アーモンドアイ殿堂入りの陰で名門シルクレーシング「屈辱」の一人負け…リバティアイランド、ソールオリエンス、タスティエーラらライバルの覇権争いは蚊帳の外【一口馬主クラブBIG4通信簿】
●クラブ4強の成績は?
日本ダービー(G1)が終わり、来年のクラシックを目指す2歳新馬戦がスタート。新種牡馬のブリックスアンドモルタル産駒テラメリタが勝利しているが、強烈なインパクトを残したのはモーリス産駒のシュトラウス。早くもクラシック候補の声が上がるほどの勝ちっぷりだった。
ちなみにテラメリタが社台レースホース、シュトラウスがキャロットファームの所属馬である。
生涯一度のクラシックを巡る3歳G1戦線は、毎年のように一口馬主クラブが結果を出している。特にサンデーレーシング、社台レースホース、キャロットファーム、シルクレーシングの4つは「BIG4」といえるほど多くの馬が活躍。
今回は今年の3歳G1戦線を盛り上げたクラブ馬をまとめてみたいと思う。
【キャロットファーム】
今年の3歳世代で、最も多く賞金を稼いだのはキャロットファームだ。
日本ダービーに2頭、オークス(G1)にも2頭が出走。そして、なんといってもタスティエーラが日本ダービーを勝利し、通算で4億8000万円以上を稼いでいる。同馬の募集価格は2800万円(1口7万円×400口)。全体でも52番目タイと控えめだが、日本ダービーと弥生賞ディープインパクト記念(G2)を勝利し、皐月賞(G1)も2着とクラブを代表する看板馬となった。
一方、残念だったのは日本ダービーで無念の結末となったスキルヴィングだ。3連勝で青葉賞(G2)を勝利するなど、抜群の将来性があっただけに急性心不全で世を去ったのは、本当に残念としか言いようがない。
他には昨年のアルテミスS(G3)を勝利し、桜花賞(G1)とオークスにも出走したラヴェル、チューリップ賞(G2)3着、桜花賞3着のペリファーニアも、まだ1勝クラスながら将来性が期待できる。現在3連勝中の上がり馬ドゥレッツァも注目されているが、菊花賞(G1)には向かわないとの話もある。この3連勝はすべて芝2000m以上のレースであったが、上がり33秒4、33秒9、32秒7と豪脚を披露しており、いずれは重賞の常連になるはずだ。
【サンデーレーシング】
今年のサンデーレーシングは、牡馬よりも牝馬の活躍が目立った。
筆頭は、やはり川田将雅騎手とのコンビで桜花賞とオークスの2冠を達成したリバティアイランド。昨年の阪神ジュベナイルFからG1を3連勝と、この世代では頭一つ二つ抜けている印象だ。獲得賞金も4億2000万円を超え、すでに募集価格4000万円(1口100万円×40口)の10倍以上を稼いでいる。
また桜花賞2着のコナコースト、NHKマイルC(G1)2着のウンブライルもサンデーレーシングに所属する牝馬。コナコーストは募集価格2400万円(1口60万円×40口)とお得だっただけに、この活躍には驚かされたファンも少なくないだろう。
他には毎日杯(G3)2着、日本ダービー5着のノッキングポイント。ダートのリステッドを勝利したエクロジャイト、ホープフルS(G1)3着のキングズレインなど、将来性豊かな馬が揃っている。ただ1億円を超える募集馬3頭のうち2頭が未勝利となっている点は気になるところか。
【社台レースホース】
社台レースホースは、横山武史騎手とともに皐月賞を勝利したソールオリエンスのインパクトが大きい。
日本ダービーも僅差の2着と好走しており、京成杯(G3)を含めて重賞2勝、獲得賞金も4億円を超えている。他には桜花賞トライアルのフィリーズレビュー(G2)を勝利したシングザットソング、武豊騎手の騎乗でシンザン記念(G3)を勝利し、桜花賞とオークスにも出走したライトクオンタム。フローラS(G2)2着ソーダズリング、フラワーC(G3)2着ヒップホップソウルがオークスに出走するなど活躍。昨年はスターズオンアースが桜花賞とオークスを制したが、今年も全体的にハイレベルな成績だった。王者・社台の復権は、もう紛れもない事実だ。
【シルクレーシング】
一口馬主クラブ「BIG4」の中で、一人負けとなってしまったのが、イクイノックス、アーモンドアイで知られるシルクレーシングだ。3歳世代で重賞勝ち馬はゼロ、しかも日本ダービー、オークス、皐月賞、桜花賞に1頭も出走できなかった。
募集価格1億円のウォーターハウスは、ようやく先週の3歳未勝利戦を勝ち上がったばかり。最も多く賞金を稼いだのはシンザン記念2着のペースセッティングだが、ここ2走で二桁着順が続いており、状況は厳しいと言わざるを得ない。昨年2連勝でオープン特別を制したアロマデローサは、阪神ジュベナイルFで4着に好走するも、桜花賞とオークスに出走することができなかった。
成績的に目を引いたのは、プリンシパルS(L)2着のアヴニールドブリエ。5戦してすべて3着以内の安定度を誇り、今後の成長次第では菊花賞戦線に名を連ねるかもしれない。今年は例年ほどの勢いがないが、2015年の現8歳世代は先日顕彰馬に選定されたアーモンドアイを筆頭に、グローリーヴェイズ、インディチャンプ、ブラストワンピース、ダイアトニック、サラキア、プリモシーンといった馬が活躍したように爆発力は侮れない。現2歳世代の奮起が期待される。
総括すると、クラブ4強でもサンデーレーシングとキャロットファームが抜けていて、近年巻き返しが顕著な社台レースホースが続く状況。シルクレーシングは結果が出なかったが、秋に向けての巻き返しが期待される。
例年3歳G1戦線は一口馬主クラブの所属馬の活躍が目立っているが、今年は桜花賞も、皐月賞も、オークスも、ダービーもすべてクラブ馬が勝利した。この傾向は容易に変わるものではあるまい。来年以降も「BIG4」の争いから目が離せない。
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