「これは走ってくるよ」元JRA安藤勝己氏も絶賛! チューリップ賞(G2)快勝ナミュールの裏で潜在能力の高さを見せた 「逸材」とは
「人気していましたし、賞金的にも権利は絶対欲しいと思っていました。そういうプレッシャーの中、馬はよく頑張ってくれました」
5日、阪神競馬場で行われたチューリップ賞(G2)をナミュールで制した横山武史騎手は、レース後に安堵の表情を見せてそう語った。昨年大ブレイクした同騎手にとっては、意外にも今年これが重賞初勝利。最低でも桜花賞(G1)への出走権獲得となる3着以内が求められるなかで、テン乗りで1番人気という重圧をクリアしての快勝だった。
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15頭立ての阪神芝1600mで行われたレース。ゲートが開くと、予想外の先行策に打って出たのは、後方からのイメージが強い昨年の2歳女王サークルオブライフだった。ナミュールもスタートを決めて、それに続くように道中は7、8番手を追走。前半3ハロン34秒3と例年のチューリップ賞に比べてペースが流れるなか、最後の直線を迎える。
終始2番手を追走していたサウンドビバーチェが、逃げていたジャマンを早々に捕らえて先頭に立つ。そのすぐ後ろにいたサークルオブライフが懸命に追いかけるが、なかなか前を交わすことができない。そうこうしている内に、残り100mを切った辺りで中団から外目に持ち出したナミュールが、ゴチャついていた内目の馬達を豪快にまとめて差し切った。
前走の阪神JF(G1)では、デビューから2戦2勝の素質を買われ、1番人気の支持を得るもスタートで大きく出遅れ、最後は後方から強烈な追い込みをみせるも4着が精一杯だった。今回はその時に先着を許したサークルオブライフやウォーターナビレラを抑えて完勝し、昨年の雪辱を見事に果たした。
■ナミュール快勝の裏で素質が光った
ただただナミュールの強さばかりが目立ったレースとなったが、その裏側では同馬の前走と同様に大出遅れしながらも、最後方から上がり最速の脚で猛然と6着まで追い込んできた馬がいた。まだ粗削りではあるが、高い素質を感じさせたのはルージュスティリア(牝3、栗東・藤原英昭厩舎)だ。
同馬は昨年8月のデビュー戦で、単勝1.4倍の断然の1番人気に応えて快勝。当時2着に負かしたスターズオンアースは、今年のフェアリーS(G3)とクイーンC(G3)で連続2着に好走しており、レースレベルも高かったことを証明している。そのこともあってか今回は7か月ぶりの実戦ながら、強敵相手に5番人気に支持されていた。6着に敗れたものの、非凡な能力を感じさせるレース内容だった。
レース後、元JRA騎手の安藤勝己氏は自身の公式Twitterでフォロワーからルージュスティリアについてのコメントを求められると、「スタートにつきる」と大きく出遅れた事を敗因にあげつつも「桜花賞には待に合わなくなったけど、これは走ってくるよ」と将来を期待するコメントを残した。
さらに、高い能力の裏付けとなったのは、当日の馬場状態にもあった。
「2番人気サークルオブライフに騎乗し3着だったM.デムーロ騎手が、レース後に『内の馬が残る馬場』とコメントしている通り、当日の阪神芝コースは圧倒的に内が有利な馬場状態でした。
事実、この日の芝のレースでは内枠馬の好走が多く、唯一12番という外枠から5Rの未勝利戦を勝利したサンクフィーユも、鞍上の川田将雅騎手が最後の直線では最内に潜り込んで追い込んできていました。
そんななかで、スタートで大きな遅れを取ったルージュスティリアは道中こそ内目で追走していましたが、最後の直線ではナミュールが外に持ち出したタイミングで同じ進路に切り替え、外から上がり最速の脚で追い込んできました。新馬戦以来7か月ぶりの実戦、スタートでの大出遅れ、枠番と馬場状態などを考慮すれば、ナミュールに引けを取らない高い素質を感じる内容でした。
桜花賞は間に合わず残念な結果となりましたが、オークス(G1)に向けては期待が持てる内容だったのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
管理する藤原厩舎は、昨年シャフリヤールで10年のエイシンフラッシュ以来2度目の日本ダービー(G1)制覇を果たしたが、意外にも牝馬クラシックでは計27戦挑戦していまだ勝利はない。
今後も愛弟子・岩田望来騎手を継続して乗せるのか、はたまた新馬戦で手綱を取った福永祐一騎手とのホットラインに戻すのかは定かではないが、逸材の動向に注目したい。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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