JRA京都金杯(G3)唯一のG1馬ステルヴィオは「もう終わった」のか? ロゴタイプも歩んだ、ダート失敗を経た復活の可能性
いよいよ2022年を迎え、新年最初の恒例でもある“東西金杯”が1月5日(水)に行われる。
中でも注目したいのが、今年も中京競馬場で開催される京都金杯(G3)に出走予定のステルヴィオ(牡7、美浦・木村哲也厩舎)だ。前走に引き続き和田竜二騎手で臨む予定で、メンバー唯一のG1馬という事もあり、トップハンデの58キロを背負う。
2018年のマイルCS(G1)では3歳にして古馬を撃破し、見事G1馬となった同馬。だが、そこから丸3年間勝利から遠ざかっている。大きな武器だった強烈な末脚も影を潜め、いつしか競馬ファンの間では「ステルヴィオは終わった」と密かに囁かれ始めた。
復活にかける陣営は、昨年ダート挑戦として根岸S(G3)出走にも踏み切った。
新味を期待しての挑戦だったが、結果は10着。当時騎乗していた横山武史騎手も「スタートで脚を取られる感じがしたので、現状はやはり芝の方が良さそう」とコメント。切れ味を武器とするこの馬にとっては、ダートは合わなかったのかもしれない。レース後に、陣営は以前から不安を抱えていた喉の手術を決断。長期離脱を余儀なくされた。
約7か月半の休養を経て復帰戦に選んだのは、昨年9月に行われた京成杯AH(G3)。今回と同じハンデ戦でトップハンデの58キロを背負う決して楽なレースではなかったが、鞍上横山武騎手は果敢な先行策をとった。最後は伸びを欠き結果は7着と敗れたが、長期休み明けで勝ち馬カテドラルから0.4秒差という内容なら悪くはなかった。
そして前走のスワンS(G2)では5着とあと一歩及ばなかったが、勝ち馬ダノンファンタジーから0.3秒差と一戦ずつ着差を詰めてきている。「外々を回る形で、直線はのみこむ勢いで来ましたが、坂で止まってしまいました」と騎乗した和田竜騎手もコメントしていたように、以前の切れ味が幾分戻ってきた印象もあった。
今回はメンバー的にステルヴィオが唯一のG1馬となる。実績だけで言えば、断然の存在だ。メンバーレベルは前走より落ちるため、復活の期待はさらに高まる。
ステルヴィオ同様、長き不振に陥っていたケイデンスコールも昨年このレースで見事な復活を果たしている。ステルヴィオと同じサンデーレーシングの所有馬で、同じロードカナロアを父に持つ点も心強いプラス材料だ。ステルヴィオも自身2度目のG1制覇へのキッカケを掴みたいところだ。
ステルヴィオのようにダートに挑戦した芝G1馬といえば、直近では昨年の桜花賞馬ソダシなど数多くいる。だが、失敗してから再度芝G1で復活の勝利をあげた馬は限られている。2012年の朝日杯FS(G1)や2013年の皐月賞(G1)を制したロゴタイプが、まさにそんな馬だった。
皐月賞を勝ってから、長きに渡り勝利から遠ざかり、ついには2015年に根岸S でダート初挑戦を試みる。結果は8着と敗れ、すぐさま芝に再度切り替えたという例がある。その後は周知のとおり2016年の安田記念(G1)で復活Vを果たし、再度G1タイトルを手にした。
ステルヴィオを見ていると、まさにロゴタイプと同じような道を歩んでいるようにも見える。ダート挑戦の失敗や喉の手術など、様々な経験を乗り越えもがき苦しんだG1馬。2022年は長きスランプからの復活を期待したい。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
PICK UP
Ranking
23:30更新- クロワデュノール「世代最強説」に現実味も…ダービー馬候補が未勝利戦より遅い時計の怪
- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- 武豊×ドウデュース完全包囲網で波乱含み!?豪華メンバーのジャパンCにチェルヴィニア、ブローザホーン、オーギュストロダンら最強メンバー集結。レジェンド元JRA騎手の見解は?
- 「別競技」の高速馬場で欧州最強マイラーの意地見せたチャリン!ジャパンC参戦オーギュストロダン、ゴリアットに朗報?
- 武豊ドウデュースに「最強刺客」立ちはだかる…今年のジャパンCで「外国馬は消し」が危険すぎる理由
- エアスピネル降板に武豊騎手は「何」を思う……8年前、すべてを手にしてきた天才騎手が”最大級”の屈辱を味わった「ウオッカ事件」とは
- C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 【京都2歳S(G3)展望】藤田晋オーナーの大物エリキングが登場! ジョバンニ、サラコスティがリベンジに燃える
- 【ジャパンC(G1)展望】「ディープ」オーギュストロダンVS「ハーツ」ドウデュース、2005年有馬記念から19年越しの最終決戦!
関連記事
JRA武豊の代打・横山典弘、無念の戒告処分。池添謙一「あれで気持ちが切れた」メイケイエール「迷惑大暴走」止まらず最下位……【GJ人気記事ぶった斬り!延長戦】
JRA横山武史「関西大物厩舎」急接近で岩田望来大ピンチ!? 一昨年0、昨年1鞍のはずが年明け中山金杯(G3)から大攻勢
JRA 武豊&ジュタロウに「超強力」ライバル現る!? 馬なりで後続に大差のぶっちぎり「カフェファラオ級」可能性秘める素質馬が衝撃のV!
もし霜降り明星・粗品が有馬記念(G1)を当ててたら「税金」は? キセキ単勝100万円勝負は勝っても地獄!?
JRA【特別寄稿】武豊「僕の原点、この馬と一緒に全国区になった」絶体絶命だった天才を世に放った偉大な決断と信念【年末GJ人気記事ぶった斬り!】