チューリップ賞(G2)武豊ウォーターナビレラ「最大の脅威」は横山一家か、元JRA安藤勝己氏が「力負けやない」と評した大器も巻き返し必至
5日の阪神競馬では、桜花賞(G1)に向けての注目ステップとなるチューリップ賞(G2)が最大の目玉となりそうだ。
クラシックを目指す3歳牝馬が争うこのレースは、3着までの馬に桜花賞の優先出走権が付与されるトライアル。本番と同じ阪神の芝1600mが舞台ということもあり、これまでも多くの桜花賞馬を輩出してきた。
そういった結びつきの強さも考慮され、2018年にはそれまでのG3からG2へと昇格したものの、近4年の出走馬から桜花賞の勝ち馬が出ていないのは何とも皮肉な話だが、今年こそ出走馬から栄冠をつかみ取る馬が現れるだろうか。
人気が予想されるのは、昨年8月新潟でデビューし、未勝利から3連勝で昨年の阪神JF(G1)を制して2歳女王の座を手にしたサークルオブライフだが、ライバルも強力メンバーが集まった。
打倒サークルオブライフの筆頭を期待されるのは、前走に引き続き武豊騎手が手綱を取るウォーターナビレラ(牝3、栗東・武幸四郎厩舎)だ。
阪神JFは前半から前掛かりのレース展開となったこともあり、先行勢が総崩れする中、ただ1頭前々から3着に粘り込んだ底力はさすがである。この時期の阪神は、開催終盤で馬場の傷みのある12月と違い、馬場状態はまだまだ良好。先週の阪急杯(G3)でも内前に進路を取った馬が好走したように、条件が好転する今回は先行勢に追い風となるはずだ。
ただ、逆転を目論む武豊騎手とウォーターナビレラのコンビも、うかうかしていられないことは確か。
■横山一家の武豊包囲網
なぜなら横山典弘騎手をはじめとする「横山ファミリー」もまた、一家総出で虎視眈々と権利取りを狙っているからである。
「同じレースに3人が騎乗予定ですから、どうしても目を引きますね(笑)。なんだか武豊包囲網みたいな感じになっています。プライベートでは仲のいい横山典騎手と武豊騎手ですが勝負は別でしょう。
後ろからの競馬が濃厚なサークルオブライフよりは、逃げ先行タイプのウォーターナビレラを意識したレース運びをする可能性が高そうです。マイペースに持ち込みたい武豊騎手にとっては厄介な相手となりますね」(競馬記者)
父の横山典騎手はアンジェリーナ、長男の横山和生騎手はオーソレミオとのコンビでそれぞれ騎乗を予定。蜜月関係にある昆貢厩舎の管理馬では、マテンロウ軍団の馬で結果を出しているように侮れない存在となる。
そして最も強力と考えられるのが、優勝候補の一角と目されるナミュールに騎乗予定の横山武史騎手だろう。
C.デムーロ騎手を鞍上に迎え、1番人気に支持された前走の阪神JFは、スタートで痛恨の出遅れ。直後にも外の馬にぶつけられて伸びない内を進まざるを得なくなり、不完全燃焼に終わった。これには元JRA騎手の安藤勝己氏も、自身のTwitterで「力負けやない」と評している。
一方、競馬界を牛耳るノーザンファーム系の素質馬に、重要なレースに起用されるほど成長した横山武騎手だが、不思議なことに昨年のホープフルS(G1)をキラーアビリティで制して以降は、重賞未勝利が続く苦しい現状。こういったタイミングでしっかり実力をアピールしておかないと、折角積み上げた評価も揺らぎかねない。
潜在能力はメンバートップといえる実力の持ち主だけに、なんとしてもここは結果が欲しいところだ。
強豪揃いの最重要ステップで勝利を手にするのはどの馬だろうか。「決戦は金曜日」ならぬ「土曜の豪華な決戦」に注目したい。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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