
「ルールですので仕方ありませんが……」現役JRA騎手も警鐘を鳴らす現行ルールの欠陥!? 陣営も頭を悩ます「除外ラッシュ」の真相

22日、小倉4Rで行われた障害オープン(OP)は、伴啓太騎手の3番人気クラウンディバイダが逃げ切り勝ち。平地では叶わなかったオープン戦初勝利を障害で果たした。
その一方で、同レースでは18頭もの除外馬が出た。出走頭数の12頭と合わせると、計30頭。出走登録をする際、騎手も併せて登録するが、JRAで障害レースを主にする騎手は限られている。そのため中には丹内祐次騎手や秋山稔樹騎手といった、障害未騎乗ながら障害免許を持っている騎手の名前も見られたという。
そして、障害未騎乗騎手が鞍上欄に入った馬は、漏れなく賞金順で除外が確実。賞金順上位の馬が多数回避しない限り、秋山稔騎手などの障害初騎乗は実現せず。今回も他の障害レースと変わらない、お馴染みの障害騎手で構成されていた。
ここで1つ疑問に思えてくるのが「よっぽどのことがない限り出走できないことが分かっているのに、なぜ障害未経験の騎手の名前を使ってまで登録するのか」と、いうことだ。
一見、何ら意味のない行動に見えるが、実は大いに意味のある行為なのだ。
「障害オープン競走は『除外馬に対する優先出走権』が存在します。これは、オープンクラスの各競走において、出馬投票をした頭数が出走可能頭数を超えた場合、出走できなかった馬、いわゆる除外馬に優先出走権が与えられるということです。この権利を有すると、2ヵ月以内に最初に出馬投票したオープン競走に限り、優先出走することができます。
恐らく今回の小倉障害オープン戦で除外となった馬の多くが、優先出走権を得るため“除外になることを分かった上で”登録したのだと思います。そして、得た優先権を行使して、来週同じ小倉で行われる牛若丸ジャンプS(OP)に出走してくると考えられます。
障害だけでなく平地にも当てはまるのですが、古馬のオープン戦の出走順位は、賞金額上位ではなく優先権を多く持っている馬から決まっていきます。そのため牛若丸ジャンプSでは、本来なら登録馬の中で収得賞金が上位にも関わらず、除外対象となってしまう馬が出現するかもしれません」(競馬記者)
つまり、今年の牛若丸ジャンプSはどれだけ賞金を稼いでいる馬でも出走できない恐れがあるということだ。障害は未勝利戦を勝てば即オープンクラスへ昇級となるため、前走障害初勝利を挙げたばかりの馬でも優先権を持ってさえいれば、実績ある障害強豪馬を押し退けて出走することも有り得る。
何とも言い難い事態について、JRAの現役障害騎手の高田潤騎手は自身のTwitterにて「ルールですので仕方ありませんが……」と、ツイート。続けて「予定のレースに出走できないというのは非常に痛いと思います」と騎手ならではの持論を展開した。
「障害競走の第一人者である高田騎手らしい、的を射た意見だと思います。
うろ覚えで申し訳ないのですが、似た事例が過去に2回ほどあったはず。JRAもその後一部改正して、賞金順上位5頭までは優先権の有無に関わらず優先出走できるようにしました。
ただ、5頭の枠から漏れてしまったら、出走できるか否かは不確定です。もう少し賞金額の多い馬が優遇されて、レースに出走できる環境を整えるべきだと思います」(同)
高田騎手のツイートはファンを中心に反響を呼び、ルール見直しの声が強くなっている。その声がJRAにも届くことを期待したい。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
PICK UP
Ranking
23:30更新巷に出回る川田将雅「長距離苦手説」をデータで検証、阪神大賞典(G2)で気になる「13年未勝利」の課題…リーディングジョッキーの意外な過去
浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- ルメール軍団「誤算続き」で迷走中?使い分けの弊害に一部ファンから疑問の声
- 武豊の次に「上手い」のはアキヤマ!?「世界No.1」のR.ムーア騎手が「上手な日本人騎手」として武豊騎手の次に挙げた”意外”な名前
- JRA池添謙一「2度結婚」「DV不倫」よりも紆余曲折の騎手人生。オルフェーヴル三冠→外国人で凱旋門賞、勝負強さは当代随一だが……
- 武豊やC.ルメールでさえ「NGリスト」の個性派オーナーが存在感…お気に入りはG1前に「無念の降板」告げた若手騎手、過去に複数の関係者と行き違いも?
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
関連記事
JRA【AJCC(G2)予想】川田将雅×ポタジェは即消し! C.ルメールに「不安あり」なら「あの穴馬」が絶好の狙い目!
【馬主チェック!】JRA愛知杯&日経新春杯ダブル勝利で金子真人オーナー絶好調!東海S&アメリカJCCで連勝チャンスも今年に向けて意外な“不安点”が…?
JRAディープボンド「サウジ遠征回避」の要因に国内では「あり得ない」ハンデ差!? まさかの最軽量斤量に「これがあるべき姿」という声も……
JRA 尊敬する先輩・福永祐一から団野大成へバトンタッチ。年明け早々、ライバル同期が次々と重賞勝利する中、オーヴェルニュを勝利に導けるか
JRA武豊「G1・9勝馬弟」と急遽新コンビ決定!好条件で一発を期待されるレジェンドが持つ「ある不名誉な記録」とは