成期から評価の高かったサトノレイナスですが、ルメール騎手がここまで全5戦すべてで騎乗しているように、その期待は相当なもの。
スプリンターズS(G1)のレシステンシアとのコンビが決まったのは、ルメール騎手が凱旋門賞でクロノジェネシスに騎乗しないことが発表された後でしたし、やはりルメール騎手が凱旋門賞挑戦を断念したのは、サトノレイナスの存在が大きかったと思います」(競馬記者)
しかし、そのサトノレイナスが骨折してしまったことで状況が一変する。このコンビで打倒女王ソダシ、そしてラスト一冠奪取を誓っていたルメール騎手からすれば、一気にテンションが下がっても不思議ではない。
実際に9月、どこまで影響があったのかは定かではないが、サトノレイナスの“悲報”が舞い込んだ数時間後、ルメール騎手は秋華賞トライアルの紫苑S(G3)で1番人気のエクランドールに騎乗したものの17着に大敗している。
その後、その紫苑Sを勝ったファインルージュの騎乗が舞い込む辺りが、ルメール騎手が不動のトップジョッキーたる所以だが、10月になってまたも状況が変わった。
「新型コロナウイルス感染拡大の緩和に伴って、10月1日から(凱旋門賞が開催される)フランスから帰国した際の隔離期間が14日間から10日間に短縮されました。
これによって、(凱旋門賞で騎乗する)武豊騎手は『秋華賞に騎乗できそうです』と喜んでいましたが、逆に秋華賞に騎乗するために凱旋門賞を断念したようなルメール騎手にとっては思うところもあったでしょうね。
仕方ないことですが、状況が二転三転してルメール騎手にとっては、泣きっ面にハチのような結果になってしまいました。インタビューにあった『コロナが憎い』は紛れもない本音だと思います……」(同)
ルメール騎手にとって、母国の凱旋門賞は「日本馬で勝てたら引退してもいい」と公言するほど思い入れのあるレースだ。今回、クロノジェネシスに騎乗できなかったことは本人に悔しさが募るばかりだろうが、日本の大レースでその鬱憤を晴らすような爆発を期待したい。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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