JRA「未完の大器」サトノダイヤモンドの全弟が電撃“種牡馬”入り!実績微妙も……種牡馬になれた理由と第二の“シルバーステート”になれる可能性
3連勝で秋の飛躍を期待されていた良血馬サトノジェネシス(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)が、9月29日に競走馬登録を抹消したことが明らかとなった。
現役を退いたサトノジェネシスは、今月4日に北海道新冠町の優駿スタリオンステーションへ移動。優駿スタリオンステーションはエスポワールシチーやホッコータルマエなどの種牡馬を繋養している牧場で、サトノジェネシスも今後種牡馬となる見込みだ。
サトノジェネシスは父ディープインパクト、母マルペンサという血統。全兄に16年有馬記念(G1)などを制し、人気アプリゲーム『ウマ娘』にも登場するサトノダイヤモンドがいる良血馬だ。
ここで気になってくるのが、G1勝ちの実績があるわけでもないサトノジェネシスがなぜ種牡馬入りできたのかという理由である。同馬の生涯成績は4戦3勝で、重賞未勝利どころか重賞への出走すらない。字面だけの戦績から種牡馬にしたとは考えにくい。
また、兄のサトノダイヤモンドは19年に種牡馬デビュー以来、3年連続で140頭前後に種付けを行っているが、産駒が未デビューであるため、成功するかどうかは未知数だ。弟のサトノジェネシスは全弟ということもあり、代替種牡馬が今すぐ必要というわけではない状況だが……。
「サトノダイヤモンド産駒はまだデビューしていないため、まだ何とも言えない部分は多々あります。ただ、馬産地からの評判は高いようですよ」(競馬誌ライター)
繋養する社台スタリオンステーションの関係者は、日刊スポーツの取材で、「当歳時からすばらしい馬体を誇っていた父同様、産駒も似たような要素を受け継いでおり、かっこいい馬ばかりです」と、回答しており、成功しそうな雰囲気もある。
また、『Web Sportiva』のインタビューにて、競走馬クラブ法人スタッフからも「サトノダイヤモンドは総じて産駒の出来がいいですね。クラシックディスタンス向きで期待しています」と、上々の評価を受けていただけに、信憑性が高そうだ。
「欧州では大種牡馬サドラーズウェルズの全弟フェアリーキングが未勝利ながら種牡馬入りし、エリシオやファルブラヴといった活躍馬を輩出した例もあります。
サドラーズウェルズを引き合いに出すのは、少々無理があるかもしれませんが、サトノダイヤモンド産駒の活躍を見越して、サトノジェネシスを種牡馬入りさせたのかもしれませんね」(同)
一方で別の競馬誌ライターは、サトノジェネシスが「未完の大器」という印象を残していることが種牡馬入りさせたのではないかと言う。
「サトノジェネシスはデビュー戦こそ敗れましたが、当時の鞍上だったJ.モレイラ騎手は『高いポテンシャルを持っているのは間違いない』と、コメントしていました。
2戦目に騎乗し初勝利に導いたR.ムーア騎手も『凄くいい馬ですね。これからが楽しみな馬です』と、絶賛していました。
4戦全て異なる騎手が騎乗しましたが、全員が口を揃えて『いい馬』・『ポテンシャルは高い』と、評価しています。そして、その4名とも数多の名馬の背中を知る名手と言われた騎手です。ですから戦績こそ目立ちませんが、競走馬としては非常に高い潜在能力があったと思われます。
競走馬としては目立った実績がなかったにもかかわらず、ポテンシャルの高さを評価されて種牡馬入りしたディープインパクト産駒という点では、シルバーステートと似ています。産駒の活躍次第では『シルバーステート二世』になるかもしれませんね」(競馬誌ライター)
3戦目に騎乗しサトノダイヤモンドの主戦騎手と知られるC.ルメール騎手は「フットワークや長くいい脚が使えるところは(サトノダイヤモンドと)似ている」と、サトノジェネシスが兄と似ていることをアピールしている。
残念ながら屈腱炎といった度重なる脚部不安により、兄と同じG1などの大レースを走ることは叶わなかったが、人々から兄と姿を重ねることが多かったサトノジェネシス。自身が叶えられなかったG1馬になる夢を、産駒が叶えてくれることに期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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