永島まなみ「初重賞勝利」の裏で功労者の存在…ブレイク予感のルーキーが導き出したマーメイドSの勝ちパターン

16日に行われた日曜京都のメイン、マーメイドS(G3)は、永島まなみ騎手が騎乗した4番人気アリスヴェリテ(牝4、栗東・中竹和也厩舎)が優勝。初コンビとは思えないような鮮やかな逃げ切り勝ちを演じた人馬は、ともに嬉しい重賞初制覇となった。
「最後の直線では、後ろから来ないでと思いながらでしたが、馬が最後まで頑張ってくれましたし、馬が助けてくれました」
デビュー4年目で初の重賞勝ちを噛みしめるように振り返った永島騎手だが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。今春はスウィープフィートというクラシック候補もいた中、武豊騎手に乗り替わったチューリップ賞(G2)を快勝するなど、ほろ苦い経験もした。
しかし、それを糧にして日々の努力を怠らなかった結果が、関係者との信頼を築き、今回のチャンスを呼び込むきっかけとなったはずだ。
勝利を呼び込んだ永島騎手の好判断
16頭立てのフルゲート。逃げたい馬としては外の7枠13番を引いたものの、永島騎手に迷いはなかった。
スタートしてすぐパートナーに気合をつけつつ先頭を窺う。藤懸貴志騎手のベリーヴィーナスもハナを狙う構えを見せたが、馬上の永島騎手の強い意思を察したのか共倒れを危惧したのか2番手に控える選択。2頭のハナ争いはあっけなく終わった。
ただ、それだけで終わらなかったあたりが好結果に結びついた。ハナを取り切ると徐々に後続を引き離して大逃げに持ち込んだ。離れた2番手に付けていた藤懸騎手とベリーヴィーナスは後続のマークがきつくなり、セーフティーリードの積み立てに成功したアリスヴェリテとは対照的なポジションとなったかもしれない。
その一方で特筆したいのは永島騎手の思い切りの良さである。レースでアリスヴェリテに騎乗したのは初めてにもかかわらず、すでに手の内に入れているかのような信頼関係が垣間見えていた。
そしてこの疑問については、レース後のコメントにヒントがあった。永島騎手も「前走騎乗していた柴田裕一郎騎手からアドバイスをもらっていましたし、ハンデの50キロもあって、この馬らしい競馬をしようと思っていました」と話しており、レースの前からイメージトレーニングを済ませていたのだろう。
「アリスヴェリテのマーメイドS優勝は、柴田裕騎手が試行錯誤した結果の賜物だったのかもしれません。というのも逃げる競馬があっていると見抜いたのは、柴田裕騎手だったといっても過言ではなかったからです。
近3走でコンビを組んだ人馬は、逃げる競馬と控える競馬を試みた結果、逃げがベストという答えを導き出していました。本来なら集大成となるはずだったマーメイドSで騎乗が叶わなかっただけに、それが間違っていなかったと確認できたものの、悔しい気持ちもあったでしょうね」(競馬記者)

陰の功労者は好素材のルーキー?
実際、初コンビの際は「2番手で我慢したいと思っていたのですが、僕が我慢できずに行ってしまいました」と振り返った柴田裕騎手だが、2戦目に「行く馬がいたので控えました。最後は伸び負けしてしまいました」、3戦目に「絶対に行きたかった」とレース後のコメントに変化が見えていた。
当然ながらアリスヴェリテのこういった特徴は、前任者の柴田裕騎手から永島騎手に伝えられていたに違いない。だからこそ「何が何でも逃げる」という強い意思で逃げ切りを成功させたと推測可能である。
もちろん、それを実際にやってのけたのは永島騎手の好騎乗があってこそ。前半1000m通過58秒3、後半58秒9とペース配分も素晴らしかった。1分57秒2の勝ちタイムも今年行われた京都芝2000m条件の最速タイ。50キロという恩恵はあるが、重賞の鳴尾記念(G3)と同じなら優秀だ。それは2着のエーデルブルーメに騎乗した川田将雅騎手から「勝った人馬をほめるしかありません」というコメントが出ていたことでもわかる。
ただ少々気の毒に思えたのは柴田裕騎手。本人は先月28日の調教騎乗中に放馬した馬に蹴られてしまい右脚を骨折。プロフィールに記載の体重は48キロだけに、コンビ継続なら自身の手綱で勝っていた可能性もあったか。
今回は永島騎手がチャンスを手に入れたが、柴田裕騎手もルーキーとは思えないほど肝の据わった騎乗を見せている。近い将来、乗れる若手騎手としてブレイクしても不思議ではない好素材だ。
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