JRAオーソクレースAJCC(G2)始動も、約50年にわたる“呪い”の魔の手!? 昨年「コントレイルと互角」アリストテレスも味わった負のジンクスとは
昨年の菊花賞(G1)で2着したオーソクレース(牡4歳、美浦・久保田貴士厩舎)が、23日のAJCC(G2)から2022年の始動戦を迎える。C.ルメール騎手としても今年、非常に期待しているお手馬の1頭と言えるだろう。
母マリアライトは4歳秋のエリザベス女王杯(G1)で初のG1制覇を飾り、翌年の宝塚記念(G1)も制覇。一線級の牡馬と互角以上の戦いを演じ、2016年の最優秀4歳以上牝馬にも輝いた女傑だ。
さらには、父エピファネイアも4歳秋のジャパンC(G1)を4馬身差で圧勝した菊花賞馬。超一流の血統背景からは豊富な成長力が感じられ、すでにホープフルS(G1)2着の実績があるオーソクレースだが、4歳を迎える今年は大きな飛躍が期待されるシーズンになる。
ルメール騎手には、昨年のジャパンCで2着したオーソリティという強力なお手馬もいるが、こちらは“東京専用機”という印象が強く、活躍の場が限定されている印象だ。東京のG1開催がない春の古馬王道路線においては、本馬よりもオーソクレースが「切り札」になるのではないだろうか。
ただ、そんなオーソクレースには、約50年にわたる“菊花賞2着馬の呪い”が掛かっているという。
「実は春の牡馬クラシック(皐月賞、日本ダービー)で連対以上の実績がない『菊花賞2着馬』は、ずっとG1を勝ててないんですよ。
昔から『強い馬』が勝つという格言通り、勝ち馬がその後の競馬界を席巻するケースも珍しくないのが菊花賞。近年でもコントレイルやエピファネイア、ゴールドシップなどが活躍しましたし、ワールドプレミア、フィエールマン、キタサンブラックといったところは春の二冠で連対していなくとも、古馬になってG1を勝っています。
しかし、その一方で2着馬はさっぱりで……。菊花賞にグレード制が導入された1984年以降、唯一古馬になってG1を勝ったレインボーライン(天皇賞・春)は、NHKマイル(G1)3着という実績がありました」(競馬記者)
記者が話す通り、歴代の菊花賞2着馬の中でも、スペシャルウィークやテイエムオペラオー、リアルスティールといった春の二冠で連対実績のあった馬たちは、その後も大きく飛躍を遂げている。
しかし、逆に春の二冠で連対がなかった菊花賞2着馬は、その後に大きな期待を背負いながらもG1の壁に泣いている。スダホーク、ホワイトストーン、ステージチャンプ、リンカーン、アドマイヤジャパン、サウンズオブアース、エタリオウなどなど……応援し続けながらもG1で悔しい思いをしたことを記憶しているファンも少なくないのではないだろうか。
特に記憶に新しいのは、一昨年の菊花賞2着馬アリストテレスだろう。
まだ2勝クラスを勝ち上がったばかりの存在だったが、ルメール騎手が騎乗することもあって4番人気に推されたアリストテレス。レースでは無敗三冠が懸かるコントレイルを終始マークし続け、最後はクビ差の接戦に。絶対王者に冷や汗をかかせる“鮮烈なG1デビュー”だった。
その翌年、大きな期待を背負って古馬初戦を迎えたアリストテレスはAJCC(G2)を快勝。菊花賞の走りがフロックでないことを証明すると、続く阪神大賞典(G2)では単勝1.3倍という確勝級の支持を集めた。
しかし、このレースで7着に敗れると、あの輝きはどこへやら……。昨秋は京都大賞典(G2)の2着で復活の兆しを見せたもののジャパンC、有馬記念(G1)は完敗に終わっている。
もし、“菊花賞2着馬の呪い”を跳ね返すカギがあるとするなら、それはスペシャルウィークら春二冠連対組や、唯一のG1馬レインボーラインが証明しているように「早期のG1実績」ということになるのだろう。
そういった点でオーソクレースのホープフルS・2着の実績は、大きな武器になるかもしれない。
果たして、オーソクレースは昨年のアリストテレスらの二の舞になるのか、それともレインボーラインに続く第2の成功者となるのか。成功のカギは6年連続リーディングを目指すルメール騎手が握っているはずだ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。
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