【徹底考察】弥生賞(G2)エアスピネル「このままでは終わらせない。不屈のエリート馬の雪辱戦が幕を開ける」

「雪辱」
『外から11番のエアスピネル!あっさりと交わしました!エアスピネル先頭で2馬身、3馬身リード!』
一瞬、手が届きかけた。
大本命で2歳王者という王道、相棒・武豊のJRA全G1制覇という歴史的快挙が、もう少し手を伸ばせば届く位置にあったのだ。
『しかし、外から15番のリオンディーズが追い込んで坂を駆け上がってくる!リオンディーズ!リオンディーズが交わしました!リオンディーズ、ゴールイン!2着にエアスピネル――』
その瞬間、大本命は敗者となった。
『エアメサイア!エアメサイア!外からシーザリオが一気に交わした!シーザリオ――』
世代の頂点を決める戦いでの、忘れ難い”屈辱の記憶”がフラッシュバックする。後に母エアメサイアは秋華賞を制して実力を証明したが、その頃”やつ”の母シーザリオはすでに伝説と化していた。
ただ、これで終わりじゃない。いや、体内を流れる”血”が「このままでは終わらせない」と叫んでいる。
未来は過去を払拭するためにあるからこそ――。
不屈のエリート馬エアスピネルの雪辱戦が幕を開ける。
『考察』
現状、いかにもマイラー色が強いエアスピネルにとって、リオンディーズに雪辱を晴らせる舞台は今週の弥生賞(G2)、もしくは皐月賞(G1)が最も可能性があると考えられる。何故なら、それ以降に日本ダービー(G1)、菊花賞(G1)と距離が延長されれば、有利になるのは距離適性に融通性のありそうなリオンディーズと考えられるからだ。
前走の朝日杯FS(G1)のレースレベル等は、前回の【徹底考察】を参考にして頂きたい。結論だけを述べると、リオンディーズとエアスピネルの2頭だけは、例年の2歳トップクラスの水準は十分に満たしている。
エアスピネルの朝日杯は、確かにリオンディーズに完敗の内容だった。特に不利があったわけではないし、もし勝利していれば「さすが武豊」と称賛されてもおかしくないほどのレース運びだった。
だからこそ敗れてしまったことは陣営にとってもショックだったろうが、それでもまだ完全に勝負付けが済んだとは言えない。
まず、朝日杯のエアスピネルは単勝1.5倍の大本命であり、武豊もそれに応えようとまさに「横綱相撲のレース」をした。スタートから無理をせず、道中は悠然と中団の外側に付け、直線では早々に先頭に躍り出る。あとは後続を突き放せば完ぺきだったのだが、最終的にリオンディーズの強襲に屈した。
つまり、朝日杯のエアスピネルは正々堂々、言い換えれば「あまりにも正直すぎる競馬」をしたことになり、リオンディーズら他馬の目標にされたことは間違いないということだ。
また、当時のエアスピネルからすれば、リオンディーズはほぼベールに包まれた未知の存在。無視とまではいかないだろうが、あの強烈な末脚に対策のしようがなかったともいえる。それに比べて今回は到底油断できる立場になく、まず末脚比べでは挑まないだろう。
スッと好位を取りに行けるダッシュ力や道中の操縦性など、武豊がエアスピネルのリオンディーズに勝っている点を最大限に生かす競馬をすれば、直線の短い中山ならば早め抜け出しで粘り込める可能性は十分にあるかもしれない。
新馬戦で5馬身以上の差をつけて負かしたロジクライがシンザン記念(G3)を制覇。2戦目で3馬身以上の差をつけたシュウジは小倉2歳S(G3)覇者と、朝日杯のパフォーマンスを含め、今更ながら能力に疑いの余地はないだろう。
【血統診断】
母が秋華賞馬エアメサイア。兄弟に目立った活躍馬はいないが、紛れもない良血だ。2冠馬エアシャカールの妹エアデジャヴーを祖母に持ち、ノーザンテースト×サンデーサイレンス×キングカメハメハという日本を代表するサイアーラインの持ち主。距離適性は血統的には幅がありそうだが、スピードに勝った本馬を見る限り、現状のベストはマイルから2000m程度か。2歳重賞を勝っているが、まだまだ成長が見込める血統。順調にいけば、秋には菊花賞ではなく、天皇賞・秋やマイルCSに駒を進めている可能性もある。
≪結論≫
好位を取りに行けるダッシュ力や道中の操縦性など、器用さを鑑みれば弥生賞においてリオンディーズ以上の安定株だろう。朝日杯こそ中団からだったが、新馬は3番手、デイリー杯2歳Sでは4番手から競馬しており、今回も好位で競馬するはずだ。本文にも記載したが、リオンディーズを負かすのに直線の長くない中山は最適で、体調面を考慮すれば最大のチャンスはここかもしれない。
ただ、リオンディーズ同様、この馬も目標はまだ先。もしも武豊が今後のことを踏まえて中団より後方で競馬をした場合、大崩れまであり得る。実際に先日のフェブラリーSでのコパノリッキーの騎乗はいつも通りの前々ではなく、中団から持ち味を出せないままに終わっている。
リオンディーズとの実力差はあるだろうが、競馬は必ずしも強い馬ばかりが勝つのではないというところを見せてほしいものだ。
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