JRA 横山武史「ルメール超え」函館リーディング獲得も痛み分け!? 2人揃ってクラシックに収穫なしの条件、対照的に大物候補をゲットした3人に武豊騎手の期待馬も?
エルムS(G3)が行われた8日、今年の函館競馬場での開催が早くも終了。15勝を挙げた横山武史騎手が、2年連続2回目リーディングジョッキーの座を手に入れた。
13勝で2位だったルメール騎手との接戦をモノにしての獲得に「自信にもつながります」と喜んだ関東の若武者は、14日から札幌に舞台を移す北海道シリーズの完全勝利も目論んでいる。
函館リーディング争いでデッドヒートを繰り広げた2人だが、勝利数こそ稼いだものの、2歳新馬戦では大きな収穫を得られずに終わった。
7月3日から8月8日までの函館開催で組まれていた2歳新馬戦は12レース。計9鞍に騎乗した横山武騎手の成績は【2.1.0.6/9】だった。2勝の内訳は、ダート1000mで大差勝ちしたダンスウィズジョイ、芝1200mで7馬身差の圧勝を決めたソリッドグロウだが、いずれも短距離のレースだ。
対するルメール騎手は計7鞍に騎乗して【0.3.0.4/7】の成績。1番人気3回、2番人気1回、3番人気2回、4番人気1回という恵まれた馬質にしては、もうひとつパッとしない印象である。
夏の北海道開催でデビューし、クラシック戦線で活躍した馬はこれまで多数いるだけに、来春を考えるとお手馬候補に出会いたかったところだろう。
そんな“収穫なし” に終わった2人に比して、いい出会いがあったのは武豊騎手、団野大成騎手、小沢大仁騎手の3人。
1人目の武豊騎手がコンビを組んで勝利したのはアルナシーム(牡2、栗東・橋口慎介厩舎)とロン(牝2、栗東・石橋守厩舎)の2頭。アルアイン、シャフリヤールを出したドバイマジェスティの孫という血統のアルナシームも期待馬だが、キーファーズ所有のロンにもかなりの手応えを掴んでいた様子だ。
同馬は1日に5Rの2歳新馬(芝2000m)を勝利したが、武豊騎手も自身の公式HPで触れるほど中身のあるレースだったようである。4日に更新した日記のタイトルが「将来的にも楽しめる馬」と書かれていたことも、ロンに対する期待の大きさが表れている。
2人目の団野騎手がコンビを組んで勝利したのはトップキャスト(牝2、栗東・高橋康之厩舎)。同馬は25日、函館競馬場で行われた5Rメイクデビュー函館(芝1800m)を、函館の2歳レコードに0秒2差で勝利した。
このときの勝ち時計1分48秒5は歴代2位の好時計。レコードホルダーのウィクトーリアがフローラS(G2)を勝ってオークス(G1)でも4着に入ったように期待も大きい。種牡馬引退が近いダイワメジャーの産駒としても、最後の大物となり得る素質馬だ。
3人目の小沢騎手がコンビを組んで勝利したのはエクラノーブル(牝2、栗東・浅見秀一厩舎)。同馬は、7月11日の2歳新馬(芝1800m)で5馬身差の圧勝劇を演じた。
稍重馬場での走破時計1分51秒7は、翌日日曜に同じ芝1800m戦を制した評判馬リューベックの勝ち時計1分51秒4と遜色ないもの。こちらが良馬場だったことを考慮すると、互角以上の評価も可能だ。
奇しくも牝馬ばかりとなったが、3頭とも甲乙つけがたい素質の持ち主。来週のクラシックで横山武騎手やルメール騎手のライバルとなって立ちはだかる可能性も十分だろう。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。
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