JRAジャパンC(G1)「大穴」は忘れた頃にやってくる!? 「単勝万馬券」級の衝撃再び、テイエムオペラオーを撃破した東京巧者の血
28日、東京の芝2400mを舞台に開催される第41回ジャパンC(G1)。いまからちょうど20年前の2001年に行われた同レースは、O.ペリエ騎手が騎乗した同年のダービー馬ジャングルポケットが、大本命テイエムオペラオーを破って優勝。競馬場に“ペリエコール”がこだましてから早くも20年の月日が経とうとしている。
引退後は種牡馬として活躍馬を送り出していたジャングルポケットだったが、今年3月に繋養先である北海道日高町のブリーダーズスタリオンステーションにて惜しくもこの世を去った。23歳だった。
遺された産駒のなかから父仔制覇を目指すべく、今週のジャパンCへと駒を進めるのが、天皇賞・秋(G1)で4着に好走したサンレイポケット(牡6歳、栗東・高橋義忠厩舎)だ。
前走の秋の天皇賞は、G1初挑戦ながらエフフォーリア、コントレイル、グランアレグリアの三強に最後まで食い下がる大健闘。乗っていた鮫島克駿騎手もレース後、「ベストか、それ以上の競馬ができた」というこれ以上ないほどのコメントを残した。
その後は短期放牧へと出され、栗東に帰厩したのが今月12日。24日に坂路で最終追い切りが行われ、本番でもコンビを組む鮫島駿騎手を背に併せ馬で先着を果たしている。管理する高橋義厩舎の西加助手は、「帰厩後はカイ食いも良く、ピリピリせずにやれている。いい状態で出せそう」と『東スポ』の取材にコメントしていることからも、状態は高い位置でキープされていると見てよさそうだ。
とはいえ、5月に新潟大賞典(G3)を勝ってはいるが、現時点ではまだG3・1勝馬である。前走も4着とはいえ三強とはやや差があった。実績的に見ればG1で圏内に入るにはもうワンパンチ必要と思われるかもしれない。
だが、そこは父ジャングルポケットの血が後押しをしてくれそうだ。
同馬の産駒はジャパンCで勝ちこそないものの、09年の同レースでオウケンブルースリがウオッカのハナ差2着に激走。またジャガーメイルと13年のトーセンジョーダンは単勝万馬券でありながら3着に入り、波乱を演出している。ジャングルポケット自身がテイエムオペラオーをねじ伏せているように、東京の鬼といわれたトニービンの血が騒ぐのだろう。
上記の馬たちは全て天皇賞・秋をステップにジャパンCへと参戦していることも共通点。同じ父を持つサンレイポケットにとっては非常に心強いデータとなりそうだ。
また、同馬はこれまで2000m前後を中心に使われてきたが、血統的には3代母にはステイヤーズS(G2)で2着に入ったアドマイヤラピスを持ち、近親には日経賞(G2)や日経新春杯(G2)を勝ったアドマイヤデウスがいる。父も芝2400mのG1を2勝しており、血統的にはむしろ大歓迎の可能性もある。
実際に昨年6月には、芝2400mで行われたジューンS(3勝クラス)を快勝。不良馬場のタフなコンディションの中で後方から差し切った競馬は、よほどのスタミナと距離適性を内包していなければとてもできない芸当だった。
同年のアルゼンチン共和国杯(G2)では6着に敗れたが、これは直線で荒れたインを通って伸びあぐねてのもの。それを考えればよく6着に食らいついたといってもいいだろう。
競馬の世界には昔から「死んだ種牡馬の仔は走る」という格言がある。今年1月に亡くなったクロフネの産駒ソダシは無敗で桜花賞(G1)を制し、8月に早逝したドゥラメンテの仔タイトルホルダーは見事に菊の戴冠を勝ち取った。
20年前に力強い走りで我々ファンを沸かせてくれた、父ジャングルポケットを弔うような好走に期待したいところだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。
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