「パチンコらしさ」を体現する名機。「スペック的な強さ」を持ちながらも「良い意味」で…
おっさんになるとどういうわけか神社仏閣が好きになるであろう?
ご多分に漏れず、私も隙あらば神社や寺を巡ったりするのであるが、親戚が京都に多く住んでいるので、それとはほとんど関係ないが、機会があれば京都の町をウロウロするのである。
で、ある時、東寺から伏見稲荷大社を経由して東福寺を目指すルートを徒歩で行こうと計画を立て実際に歩いたのであるが、その観光で一番興奮したのが、東寺から伏見稲荷大社の途中でたまたま前を通った「伏見工業高校」であるという罰あたり。
「うわ! 泣き虫先生の七年戦争がここで行われたんや! あの渡り廊下をウィリーしたバイクが走り抜けてったんか!?」と心の中で叫ばずにはいられなかったのである。もちろん、頭の中では『ヒーロー』が鳴り響いていた。
このように無神論者ながら神や仏を愛する私であるが、パチンコ業界にはまさに神も仏も恐れぬ強者がいて、事もあろうかお釈迦さまをモチーフにパチンコを作り上げたのである。そう、マルホンの『シャカRUSH』シリーズである。
神の領域まで達するマルホンのドットアクションとコミカルな演出がファンに受け、長きにわたってシリーズ化される運びとなった。その数も『シャカRUSH 7』『大シャカRUSH』『大シャカRUSH 7』『超シャカRUSH』『シャカンナー』の5作プラス羽根物『シャカRAP』と権利物『シャカリーナ』を加えれば実に7タイトルの一大派閥を形成するまでになったのである。
これは同社の大看板『ファインプレー』を抜いて、もっともシリーズ化された機種ではないだろうか。それほどまでに『シャカRUSH』が内外にインパクトを与えた影響は多大である。
その初代『CRシャカRUSH』が誕生したのは2009年。なんと新型インフルエンザの感染が広がり、WHOがパンデミック宣言をした年である。民主党圧勝による政権交代やスーパースター・マイケル・ジャクソンの死去など波乱の1年でもあった。
『シャカRUSH』の登場は年始めだったのであるが、疫病の流行、王(キングオブポップ)の死、政変などをみると、マルホンは大仏建立の見立てとして本機をリリースしたのではないかと、思わずムー的妄想に捕らわれてしまうほどである。
また、本機はかなりの出玉力を有するパチンコパワースポットともいうべき爆発力を兼ね備えていたのである。フルスペックと呼ばれる大当り確率が1/398.7の『R』は73回のST(突入率100%)が80%オーバーでループし、RUSH中の3/4は約1350発という威力。力こそパワー!
その一方で、大仏の螺髪(らほつ)をいじったり、「ゴッドハンド」とか「763(南無三)」などのダジャレを織り交ぜたり、真正面からふざけてくれる素敵な演出が満載となっている。この妙味も人気の一因。やはりヒットする機種はセンスが良いのである。
スペック的な強さを持ちながら良い意味でのバカバカしさを保つ。忘れられがちな「パチンコらしさ」を体現する名機である。
(文=大森町男)
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