C.ホー「大誤算」騎乗不可も鞍上弱化とは言わせない!? 重賞初挑戦新人は小倉キラー
秋の“最後の1冠”への切符を掴むべく多くの3歳馬が夏競馬で奮闘を見せている一方、日本ダービー(G1)に出走した面々は激戦の疲労を癒すべく夏は休養に充てている。放牧先で英気を養いながら、夏の上がり馬を返り討ちにするべく牙を研いでいるはずだ。
そんな日本ダービー組の中から一足早く復帰を迎えるのが、今週末の小倉記念(G3)に出走するピースオブエイト(牡3歳、栗東・奥村豊厩舎)だ。
春にはデビュー3連勝で毎日杯(G3)を制し、無傷で日本ダービーの切符を掴んだものの、本番では18着の最下位に沈んだ。今回は出直しの1戦であり、古馬を相手にどのような走りをみせるのか注目が集まっている。
ここで賞金加算に成功すれば秋のレース選択の幅が広がるだけに、陣営としても好勝負を見込んで小倉記念へ挑んできたはず。鞍上に香港の名手C.ホー騎手を配してきたことからも、陣営のピースオブエイトへの期待の高さが伺える。
しかし今回の出走にあたって、陣営は思わぬアクシデントに直面することに。なんとピースオブエイトのハンデが53kgとなったことで、斤量の関係からホー騎手が騎乗できなくなってしまった。
陣営としては毎日杯の重賞勝利があるため3歳馬とはいえ、ある程度の負担重量を強いられると見込んでいたはずだ。ハンデに恵まれたことは悪い事ではないが、それによって急遽の鞍上変更を強いられてしまったのは陣営にとっても大きな誤算であったはずだ。
同日には新潟で関屋記念(G3)が行われることもあってか、ピースオブエイトの手綱は経験豊富なホー騎手から一転、重賞初騎乗のデビュー2年目の新人・松本大輝騎手に託されることとなった。
当初騎乗予定であったホー騎手は、来日2週目となる先週に早速レパードS(G3)で重賞制覇。日本競馬への適応力の高さを見せており、今週のピースオブエイトに対する期待も高まっていた。そうした中の突如の若手騎手への乗り替わりであり、ファンの間では「鞍上弱化」を不安視する声も挙がっている。
重賞初挑戦の松本騎手は小倉キラー
しかし、今回の舞台が小倉・芝2000mであることを踏まえると、実は松本騎手はホー騎手以上に期待ができる存在かもしれない。
松本騎手はJRA全場の中で小倉での騎乗数が最も多く、全752鞍のうち約3割が小倉での騎乗となっている。昨年は小倉で10勝、今年も5勝を挙げており、2年目とキャリアは浅いが小倉は勝手知ったるコースと言えるはずだ。
実際に松本騎手が小倉で1~5番人気の馬に騎乗した際の複勝率は56.3%にのぼる。実力のある馬に乗りさえすれば、安定して結果を残す力を持っていることが数字に表れている。今回のピースオブエイトも戦前の評価で実力上位とみられており、実力を引き出すことができれば好走は十分に可能なはずだ。
さらに小倉・芝2000mの1~5番人気に限定すれば(2-4-0-1)と、さらに優秀な成績になる。このうち1番人気の騎乗は1度だけであり、決して恵まれているとは言えない若手騎手の馬質を考えれば十分すぎる成績だ。
世界的な実績を持つ香港の名手から、2年目の若手騎手への鞍上変更となれば「鞍上弱化」と捉えられても仕方がない。しかし、実績十分のホー騎手でも日本の小倉は今週が初騎乗。松本騎手の小倉でのデータを踏まえれば、安直に軽視することは禁物といえる。
「いい馬で挑めますね」
追い切りにも騎乗し、気合十分の松本騎手。今年の夏競馬では新人の今村聖奈騎手を皮切りに、杉原誠人騎手や黒岩悠騎手など多くの騎手が重賞初制覇を成し遂げている。
この流れに乗って、デビュー2年目の松本騎手がビッグチャンスを掴むことができるだろうか。舞台は最も得意とする小倉。想定外のピンチを迎えたピースオブエイトの走りと共に、松本騎手の手綱捌きにも要注目だ。
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