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【セントウルS(G2)展望】メイケイエールと久々対決……「春のマイル王」ソングラインは何故1200mで始動?

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メイケイエール 撮影:Ruriko.I

 11日、中京競馬場では秋競馬の開幕を飾るセントウルS(G2)が行われる。最大の注目は、昨年の桜花賞(G1)以来となる4歳牝馬2頭による直接対決だ。

 その2頭とはメイケイエールとソングライン。ともに池添謙一騎手が主戦を務めてきたが、今回ソングラインにはC.ルメール騎手が跨る。

 癖馬メイケイエール(牝4歳、栗東・武英智厩舎)には、乗り慣れた池添騎手が引き続き騎乗。武豊騎手や横山典弘騎手ですらなかなか御せなかった“やんちゃ娘”だったが、馬具の工夫など陣営の努力も相まって今はスプリントG1も狙える位置にいる。

 メイケイエールと池添騎手にとって大きな収穫となったのが前走の京王杯SC(G2)。久々の距離延長となる7ハロン戦で「きつかったですね」と池添騎手がレース後に振り返ったように、道中必死になだめながらの騎乗でも1着という結果を導き出した。

 再び距離を1200mへと短縮しての始動戦。前走教え込んだ“我慢の競馬”がいい方向に転ぶ可能性は高そうだ。

 これまで2歳夏の小倉2歳S(G3)を皮切りに、JRAの平地重賞を5勝しているメイケイエール。これは現役馬の中では同じシラユキヒメ一族のソダシ(同6勝)に次いで2位タイである。

 ただしG1を3勝しているソダシに対して、メイケイエールはG1で4戦未勝利。最高着順も阪神JF(G1)とスプリンターズS(G1)の4着となっている。次走に予定しているスプリンターズSが大目標となるが、まずは前哨戦でしっかり勝利を収めてソダシに並んでおきたいところだろう。

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ソングライン 撮影:Ruriko.I

 昨年の桜花賞でメイケイエールに大きな不利を受けてしまったのがソングライン(牝4歳、美浦・林徹厩舎)だ。

 その桜花賞で初コンビを組んだ池添騎手が、それ以降8戦中7戦で鞍上を務めてきたが、今回は3度目の騎乗となるルメール騎手へ乗り替わる。陣営が掲げている秋の大目標は11月のブリーダーズCマイル(米G1、芝1600m)で、どちらにしてもルメール騎手へのバトンタッチは規定路線だったのかもしれない。

 国内では一貫して1400mか1600mを使われてきたソングライン。今年2月のサウジアラビア遠征では1351mでG3戦を勝利しているが、何故1200m戦で始動するのか。その理由をノーザンファーム天栄の木實谷雄太場長が、有名血統評論家の亀谷敬正氏が運営する『亀谷競馬サロン』のホームページ上の連載コラム『フロントライン』で次のように明かしている。

 木實谷場長は8月21日付の同コラムで「ソングラインはこの秋、ブリーダーズカップマイルの遠征も視野に入っています。ブリーダーズCが行われるキーンランド競馬場のマイル戦はスタートしてすぐにコーナーに入るコースで、ポジション取りが非常に重要になってきます。ですから、テンから積極的に出していく競馬に慣れる目的で、セントウルSからスタートしようと」と説明。

 どうやらテンのダッシュが重要となりそうなブリーダーズCマイルを見据えて、ハイペース必至の6ハロン戦を経験させておきたい模様だ。安田記念(G1)で強豪牡馬を蹴散らした春のマイル女王にとって、この選択は吉と出るのかどうか。“壮行レース”で確かな手応えをつかんでアメリカへと飛び立ちたい。

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ジャングロ 撮影:Ruriko.I

 牡馬の筆頭格は3歳馬のジャングロ(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)だろう。

 4月のニュージーランドT(G2)を逃げ切り、新鋭・藤田晋オーナーに重賞初制覇を届けた外国産馬で、テンの速さを最大の武器としている。

 ニュージーランドT後はNHKマイルC(G1)でもペースを握るとみられたが、痛恨の出遅れ。道中は最後方の位置取りとなり、惨敗も考えられたが、メンバー2位の上がりで7着まで追い上げた。

 この結果には、騎乗した武豊騎手も「道中は折り合いよく運べたし、収穫はあった」とコメント。今後に向けて秋の始動戦でどんな競馬を試すのかにも注目が集まる。

 ただし、主戦の武騎手はニエル賞(仏G2)でドウデュースに騎乗するため、今回は福永祐一騎手へ乗り替わり。短距離路線でコンビを組むピクシーナイトが年内復帰を断念したと報道があったばかりで、お手馬がいない状態の福永騎手。ジャングロがここで結果を出してスプリンターズSへ駒を進めれば、武騎手は同日の凱旋門賞(仏G1)騎乗で不在なだけに、2年連続スプリンターズS制覇も見えてくる。

 ボンボヤージ(牝5歳、栗東・梅田智之厩舎)は、昨夏のオープン昇級後はほぼ2桁着順という苦戦が続いていた。ところが、前走・北九州記念(G3)を16番人気で制覇。斤量、展開、馬場など恵まれた面はあったが、フロックではなかったことを証明したい。

 ダディーズビビッド(牡4歳、栗東・千田輝彦厩舎)は、リステッド・オープンクラスでたびたび馬券に絡み、地力をつけている。重賞では3走前のオーシャンS(G3)で4着に好走。確実な末脚をここでも発揮すれば上位もうかがえそう。

 この他には、3歳夏以降は4戦連続2桁着順も、前走・北九州記念5着で復活の兆しを見せたモントライゼ(牡4歳、栗東・松永幹夫厩舎)、昨年のCBC賞(G3)を制したファストフォース(牡6歳、栗東・西村真幸厩舎)なども参戦予定となっている。

 1着馬にはスプリンターズSの優先出走権が付与される注目のレースを制するのは、果たしてどの馬か。発走は11日、15時35分を予定している。

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