JRA長距離戦でも「騎手で買えない」天皇賞・春(G1)…武豊もハードル「たけぇ~」、C.ルメールも「楽しメール」とはならない深刻
3月の高松宮記念を皮切りに4週続いた春のG1開催は、1番人気が一度も勝てない波乱の結果に終わった。G2のフローラS、マイラーズCが行われる今週は中休み。GWに突入する翌週からは、6月26日の安田記念(G1)まで6週連続のG1開催が控えている。
開幕を飾るのは伝統の長距離戦となる天皇賞・春(G1)だ。2019年と2020年を連覇したフィエールマンや昨年の覇者ワールドプレミアの姿は既になく、新たな長距離王の誕生が待たれている状況だ。
そして、長丁場の舞台でより注目を浴びるのが、「長距離戦は騎手で買え」という有名な格言だろう。
JRAのG1で最長距離となる芝3200mで争われるマラソンレースだけに、道中の駆け引きやペース配分は何より重要。実際、距離が長ければ長いほど、些細なミスも積み重なれば大きなビハインドとなる。
短距離に比べて道中での折り合いや、コース取り、仕掛けのタイミングなども騎手の手腕が問われる割合も必然的に高くなる。そういった事情を考えると、この格言が生まれた背景にも説得力があるのではないか。
ただ、今年に関しては競馬界でまことしやかに囁かれる定石も、あまり役に立たないかもしれない。
優勝候補筆頭のディープボンドは和田竜二騎手、対抗格のタイトルホルダーは横山和生騎手がそれぞれ騎乗を予定している天皇賞・春。和田竜騎手はかつてテイエムオペラオーとのコンビで2001年の同レースを制したこともあるが、それも若手騎手時代のこと。2018年の宝塚記念(G1)をミッキーロケットで優勝するまで17年もの間、G1勝利から遠ざかっていた。
また、タイトルホルダーの横山和騎手にしても、近年の活躍でようやく勝ち負けを期待できる有力馬に騎乗するチャンスを手に入れたとはいえ、5着に敗れた昨年の有馬記念(G1)がG1の最高着順である。大舞台での経験不足は否めず、より騎手の手腕を問われる長距離戦がプラスに働くとは言い難い。
これは3番手と見られるテーオーロイヤルとコンビを予定している若手の菱田裕二騎手にも同じように当て嵌まるだろう。
武豊もC.ルメールも「騎手で買えない」
そこで「格言」の対象となる長距離が巧い騎手に注目してみる。一際目立つ長距離戦の名手といえば、当然ながら競馬界のレジェンド武豊騎手である。
デビューからこれまで芝3000m上のG1(菊花賞、天皇賞・春)で13勝と圧倒的な好成績を誇る。近年でもキタサンブラックやワールドプレミアで優勝したように、まだまだ現役トップの腕前だ。
次に続いたのは、やはりC.ルメール騎手。2015年にJRA所属の騎手となって以降、菊花賞を2016年のサトノダイヤモンド、2018年のフィエールマンで制した。同馬とのコンビでは、先述したように2019年と2020年の天皇賞・春を連覇している。
それだけに本来なら、突出した好成績の2人が騎乗する馬を積極的に狙うのがセオリーだ。だが、コンビを組む予定は武豊騎手がハヤヤッコ、ルメール騎手はハーツイストワールという人気薄。『netkeiba.com』が公開している単勝予想オッズでも、前者は現在14番人気で後者は9番人気で想定されている。
『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)のCMでは、「高け~(武)」「ルメールも楽しメール~」とコミカルな演技を見せてくれた2人の奮闘に期待したいところだが、勝ち負けを演じるためのハードルはなかなか高そうだ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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