JRAジャパンC(G1)芝未勝利でも「ジャマ」と侮るなかれ、藤沢和雄師が送り込む刺客にヨシオ再来の声!?
28日、東京競馬場では第41回ジャパンC(G1)が行われる。今年はコントレイル、シャフリヤールなどG1馬は9頭に上り、出走する18頭中17頭が重賞勝ち馬という非常に楽しみなメンバー構成となった。
そんななか、唯一の重賞未勝利馬として出走するのが、前走で3勝クラスを勝ち上がったばかりのウインドジャマー(セン4歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。同馬は重賞未勝利というだけでなく、なんとこれがオープン初出走でもある。
そんなウインドジャマーを世界も注目する大舞台に送り込むのは来年2月に定年引退を迎える藤沢和師だ。
先週のマイルCS(G1)をグランアレグリアで制し、G1通算34勝目を飾った名伯楽にとって、もちろん最後のジャパンC。引退直前のフェブラリーSまでG1レースはジャパンCを入れてあと7つ残っているが、師にとってこれがラストG1となる可能性もある。
実績的に苦戦は免れないが、運も味方にウインドジャマーは少しでも上の着順を狙っている。
「もともとウインドジャマーは除外対象でしたが、カレンブーケドールの回避によって、繰り上がりで出走が可能となりました。次点のゴーフォザサミットも藤沢和師の管理馬なので、青葉賞(G2)勝ちの実績があるこちらを出走させる選択肢もあったと思います。それでもウインドジャマーでの参戦を決めたということは、上位に食い込むチャンスありと考えているのかもしれません」(競馬誌ライター)
師はこれまでジャパンCに述べ21頭を出走させ、2004年にはゼンノロブロイで勝利を収めている。さらに2着1回、3着も5回を数え、複勝率は33.3%に上る。15年には準オープンを勝ったばかりのジャングルクルーズで挑み、17番人気で4着と好走。藤沢和師にとっては得意レースの一つと言えるだろう。
藤沢和師は『スポーツ報知』の取材に、「去勢してからずいぶんと良くなった馬だからね」と3歳春に施したウインドジャマーの去勢効果に言及。「さすがに相手は強いけど、上昇度はある」と、挑戦者としての意気込みを語っている。
明らかに格下の立場で臨むジャパンCとなるが、実はウインドジャマーは全4勝をダートで挙げているダート馬。芝ではデビューから10戦して未勝利だ。芝でも善戦はしていたが、才能を開花させたのはダート転向後。初勝利から約1年3か月でオープン入りを果たした。
そんなウインドジャマーと少し似た境遇の馬が昨年のジャパンCに出走したことを覚えているだろうか。同じく芝未勝利でG1初挑戦を果たしたヨシオである。
それまでダートの交流重賞などでは活躍していたが、無名の7歳馬の挑戦にファンから“珍客”扱いされたことは記憶に新しい。陣営が逃げ宣言をして迎えたレースでは外枠からキセキを煽って、大逃げを演出。自身は道中ついていけず早々と後退し、大差の最下位に敗れた。
さらにヨシオは翌週のチャンピオンC(G1)にも連闘で出走し、今度は1番人気クリソベリルに真っ向勝負を挑んだ。結果的にまたしても最下位に敗れはしたが、その存在感はファンの脳裏に十分焼き付いたことだろう。
「ヨシオのジャパンC、そしてチャンピオンズC出走は大きな話題となりましたが、どちらも最下位に敗れました。無謀とも思える挑戦に一部のファンからは邪魔者扱いされたことも事実です。しかし、G1に果敢に挑戦したことで人気に火がつき、アイドルホースとしてぬいぐるみまで制作されました。
ウインドジャマーの方はまだ4歳で本格化後はダートしか走っていません。芝では未勝利ですが、2歳時にブラックホールの2着やウインキートスの4着もあるので、芝適性が全くないわけではないはずです」(同)
藤沢和師最後のジャパンCでウインドジャマーは“爪痕”を残すことはできるか。その走りに注目だ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。
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