
【徹底考察】オークス(G1) ロッテンマイヤー「忘れな草賞経由の女王は過去に4頭。超良血馬は昨年のミッキークイーンに続けるか」

『考察』
3歳牝馬クラシック第一弾の桜花賞(G1)で世代トップクラスのライバルたちが火花を散らし、結果的にオークス(G1)の大本命となるシンハライトが僅か2㎝差で涙を飲んだ。
そして、そこから僅か2時間前。オークスへの登竜門の一つとなる忘れな草賞(OP)を快勝し、オークスへ名乗りを上げたのがロッテンマイヤーだった。
過去に、この忘れな草賞を勝ってオークスを制した馬は4頭いる。1994年のチョウカイキャロル、1998年のエリモエクセル、2011年のエリンコート、そして昨年のミッキークイーンだ。
この4頭の忘れな草賞の内容は、時計もペースも展開も着差も様々。「こういう勝ち方をしたから、本番のオークスでも通用する」といった確かな共通項は見当たらない。
逆に言えば、彼女たちよりも優秀な時計や着差で本番に進んだ馬が、大敗を喫するといったシーンも珍しくない。例えば2007年のザレマはオークスで2番人気に支持されたが、見せ場のないまま10着に敗れている。
従って、ロッテンマイヤーがオークスで通用するか否かを判断するには、単純に忘れな草賞で「負かした相手」や、その「内容」で推理するしかないということだ。
例えば、昨年のミッキークイーンは、忘れな草賞でクイーンC(G3)3着、チューリップ賞(G3)4着の実績を持ったロカを2着に負かしている。3着は今年の福島牝馬S(G3)を2着して先週のヴィクトリアマイル(G1)にも出走を果たしたシャルールだ。
他にも、エリモエクセルの時は2着のヤマノセンプーがクイーンCで3着、3着のシンコウノビーにもフラワーC(G3)3着という実績があった。1番人気で快勝したチョウカイキャロルの時も2番人気はクイーンCの2着馬だ。
唯一、例外なのが、エリンコートが勝った年で、出走メンバーにこれといった重賞実績がない。だが、2着に負かしたハッピーグラスが次走のフローラS(G2)で4着、3番人気のシシリアンブリーズが次走のスイートピーSで2着してオークスの出走権を確保するなど、ある程度のレベルにはあったようだ。
そういった点で、ロッテンマイヤーが勝った今年の忘れな草賞は、2着のペプチドサプルが阪神JF(G1)で4着の実勢があり、次走で矢車賞(500万下)を完勝。この馬が紅梅S(OP)ではシンハライトと0.2秒差、アネモネS(OP)でもチェッキーノと0.2秒差の競馬をしているので、一定の水準はあるとみていいだろう。
ただ、気になるのは、忘れな草賞のレース内容だ。
スタートの3ハロン「38.6秒」というのは、この時期の牝馬の中距離戦としてもかなり遅いペース。忘れな草賞でいえば、歴代2番目の立ち上がりの緩さだ。1000mの通過も「64.8秒」と、まったくペースが上がらないまま、今年の忘れな草賞は実質、最後の3ハロンだけの競馬となっている。ちなみにレースの上がり3ハロン「33.7秒」は、忘れな草賞史上最速である。
ロッテンマイヤーはこの極端なスローペースでハナに立ち、そのまま逃げ切っている。つまり展開面でいえば、最も恵まれた位置にいたということだ。内容だけでいえば、中団からメンバー最速の上がりで2着したペプチドサプルの方が優れていた。
ただ、ロッテンマイヤーはクイーンCで中団から競馬して3着に食い込んでおり、決して逃げなければならないという馬ではない。ペースに合わせた自在性があるのは強みで、忘れな草賞の逃げも鞍上の川田将雅騎手の好判断だった。
そして、何よりもこの馬の強みは、その「血統」にある。
PICK UP
Ranking
11:30更新「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
「3大始祖」消滅の危機……日本で「2頭」世界で「0.4%」の血を残すべく立ち上がったカタール王族の「行動」に称賛
【ヴィクトリアマイル(G1)予想】ナミュールから6点で万馬券狙い! マスクトディーヴァは持ちタイムに不安ありで消し! 高速決着に対応できる穴馬で勝負
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
- 「空前の競馬ブーム」巻き起こしたオグリキャップ…ぬいぐるみはバカ売れ、見学ツアーも大人気、「ビジネスチャンス」生かしたオーナーの慧眼【競馬クロニクル 第64回】
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- 横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
- JRA出鼻をくじかれた「16億円」の大勝負……。「神の馬」の二の舞だけは避けたい日高に朗報!? 海外からのニュースに関係者も安堵か
- 「世代最強候補」クロワデュノールは本物なのか?ホープフルSで下馬評を覆す最強刺客
関連記事
【G1展望・優駿牝馬オークス】大本命シンハライトの「一強」か、それとも新勢力の「台頭」か……同世代にとって「生涯に一度」の頂上決戦が始まる
岩田康誠騎手が「ブエナビスタ級」と絶賛の素質馬参戦で話題のフローラS(G2)。頂上決戦オークスへ向かうのはどの馬か!
ブエナビスタ初仔にハープスター妹も。開業2年目で「超良血馬」続々……兄が三冠ジョッキーの「サラブレッド調教師」とは
【徹底考察】桜花賞(G1)・シンハライト&ジュエラー 「2本の矢」が「王者」に届く可能性は――
【G1回顧・NHKマイルC】やはりメジャーエンブレムは強かった!! 「彼女らしい走りを」C・ルメール騎手が会心のレースで「桜」のリベンジを果たす!