JRA戸崎圭太「どうにかならなかったのか」「悔しい情けない」引きずらないタイプの名手でさえ悔やんだ大一番、毎日杯(G3)ドゥラドーレスに懸けるダービーの夢
27日は、中京競馬場で春のスプリント王を決める高松宮記念(G1)が行われる。昨年の覇者ダノンスマッシュ、昨秋のスプリンターズS(G1)を制したピクシーナイトの姿はないが、グレナディアガーズやサリオスといったG1馬2頭が新たに参戦を予定しており、白熱した戦いが繰り広げられそうだ。
ただ、前日の26日に阪神競馬場で開催される3歳重賞の毎日杯(G3)もまた、高松宮記念同様に大きな注目を集めるかもしれない。
その理由は近年の3歳牡馬クラシック戦線において、このレースをステップに春の大舞台に臨んだ馬が、好結果を残しているからだ。過去10年の勝ち馬では、2012年のキズナが日本ダービー(G1)を制したほか、17年のアルアインは皐月賞(G1)、18年のブラストワンピースは古馬相手に有馬記念(G1)を優勝した。
昨年、皐月賞馬エフフォーリアを破ってダービー馬に輝いたのも、毎日杯優勝のシャフリヤールだった。キズナを除く3頭の共通点は、いずれもノーザンファームの生産馬であるということだ。
5月の日本ダービーへ向け、余裕のあるローテーションを組めることは、高いポテンシャルを持ちながらも体質の弱さに不安のある馬にとってメリットも大きい。皐月賞に拘らずに大目標の日本ダービーを狙い撃てる、新たなトレンドになりつつあるともいえるだろう。
今年の毎日杯にもノーザンファームの素質馬ドゥラドーレス(牡3、美浦・宮田敬介厩舎)がスタンバイしている。
前走のセントポーリア賞(1勝クラス)を、イクイノックスの勝った東京スポーツ杯2歳S(G2)の1分46秒2を上回る、1分45秒7の勝ち時計で3馬身差の圧勝をしたドゥラドーレス。懸かる期待は自ずと大きくなる。
そして、前走に引き続き手綱を任される戸崎圭太騎手も「今度こそ」という熱い想いを胸に秘めているに違いない。
戸崎騎手は、昨年の毎日杯でシャフリヤールのクビ差2着だったグレートマジシャンとのコンビで日本ダービーに挑んだが、惜しくも4着に敗れている。JRAG1・9勝を挙げる名手も、ダービーではあと一歩のところで勝利を逃しており、2018年のエポカドーロで2着、翌19年のダノンキングリーでも再び2着と涙を呑んだ。
ただ、前年のエポカドーロでは「力は見せられたと思う」と納得のコメントを残していたことに対し、ダノンキングリーはデビューから続けて主戦を任されてきたパートナーということもあって大きな後悔を残した。
三強を形成したライバルのサートゥルナーリア、ヴェロックスに先着しながらも、12番人気の大穴ロジャーバローズをクビ差まで追いつめたが、掴みかけていたダービージョッキーの栄誉はスルリと逃げていった。
戸崎騎手は、このときの心境を『競馬ラボ』で連載中のコラム「週刊!戸崎圭太」にて、そんなに引きずらないタイプと認めながらも、しばらくは「気持ちの整理がつかないというか、どうにかならなかったのか」という想いが続いたと吐露している。
そのダノンキングリーは、2年後の安田記念(G1)で8番人気の低評価を覆し、グランアレグリアを破る大金星を挙げて初G1タイトルを手にした。だがその際の鞍上が、戸崎騎手ではなく川田将雅騎手だったこともレース回顧で「正直、悔しいですし情けないのが本音ですね」という言葉に繋がったのだろうか。
それだけに、グレートマジシャンも制した昨年のセントポーリア賞を0秒8も上回る勝ち時計で突き抜けたドゥラドーレスに懸ける期待は相当なモノに違いない。
前走後に宮田敬介調教師が「次は目標のダービーへの賞金加算を狙って、どこを使うか考えていきたい」と思案していた結論が今回の毎日杯出走。大本命として挑む“ダービートライアル”を制し、皐月賞出走組に堂々と挑戦状を叩きつけたいところだ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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