
JRA桜花賞(G1)トライアル快勝の舞台でナミュールはなぜ弾けなかったのか…横山武史“スムーズな競馬”に安藤勝己氏「中途半端」と厳しい指摘!

10日、阪神競馬場で行われた第82回桜花賞(G1)を制し、桜の女王に輝いたのは川田将雅騎手のスターズオンアース。7番人気の伏兵評価ながら、ロスのない立ち回りで末脚を爆発させた鞍上のエスコートもまた見事だった。
ゴール前では、先に抜け出した武豊騎手のウォーターナビレラとデッドヒート。ハナ差の勝利に「届いた感触はあったのですが、着差が僅かなので何とか出ていて欲しいな」と振り返った川田騎手。追い切りに乗ってパートナーが「どういう馬か把握」し、その中で「この馬が一番能力を出せる形で道中は走ろう」と思案したことも、最高の結果へと繋がったのだろう。
一方、初コンビがG1という大役をこなした川田騎手に対し、コンビ2度目の騎乗で結果を残せなかったのは、1番人気ナミュール(牝3、栗東・高野友和厩舎)でよもやの10着に敗れた横山武史騎手だ。
今春のG1は高松宮記念のレシステンシア(6着)、大阪杯エフフォーリア(9着)、桜花賞ナミュールと、3週連続1番人気馬とのコンビで挑んだものの、いずれも馬券圏外となる連敗を喫してしまった。
桜の舞台と同じ条件のチューリップ賞(G2)を快勝していただけに、結果を残せなかったことは痛恨だろう。
出遅れのリスクが減る大外の8枠18番については、陣営も「包まれない外ならいい」と歓迎ムードだった。レース後の横山武騎手も「思い通りのレースをして我慢して、直線に向いた時も追い出しも『このタイミング』という形」と振り返っていた。
しかし、前走で弾けた末脚が今回は不発。これには本人も「レースはスムーズでしたが弾けなかったのは何なのでしょう」と首をかしげるほかなかった。
桜花賞までの3戦をすべて上がり最速をマークしてきた末脚自慢の馬が、後ろの馬に交わされる姿には違和感が少なからずある。この疑問を解説してくれたのが元JRA騎手の安藤勝己氏だ。
安藤氏は自身のTwitterで「ナミュールは人気背負っとる焦りで中途半端な競馬しちゃったね」と指摘すると、「あのスタートから位置取るのに脚を使って、終始外を回す進路で勝てるほど抜けてない」とバッサリ。
続けて「枠順の差というよりも、内枠のジョッキーに上手く乗られた」と指摘。川田騎手や武豊騎手の好騎乗を評価しつつ、横山武騎手の“若さ”も少なからず影響してのではないかというニュアンスの見解を述べた。
同じ外枠でもM.デムーロ騎手がコンビを組んだ8枠16番サークルオブライフは、見せ場十分の4着に食い込んだ。外枠なりの戦い方でパートナーの末脚を引き出した名手との経験の差が出てしまったということだろうか。
前日に行われた阪神牝馬S(G2)の勝ち時計1分32秒8と0秒1差だった今年の桜花賞のレベルは決して低くない。まだまだ抜けた存在がいないとはいえ、トップクラスの馬が複数揃っている印象だ。
馬格のないナミュールにとって、過去10年で460キロ以下の小型馬が優勝したことのなかった桜花賞は「馬体重」の壁も立ちはだかったが、オークスになると逆に5頭の勝ち馬が出たように、条件は好転する。
直線の長い東京に舞台が替われば、巻き返しの余地は十分にあるはずだ。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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