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JRAジャパンカップ(G1)「カレー粉」入り飼葉と噂された猛者も? 40年前、第1回に参加した異色の刺客たち

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 28日、東京競馬場で行われるジャパンC(G1)は、今年で第41回を迎える。この開催数の通り、第1回は今からちょうど40年前の1981年11月22日に開催された。当時は今とは違う意味で“超”個性的な馬たちが、はるばる日本までやってきた。

 記念すべき第1回ジャパンCに参戦した外国馬は、アメリカ、カナダ、インド、トルコの4カ国から8頭が来日した。なかでもトルコからやってきたデルシムは、71年の皐月賞とダービー(共にG1)を制した二冠馬になぞらえ、当時のマスコミから「トルコのヒカルイマイ」というニックネームを授かるも、来日後に故障発生。出走せず帰国した同馬の実力は、最後まで謎に包まれたままだった。

 もう一頭のアジア勢、“インドの最強馬”の触れ込みで「インドのシンザン」と紹介されたオウンオピニオンも当初、その実力は謎に包まれていた。額にはインド人よろしく、宝石のルビーが埋め込まれていたという実力馬は、インドで40戦出走して27勝、2着8回、3着2回の好成績を引っ提げて来日。

 かつてイギリスの支配下に置かれたインドの競馬の歴史は古く、アジアで最初に近代競馬が行われたといわれる国からやってきた“刺客”は、2013年11月18日に配信されたデイリースポーツの記事によると「象と併せ馬していた」といった話や「ターバンを巻いた厩務員が、飼葉にカレー粉を混ぜている」といった噂話が流れ、母国語しか話せない厩務員も、日本のマスコミに対して同馬の成績「40、27、8、2」という数字を砂の上に書いて強さをアピール。自信満々でレースに挑んだと記されている。

 しかしジャパンCの2週間前に行われた前哨戦のレースでは、まさかの殿(しんがり)負け。障害馬のジョーアルバトロスにも大差をつけられ、7頭立ての最下位に沈んだレース後、その厩務員はうなだれたままだったという。

 北米からやってきた馬たちもまた、当時の日本の競馬界にある意味で衝撃を与えた。カナダの1頭を除き、北米勢が来日したのはなんと本番のわずか10日前。オウンオピニオンのように前哨戦は使わず、その調教方法はレース週の水曜日か木曜日に追い切っただけ。「脱水症状で体調不十分」など、ここでもまた噂話が流れた。

 ところが肝心のレース結果は、脱水症状が囁かれたアメリカの牝馬メアジードーツが優勝。当時のコースレコードを0秒5も上回る圧勝劇を見せた同馬から上位4頭を外国勢が占めるなど、結果だけみれば“世界の壁”は厚かった。

 一方で過去15年のジャパンCを振り返れば、優勝馬は全て日本勢。“地の利”を生かした近年の「日本馬有利」は周知の事実で、「世界に通用する強い馬作り」を提唱して創設された当初の目標は、達成されたともいえる。

 だがその背景には、残念ながら出走できずに帰国したデルシムや、第1回ジャパンCでは13着に終わったオウンオピニオンらの挑戦者がいたからこそ、現在までの歴史が積み重ねられたことも事実。過去のチャレンジャーたちはもちろん、今年のジャパンCに参戦する全ての外国馬にも最大限の敬意を払い、全馬無事に完走して帰国の途に着くことを願いたい。

(文=鈴木TKO)

<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。

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