
JRA重賞ルメデム決着は「20度目」のご無沙汰。勝利数はトリプルスコアの惨敗も、M.デムーロが「上回る」点とは
17日に行われた京成杯(G3)は1番人気グラティアスが人気に応えて優勝した。
半姉にレシステンシアを持ち、セレクトセールで2億4840万円(税込)で取引された期待の良血馬がクラシックに向けて価値ある勝利を挙げた。C.ルメール騎手は「楽勝でした。体も大きくなって、少し大人になりました。G1レースにもいけると思います」と手応えを感じた様子。今後、注目すべき1頭となりそうだ。
2着には2番人気のタイムトゥヘヴンが入り、上位人気2頭による決着となった。M.デムーロ騎手は押し出される形で先頭に立ったことを悔やみながらも、「初めて乗りましたが、良い馬でした」と素質の高さを評価した。次走の巻き返しに期待したいところだ。
京成杯は1番人気、2番人気の決着だったが、ルメール騎手、デムーロ騎手による外国人騎手による久々のワンツーでもあった。これは昨年のNHKマイルC(G1)以来、約8か月ぶりの出来事である。
2015年にJRA通年免許を取得した両ジョッキー。初年度は3月からの騎乗開始だったにもかかわらず、デムーロ騎手は獲得賞金部門で、ルメール騎手は勝率部門でいきなりトップに立った。以降、日本競馬で大活躍して、大舞台に強いデムーロ騎手、堅実な騎乗のルメール騎手といった印象をファンに与えた。
重賞で“ルメデム決着”となることは珍しくなく、終わってみれば「外国人騎手から買っておけば良かった」と後悔することは、競馬ファンにとって”あるある”だったはずだ。
だが、近年はルメール騎手が平場、重賞問わず輝かしい成績を収める一方で、デムーロ騎手は不振に陥っている。
昨年はルメール騎手が204勝だったのに対して、デムーロ騎手はJRA通年免許取得後ワーストとなる65勝に終わった。年間G1勝利数の比較でも、8勝に対し2勝と大差がついた。
デムーロ騎手の不振はルメデム決着の頻度減少にも表れており、18年は7度もあったが、19年と20年はわずか1回。これはデムーロ騎手が年間100勝を達成できなくなったタイミングとリンクしている。昨年の秋競馬は新型コロナウイルスの影響で短期免許の外国人騎手がおらず、例年と比べて騎手層が薄かった。それにより”ルメール無双”となっていたが、デムーロ騎手は思うような結果が残せなかった。
同期のライバルに大きく水を開けられてしまったデムーロ騎手だが、ルメール騎手にもまだ負けていないこともある。
これまでに20回あった重賞でのルメデム決着のうち、13回はデムーロ騎手が勝利。昨年のNHKマイルCでも9番人気ラウダシオンで、1番人気レシステンシアを下している。これ以外にも、7度はルメール騎手の騎乗馬より人気薄で勝っており、勝負強さでは負けていない。
ただ、デムーロ騎手の不振によりルメデム決着が減っているという側面があり、勝ち逃げという見方もできてしまう。それを払拭するためにも、デムーロ騎手がかつての輝きを取り戻し、両ジョッキーが大舞台を沸かせる頻度が増えることに期待したい。
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