「藤田さんにはいつも怒られていたけど……」M.デムーロ思い出の1頭。有馬記念「2cm差」の勝利、ドバイで悲願達成ヴィクトワールピサが新天地へ
22日、ヴィクトワールピサ(牡13歳)がトルコで種牡馬入りすることが明らかになった。トルコジョッキークラブのホームページで発表されている。
代表産駒は16年の桜花賞馬ジュエラー、今年のマイルCS(G1)で4着に入った重賞ウィナー・スカーレットカラーがいるが、どちらも牝馬だった。牡馬で最も重賞に近づいたのは17年のスプリングS(G2)で2着のアウトライアーズと、後継種牡馬を送り出すことが出来なかった。
だが、父にサンデーサイレンス系のネオユニヴァースを持ち、G1・3勝の実績を持つ名馬は世界的にニーズがあって当然だろう。新天地となるトルコはパート2国だが、2008年にパート3から昇格しており、競馬のレベルが年々上がっている国である。ヴィクトワールピサの血がトルコ競馬の発展に大きく貢献するはずだ。
そんなヴィクトワールピサに並々ならぬ思い入れがあるのは、M.デムーロ騎手だろう。
10年の有馬記念(G1)で、デムーロ騎手と初コンビを組んだヴィクトワールピサ。春は5連勝で皐月賞(G1)を制し、秋には凱旋門賞(G1)に挑戦した。結果は7着に終わったが、前走のジャパンC(G1)で3着に入り復調気配を見せたことから、有馬記念では2番人気に支持された。
ただ、2番人気とはいえ、単勝オッズは8.4倍。1番人気ブエナビスタが1.7倍の一本かぶりだった。3番人気ペルーサが8.9倍だったことを考えれば、ブエナビスタとその他ライバルという構図とも呼べるだろう。
そんな中、ヴィクトワールピサは積極的な先行策から、大本命ブエナビスタの追撃をハナ差凌いで優勝。わずか2cm差の大接戦を制したことで、インタビューの際にデムーロは涙を浮かべた。
そして、ヴィクトワールピサとデムーロ騎手のベストレースといえば、11年のドバイワールドC(G1)を忘れてはならない。
当時、日本は東日本大震災の発生により、暗いムードが漂っていた。そんな中、震災発生から15日後に日本から遠く離れたドバイで行われたドバイワールドCをデムーロ騎手とヴィクトワールピサのコンビが優勝。日本調教馬として初の偉業という明るいニュースは日本に元気を与えた。
さらに2着は藤田伸二騎手のトランセンドが入り、日本馬のワンツーフィニッシュ。これ以上ない結果と言えるだろう。異国で日の丸が掲げられ、デムーロ騎手は馬上で涙を流した。まさに歴史的名シーンである。
そんなドバイワールドCについて、昨年にデムーロ騎手が振り返っている。詳細については本サイトを確認いただきたいのだが、『netkeiba.com』の連載コラム『ノンフィクションファイル』にて、デムーロ騎手は「まるで夢のなかにいるようでしたね」と語った。
また、ゴール後に藤田騎手から祝福されたことについて「藤田さんには、短期免許で乗りにきたときにいつも怒られていたんですけど、あのドバイのワンツーをきっかけにすごく仲良くなりました(笑)」と思わぬ暴露も飛び出した。
日本中に感動を与え、デムーロ騎手と藤田騎手の“絆”も築き上げたヴィクトワールピサ。デムーロ騎手も異国での種牡馬生活を応援しているはずだ。
PICK UP
Ranking
11:30更新- 【天皇賞・春(G1)】ドゥレッツァも、タスティエーラも不安材料たっぷり? キャプテン渡辺「渾身の本命馬」は【徒然なる神のくず競馬トーク】
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 帝王賞でウィルソンテソーロ降板も決定済み…気になる「鞍上交代」はやっぱりアノ人?
- 【天皇賞・春(G1)予想】「盾男」武豊騎手&サリエラから三連複1点勝負!
- 【青葉賞(G2)予想】データも後押しシュガークンの可能性にかけて勝負!キタサンブラック弟を頭に流す
- 【天皇賞・春】武豊に次ぐ「長丁場の鬼」が超人気薄で虎視眈々…!?「バテない馬だし京都向き」惨敗で評価急落も条件大好転
- 【青葉賞(G2)】「武豊×シュガークン」に立ち塞がるライバル3頭! 新馬戦でジャスティンミラノに敗れた「東の大物」が急浮上【週末重賞ピックアップ】
- 【天皇賞・春】堅そうだから本命は上位人気で勝負!C.ルメール不在なら「初G1勝利コンビ」に期待したくなるよね【UMAJOモモのオイシイ競馬】
- 【天皇賞・春】春G1「勝利の方程式」がまたまた出現!14番テーオーロイヤルに“やり過ぎ感”…思い出したい「待て、あわてるな、これは孔明の罠だ」の声
- 目を掛けた愛弟子の「造反」に師匠がブチ切れ!? 今村聖奈、角田大河の謹慎中に存在感発揮も…安田記念前に師弟関係で遺恨勃発か
- 【青葉賞】実力派中堅が「88連敗中」の不思議…越えておきたいG2の壁、「スランプ突入」木村哲也厩舎の救世主となれるか
関連記事
有馬記念(G1)「武豊の法則」でワールドプレミアに1着なし!? 4243勝レジェンドが「特に面白みのない魅力に欠ける存在」と言われ続ける理由
3冠馬対決「第2ラウンド」は大阪杯(G1)!? デアリングタクト金鯱賞から始動で気になる次走。杉山調教師「意味深コメント」から読み解ける選択肢とは
有馬記念(G1)クロノジェネシス「オグリキャップ超え」新記録の違和感!? 最低記録ゴールドシップが「翌年」倍増……JRAがぶら下げた「60万円分の純金」とは
競馬関係者とマスコミ「関係悪化」の危機!? 騎手会からクレームに事態が発展…… 専門紙と日刊紙の対応に明暗
有馬記念を巡るJRAの行き過ぎた温情!? 武豊ディープインパクトがセーフでR.ムーアはアウト!? オルフェーヴル池添謙一は騎乗停止「実質0日」