JRA武豊×佐々木主浩氏「相思相愛コンビ」でヴィクトリアマイル(G1)へ! 過去に2度のすれ違い……ヴィルシーナ娘とレジェンドを巡る「不運」な事情
高松宮記念(G1)から始まった春のG1シリーズも今週は中休み。来週の天皇賞・春(G1)を皮切りに、また怒涛の6連続開催がスタートする。
先週末に争われた皐月賞(G1)では、1番人気のドウデュースが道中で最後方近くを進み、最後の直線で猛然と追い上げたものの3着。手綱を執った武豊騎手のポジション取りについて、ファンの間では様々な賛否両論が巻き起こった。
中には批判的な声もあったようだが、裏を返せばそれだけ同騎手がファンから注目を集めていた証でもあるだろう。次戦に予定している日本ダービー(G1)での巻き返しが期待される。
その武豊騎手は来月15日、ダービーの2週間前に開催されるヴィクトリアマイル(G1)で、ディヴィーナ(牝4歳、栗東・友道康夫厩舎)とコンビを組むことが決まった。
ヴィクトリアマイルを連覇したヴィルシーナの娘
同馬のオーナーは、元メジャーリーガーで“ハマの大魔神”こと佐々木主浩氏。デビュー戦は3歳の5月とやや遅くなったが、中京の芝2000mで既走馬たちを相手に、好位から上がり最速を繰り出して見事に勝利した。
その後の3戦足踏みしたものの、距離を1600mに短縮して臨んだ昨年12月の1勝クラスと、続く2勝クラスで連勝。3連勝を狙った武庫川S(3勝クラス)の6着は展開が向かなかったことに加え、やや実績に欠ける右回りの影響もあったか。
キャリアで全ての白星を挙げている左回りの中京に戻った前走の豊橋S(3勝クラス)では、接戦をハナ差で制して見事にオープン入りを決めている。
「今年のヴィクトリアマイルはソダシやアカイイト、約1年ぶりの復帰戦となるデアリングタクトなどメンバーが揃いそうですが、ディヴィーナも左回りのマイル戦では3戦3勝とまだ底を見せていません。
なにより本馬の母はヴィクトリアマイルを連覇したヴィルシーナで、父も安田記念(G1)を勝っているモーリスです。舞台適性では決して引けを取らないと思われます」(競馬誌ライター)
ちなみに今回がオープン初挑戦になるディヴィーナの収得賞金は2400万円。これを古馬のオープンレースに出走するための出走馬決定賞金に換算すると、4800万円程度になることが想定される。
G1出走を目指すにはやや心細い金額だが、過去5年のヴィクトリアマイルは直前の出走取消などを除くと、除外馬は昨年のエーポス1頭しか出ていない。出走ボーダーも3300万円だったため、例年通りであればディヴィーナと武豊騎手もほぼ問題なく出走枠に入れるだろう。
だが、人馬にはそこまで出走を楽観視できない“ある事情”も存在するようだ。
実はディヴィーナと武豊騎手は、コンビで一昨年の8月にデビューを予定していたのだが、管理する友道調教師いわく「動きが物足りない」ことを理由に、直前で出走を回避。
成長を促された後、先述した昨年5月に改めて初陣を迎えたのだが、当日の中京競馬場には武豊騎手がいたにもかかわらず、ディヴィーナの背中には岩田望来騎手の姿があった。
当時の武豊騎手は春の天皇賞でワールドプレミアを乗り替わりになるなど、友道厩舎との関係がややこじれていたことも、手綱を譲った理由の1つにあったかもしれない。
その後、秋のローズS(G2)で再びタッグが発表されたのだが、賞金不足でまさかの除外になっている。これまで何度もニアミスがあったものの、まだコンビは一度として実現しておらず、なぜか人馬は妙に巡り合わせが悪いようだ。
「ローズSを除外になったディヴィーナは前日の金山特別(1勝クラス)に出走しましたが、ここでも武豊騎手に先約があったため川田将雅騎手とコンビを組むなど、とにかく不思議と縁がないんですよね。
そのため、予定しているヴィクトリアマイルも今年に限って賞金ボーダーが上昇し、除外でまたもや行き違い……なんてことにならなければよいのですが」(同)
先述したように、今年のヴィクトリアマイルは豪華メンバーが集うことが想定されており、他にもファインルージュやロータスランドといった重賞実績馬が複数出走を予定している。そのため、例年よりも賞金ボーダーが上がるという話もあながち無くはないだろう。
ヴィクトリアマイルの出走登録馬は来月1日にJRAのホームページで発表される予定だ。すれ違いを重ねてきた人馬は、果たして無事にゲートインできるだろうか。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。
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