福永祐一の基礎を築いた古参オーナーに「寵愛」受ける若手ホープが初物づくしの重賞V
20日、門別競馬場でエーデルワイス賞(G3)が開催された。勝ったのは小沢大仁騎手騎乗のマルカラピッド(牡2歳、栗東・今野貞一厩舎)。4コーナーをスムーズに捌くと、ラスト100mで武豊騎手のエコロアイを交わして2馬身半突き抜けた。
初物づくしの重賞V
同レースは5年連続で地元・ホッカイドウ競馬の所属馬が勝利していたが、今年は2016年のリエノテソーロ以来6年ぶりに中央馬が優勝。久々に中央勢の意地を見せたマルカラピッドの快走は関係者にとって嬉しい“初物”を複数もたらした。
2年目の小沢騎手はこれが同期一番乗りでの重賞制覇。マルカラピッドを管理する今野調教師も12年目で念願の重賞初勝利となった。さらに同馬の父マインドユアビスケッツは本年から初年度産駒が走っており、デビューから5ヶ月目にして早くも一つ目のタイトルを手にした形だ。
そして、「マルカ」の冠名でお馴染みの日下部猛オーナーも重賞初勝利となった。ただし、“初”といってもそれは個人名義での話。2015年以前に使用していた河長産業の名義では重賞を13勝しており、馬主歴は40年を超える古参オーナーだ。
日下部オーナーの所有馬は近2年で6勝しているが、その鞍上は全て小沢騎手。同騎手がデビューして以降、平地では全出走数の内6割のレースで起用しており、目をかけてきたホープの恩返しに喜んでいることだろう。サンデーサイレンス産駒最後の大物として期待されたマルカシェンクなどで名を馳せた日下部オーナーだが、過去には同じように若手騎手を重用していたようだ。
「日下部オーナーの旧名義である河長産業は中央で240勝していますが、その内63勝は福永祐一騎手が挙げています。騎手別勝利数2番手は加用正騎手(現調教師)の25勝ですから、福永騎手の数字は圧倒的。ちなみに、福永騎手の馬主別勝利数でもこの63勝はサンデーレーシング、キャロットファーム、社台レースホースに次いで個人馬主トップの第4位です。
そして、日下部氏は福永騎手がルーキーの頃から多くの騎乗馬を任せており、彼がトップジョッキーに羽ばたく礎を築いたオーナーの一人と言っても過言ではないでしょう。前述のマルカシェンクではダービー4着に善戦するなど、印象深い名コンビでした」(競馬誌ライター)
ダービー3勝など今や日本を代表する騎手になった福永騎手も受けていた“寵愛”は、同期の中で最多の通算55勝を上げ将来を有望視される小沢騎手にとっても心強いだろう。
初重賞勝利を受けて小沢騎手は「沢山チャンスをいただいている日下部オーナーの馬で勝てたのも良かったです。いい競馬ができるように僕とラピッド、一緒に頑張っていきたいです」と感謝と今後に向けた抱負を語った。
9日にはマルカシャルマン(牡2歳、栗東・浜田多実雄厩舎)で芝の新馬戦を制するなど、マルカラピッド以外にも楽しみな馬が現れた。ベテランオーナーが支える伸び盛りなホープの成長をこれからも見守っていきたい。
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