
JRA阪神JF(G1)「勝率75%」ソダシ育てた名伯楽が勝負気配、「ドゥラメンテの牝馬は走らない」噂もついにストップか
2015年の皐月賞(G1)や日本ダービー(G1)を制したドゥラメンテが、9歳という若さでこの世を去った今年8月31日、突然の訃報に競馬界に衝撃が走った。
種牡馬として産駒は2年目を迎え、未来の活躍馬誕生に期待がかかっていた矢先だっただけに、あまりにも惜しまれる。各関係者にとっても青天の霹靂だったに違いない。
無念の死の直後、産駒のタイトルホルダーが菊花賞(G1)を制し、父ドゥラメンテが成しえなかった最後の一冠を勝つという感動的なドラマを演じたのも記憶に新しいところだ。
そんななか、一部でまことしやかに囁かれていたのが「ドゥラメンテ産駒の牝馬は走らない」という噂だ。
気性的に難しい馬が多いことから、いつしか競馬ファンの間でそういったイメージが強くなっていたのだろう。確かに重賞戦線ですでに活躍をしている現3歳世代のタイトルホルダーやキングストンボーイなどは、いずれも牡馬であり、牝馬で重賞を勝った馬は出ていない。
勝ち上がり率(2021年11月末まで)を比較しても、のべ262頭で牡馬が37.3%に対し、牝馬は25.8%と劣勢だ。現2歳世代だけ見ると、今のところ牡牝で大きな差はないが、トータルを考えると、「ドゥラメンテ産駒の牝馬は走らない」という噂は、一理あるようだ。
そんな“レッテル”を覆すべく、12日(日)に阪神競馬場で行われる阪神JF(G1)にベルクレスタ(牝2、栗東・須貝尚介厩舎)が挑む。今回がドゥラメンテ産駒の牝馬としては、初のG1出走。鞍上は引き続き松山弘平騎手を予定している。
ベルクレスタは、デビュー当初から競馬関係者の間で期待の大きかった馬だ。新馬戦では、翌週の朝日杯FS(G1)で上位人気確実なセリフォスに敗れたが、次戦の未勝利戦では2着に3馬身半差の完勝。前走のアルテミスS(G3)では、初重賞ながら2着と好走して見せた。

レース後、騎乗した松山騎手は「(今回は)勝ち馬の決め手にやられてしまいました。それでもこの馬の成長も感じますし、この先が楽しみです」とすでに先の大舞台を意識しているようなコメントを残していた。
1週前追い切りでは、栗東坂路で4ハロン51秒1-12秒0と自己ベストタイの好時計をマーク。管理する須貝師も「思ったより時計が出たね。反応もいいし、すごく具合もいい」とコメントしており、体制は万全のようだ。
実は須貝師は、阪神JFにおいて4戦3勝と無類の強さを誇る。昨年の同レース勝ち馬ソダシをはじめ、2012年のローブティサージュや2013年のレッドリヴェールでも勝利しており、とにかく相性がいい。
さらに朝日杯FSにおいても、2014年から阪神競馬場での開催に移行後は、15年のシャドウアプローチ(11番人気、3着)や昨年のステラヴェローチェ(2番人気、2着)と3頭送り出して2頭が馬券内。まさにこの時期の阪神芝マイルG1は“庭”と言ってもいいだろう。
そんな強力なエスコートもあり、産駒では牝馬初の重賞勝利とG1勝利に期待がかかる一戦となる。亡き父に吉報を届けるべく、ベルクレスタが「ドゥラメンテ産駒の牝馬は走る」と証明してくれるはずだ。
(文=ハイキック熊田)
<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?
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