競馬界の悲劇ーー後藤浩輝騎手、突然の自殺から1年……くすぶる「死の謎」と「一家心中」の壮絶半生

JRA所属・後藤浩輝騎手が死去してから、27日でちょうど1年となる。
テレビ出演や始球式など、競馬界における”エンターテイナー”としてファンからも関係者からも愛された後藤騎手。もちろんジョッキーとしての腕も一流で、通算1,447勝、中央G1・5勝という輝かしい実績も持ち合わせていた。
しかし、後藤騎手の人生はある日突然終わりを告げた。2015年2月27日、自宅の脱衣所で首を吊って死んでいるのが発見された。ファンはもちろん、騎手仲間や競馬サークルの誰もが思いもよらない、唐突すぎる死だった。
警察の調べでは、後藤騎手の死は”自殺”と見られている。事件性がないのは事実なのだろう。しかし、いまだに彼が自殺をしたという事実を信じられない人間は非常に多い。
自殺の原因として語られるのが、2度の「落馬負傷」により頚椎を痛めたことがあげられる。12年のNHKマイルC(G1)で第一、第二頸椎骨折、頭蓋骨亀裂骨折と診断されて休養。復帰後は盛岡のマイルチャンピオンシップ南部杯でいきなり重賞勝利と復調ぶりをアピールするが、14年4月にまたも落馬負傷。一時は引退を考えるほどだったそうだが、懸命のリハビリの末、同年11月不死鳥のごとくターフに戻ってきた。その後は安定して勝利を重ね、順調に数字を伸ばしてもいた。好調を維持していた中での自殺だったのだ。
理由の一つとして挙げられるのが、死の5日前、ダイヤモンドステークス(G3)でまたも落馬したこと。大事故にはいたらなかったものの、2度の大事故の恐怖がフラッシュバックした可能性はあるらしい。しかし、その後5日間は特に変わった様子もなかったというのだから、理由としては弱いかもしれない。
「落馬事故がまったく影響しなかったとは言い切れない。これが直接的な自殺原因かは定かではないが、もともと情緒不安定気味なところがあった後藤騎手にとって、頚椎や頭ばかり痛めているうちに、なんらかの悪影響を受けてしまった可能性はゼロではない」(競馬関係者)
過去には、後輩である吉田豊騎手を木刀で殴るという事件を起こすなど、精神面の浮き沈みは激しいほうだった後藤騎手。度重なる負傷により、本人にしか理解できない”恐怖”を抱いていた可能性は高い。
複雑な家庭環境で育ち、父と「一家心中」一歩手前という状況もあった後藤騎手の少年時代。『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)や競馬のイベントで見せていた彼の姿は、暗い過去を拭い去ろうとする心の表れだったのでは……と今になって想像してしまう。
時折”閉鎖的”とされる競馬界において、タレント性のある後藤騎手は武豊・幸四郎兄弟とならんで貴重な存在だった。競馬界にとっても大きすぎる損失で、その穴が埋まっているとは思えない。
時が経つほどに存在が大きくなっていく後藤浩輝騎手。改めて、心よりご冥福をお祈りしたい。
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