
故・後藤浩輝騎手と名コンビ、アドマイヤコジーン死す。「早熟」と「晩成」両方を示した不屈の馬
後藤騎手を背にしたアドマイヤコジーンは、これまでの不調がウソだったかのように、02年の東京新聞杯(G3)では積極的に逃げ馬に並びかけて先行する競馬を見せ快勝。レース後、後藤騎手は勝利インタビューに「神風」と書かれた手ぬぐいを額に巻き登場して、大きな話題を呼んだ。
その後、このコンビは阪急杯(G3)も2着のダンツキャストに3と1/2馬身差を付けての圧勝を飾る。次走の高松宮記念(G1)では藤田伸二騎手が騎乗するショウナンカンプの前に涙を飲むも2着に入線。ここまでの走りで完全復活をファンに印象づけていた。
そしてアドマイヤコジーンと後藤騎手はその年の安田記念に登場する。レースはその年のクイーンエリザベスC(G1)を制したエイシンプレストン、前年の日本ダービー(G1)2着馬ダンツフレームなどが顔を揃え、アドマイヤコジーンは7番人気と主役級の評価を受けていたとは言いがたかった。
18頭立てで18番の大外枠に入ったアドマイヤコジーンは、復活後に見せたレース直後から果敢に先頭をうかがう競馬を展開。そして4コーナーから直線に入ると、早くも先頭へと進出した。早すぎる仕掛けに東京競馬場からは悲鳴に似た歓声が上がる。トップに立ったアドマイヤコジーンはダンツフレーム、ミレニアムバイオなどから追い上げられる。だがそのままハナを譲ることなく、アドマイヤコジーンはトップでゴール板を駆け抜けた。騎乗していた後藤騎手は大きく右手を天に掲げ、アドマイヤコジーンの3年6カ月ぶりのG1制覇、また自身にとって11年目、54戦目での悲願の中央G1初制覇の喜びを全身で表現した。
レース後のインタビューで後藤騎手は、「ありがとうございます。こみ上げるものがあります」と泣きながら語り、「とにかくやっぱり、この馬がね。その力があるところを証明してくれたというのとスタッフの我慢のおかげだと思います」と相棒、また同馬を支えたスタッフたちのこれまでの苦労をねぎらう言葉を絞り出していた。
勝利後、アドマイヤコジーンはスプリンターズS(G1)、マイルチャンピオンS(G1)へ向かうも、それぞれ2着と7着に終わる。マイルチャンピオンS後は後藤騎手とのコンビを解消。その後、武豊騎手を背に乗せて香港マイル(G1)へ挑戦するも、4着に終わった。これがアドマイヤコジーンの最期のレースだった。
早熟にして晩成の馬としても知られているアドマイヤコジーンとそれを支えた後藤騎手。ふたりは遠い地で久方ぶりの再開を果たし、何を思うのだろうか? とりわけ切ない訃報だった。
PICK UP
Ranking
23:30更新皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
ドゥラメンテ「最後の大物」出現なるか。わずか4世代から三冠牝馬リバティアイランドやG1・3勝タイトルホルダー「伝説」の最終世代をピックアップ
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 武豊が「告白」キタサンブラックによる宝塚記念(G1)の歴史的大敗劇で「何」があったのか……騒動が去った今だからこそ語られた「真相」<1>
- JRAスターズオンアース級「クラシック候補」が鮮烈デビュー!? 人気はなくても実力あり、リバティアイランドに強敵出現か
- 何故「JRAモレイラ」は誕生しなかったのか……号泣した香港No.1騎手の「今後」と識者が語った騎手試験の「真相」とは
- JRA歴代G1最多コパノリッキーの「真実」。Dr.コパが語った武豊騎手引退式「爆弾発言」と田辺騎手「作戦会議in銀座」