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「チェリー抜き」を自力で発見?【ドラゴン広石『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』第91話:はじめての攻略】
![ドラゴン広石コラム『青春と思い出のパチスロと、しばしばパチンコ』](/wp-content/uploads/2022/10/doragon1014.jpg)
第91話 はじめての攻略
私は令和6年現在でパチンコ&パチスロ歴が43年になります。高校時代の友人には、在学中から商店街のパチンコ店で初代フィーバーを打ってた強者もいましたが、私は年齢的なフライングをしてないのでパチンコ&パチスロは大学デビューです。
でもって先日、私が初めて攻略したパチスロは何だったんだろうな…とセピア色の記憶を辿ってみると、どうやら1号機の『ナイアガラ』のようでした。もちろん、攻略といってもタケちゃん(中武一日二膳さん)が若い頃にやっていたような、危険と隣り合わせの攻略ネタじゃありません。
自分で発見した「ほんの少しだけ得をする打ち方」を実践していただけです。それでも、攻略誌のない時代に「自分で発見した」という事実が嬉しくて、その頃のことは今でもよく覚えています。
というわけで、今回は『ナイアガラ』の昔語りをお届けしましょう。
以下、本編。
■「とりあえず打ってみて身体で覚える」時代
時は昭和61年(1986年)の初夏。新風営法の施行により前年から設置が始まった「パチスロ1号機」は、最初の頃こそ導入を躊躇しているホールが多かったのですが、巷で大人気を博していわゆる「パチスロブーム」が巻き起こると、どこのお店もパチンコのシマを潰してパチスロのシマを作るようになりました。
当時、私は渋谷区の大学に籍を置いており、主に道玄坂や宮益坂周辺のホールでパチンコを打っていましたが、7月頃からパチスロにも手を出すようになったんです。そして、井の頭線のガード脇にあった「大番」というホールに、サミー工業の『ナイアガラ』が導入されました。
![サミー工業の1号機『ナイアガラ』。本機のボーナス抽選は「ブロック方式」と呼ばれる特殊なシステムで管理されており、投入枚数3700枚を1ブロックとして、その範囲内でビッグ&REGが発生する回数が予め決定される(設定差あり)。従って、大ハマリした後などに帳尻合わせの連チャンが発生することもあるが、ブロックの区切りを外部から判別することは不可能につき、「ハマリ台を当るまで打つ」という吸い込み方式の機種における定番攻略法はリスクが高かった。(写真は「パチスロ大図鑑1964~2000/ガイドワークス刊」より)](/wp-content/uploads/2024/07/91-1.jpg)
前述した通り、この頃は攻略雑誌は存在しない時代です。ちょっと内容的に怪しい攻略本は売られてましたが、大多数のプレイヤーは「とりあえず打ってみて身体で覚える」という無茶な打ち方を余儀なくされてたんですよ。
もちろん、私もその例に漏れません。何年か経って専門雑誌が創刊され、当時パチスロで稼いでいたプロの皆さんが懐古的なエピソードを書いているのを読んで、そんな攻略法もあったんだ…と驚くこともしばしばでした。
それに比べたら、新機種のデビュー前に機種のゲーム性から機械割、損をしない打ち方までわかる現在は、なんて素敵な時代だろうとつくづく思います。まぁ、当時はパチスロをよくわからずに打って損をしている一般客が圧倒的多数だったからこそ、正しい情報網を持って目押し技術に特化したプロの皆さんが美味しい思いをしてたんでしょうけどね。
さて、私が大番で初めて『ナイアガラ』を打ったのは、大学の夏休みが終わって帰京した頃でした(休み中は大分の実家に帰省していました)。とりあえず適当な空き台を確保して、それからシマの端にあるメダル貸し機で千円分のコインを借りました。当時は台間サンドなんていう便利なアイテムはないから、みんな千円分のコインを打ち切る度にメダル貸し機を往復していたんです。
そして、私が最初に行ったのは絵柄配列のチェックでした。後に「パチスロ必勝ガイド」の実戦人となり、「ジョーカー」のデータ取りで回転中のリールを見ながら絵柄配列を採取した時は、先輩ショッカーの皆さんに「目押しの達人」扱いされましたが、どうやら私は動体視力に長けていたようで、初心者の頃から普通に目押しができたんですよ。
余談はさておき、とりあえず通常時は左上段付近にチェリー付き7絵柄を狙い、右フリーで小役がテンパイした時は中にも小役を狙うようにしました。この打ち方だとベルを確実に取りこぼしますが、時間効率的にはベストのように思います。まぁ、小役補正機能は搭載されていたでしょうし、ボーナス成立後の等倍返しもあったから、さほど取りこぼしに神経質ではなかったんですよね。
![『ナイアガラ』の絵柄配列。](/wp-content/uploads/2024/07/91-2.jpg)
■チェリー抜きを自力で発見したんだね?
打っている内に少しずつわかってきたんですけど、この機種はフラグ不成立の絵柄をはずす以外に余計なスベリは発生せず、基本的にリールがピタピタ止まります。ゆえに、リールがスベって小役がテンパイすれば、それだけで小役が確定。7とプラムのダブルテンパイはプラムハズレでビッグ確定となり、スベリの有無にかかわわらず7の単独テンパイはそれだけでビッグが確定します。7絵柄の配置は「左3・中1・右2」につき、ハサんだ方がフラグ察知が早くなるというメリットもありました。
でもって、ナイアガラってビッグ成立後にチェリー抜きができたんですよ。どういうことかというと、左枠内にチェリーと7が同時に停止する位置をビタ押しすると、「フラグ不成立のチェリーを枠下に逃す制御」よりも「フラグ成立したビッグ絵柄を枠内に停止させる制御」の方が優先され、ビタ押しを駆使して連チェリーを取り続ければ、1Gあたりプラス4枚の速度で出玉が増えたんです。これは現在の『スマスロ北斗の拳』のATに匹敵する純増枚数であり、いかに破壊力絶大な攻略法だったかわかりますね。
「なるほど、つまりチェリー抜きを自力で発見したんだね?」
まぁ、その通りなんですけどね。残念ながら抜き倒すことはできませんでした。だって、ボーナスも引かずにコインが増えていると目立つし、この店は7枚1回交換につき出玉を流す時に不審に思われますから…。後の文献によれば、各種攻略法の実践は必ずケツ持ちを伴って行っていたそうな。
まぁ、それはそうですね。なので、小心者の私は周囲の目が怖くてチェリー抜きを封印しました。ほどなくして対策機の『ナイアガラ2』がリリースされ、チェリー抜きは歴史の闇に消えていきましたとさ。
■「JAC獲得枚数アップ打法」
ところで、実はもう一つナイアガラには攻略法がありましてね。その名も「JAC獲得枚数アップ打法」。ナイアガラのJACゲームは他の1号機と同じく4Gで計12回ですが、JACが入賞するパターンが予め決まってたんですよ。
1G目 当り・外れ・外れ
2G目 当り・外れ・外れ
3G目 当り・外れ・外れ
4G目 当り・当り・当り
これで計6回のJACがヒットして純増78枚となります。
しかし、初ビッグのJACで1G目にハサミ打ちで消化してみたら、第3停止でたまたま中段にプラムが揃って14枚が払い出されたんです。こんなのが偶然の産物のはずがありませんから、おそらくはプログラム上で仕込まれていたんだと思います。だけど配列を見てわかる通り、中リールにプラム絵柄は1個だけ。なので適当に消化している一般客は、狙えば取れるはずのプラムを取りこぼしていたんですよ。
このカラクリに私はすぐに気づきました。そして、どうせ取るなら14枚役のプラムより、15枚役のベルを揃えた方が得だ…と思い立ち、右から押して第3停止でベルを取る手順に辿り着いたんです。ベルも左に1個しかないから狙わないと取りこぼします。いずれの場合も取りこぼすとJACのヒットパターンが崩れるため、この時だけは目押しができることに感謝しました。
![JAC獲得枚数アップ打法を紹介した「パチスロ大図鑑」のカコミ記事。中押しの場合は上段にベルを揃えることができるが、この場合は必ず3枚がけでJACインさせる必要がある。](/wp-content/uploads/2024/07/91-3.jpg)
この手順を実践すれば、通常は獲得枚数が約90枚のREGで、135枚の出玉を獲得することができます。ビッグ中も同じ手順で増やしが可能ですが、もしかするとマシン側が枚数調整を行っていたかもしれませんね。うーん、そこらへんはよく覚えてないや。
ともあれ、私は誰に教えられるでもなく、これらの攻略を自力で発見しました。もちろん、私みたいなド素人が発見できるくらいですから、当時のプロの皆さんは速攻で辿り着いて抜き倒していたと思います。しかしながら、自力で発見することがパチスロの醍醐味であると考えると、全てがお膳立てされている現在のパチスロは、ある意味で「楽しさ」を自ら放棄しているのかもしれませんね。
皆さんはどう思われますか?
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