
JRA 福永祐一の離脱も「強奪」相手は横山武史の大誤算!? ホープフルS(G1)クラシック候補で初重賞勝利が遠のいた若手ホープへのクビ宣告

28日に中山競馬場で行われるホープフルS(G1)に出走を予定しているキラーアビリティ(牡2歳、栗東・斉藤崇史厩舎)の鞍上が、近2走で手綱を取っていた岩田望来騎手から横山武史騎手に乗り替わることがわかった。
ディープインパクト産駒のキラーアビリティは、デビュー前からPOGで人気を集めた期待馬。鞍上にC.ルメール騎手を迎えたデビュー戦こそ5着に敗れたが、岩田望騎手と新コンビを結成した2戦目の小倉芝2000mの未勝利戦が圧巻の内容だった。
後方から楽な手応えで進出を始めると、瞬く間に先行集団を一蹴して7馬身差の圧勝。それも従来のレコードを1.7秒も上回る1分59秒5というオマケつきだ。勝ち時計もさることながら、ラスト1ハロンは10秒8をマークしており、父譲りの瞬発力でも注目を集めていた。
そんな将来のクラシック候補にとって、G1初挑戦のパートナーは、福永祐一騎手を予定していた。だが福永騎手は12日に行われた香港スプリント(G1)で落馬負傷した影響で、ホープフルSの騎乗を断念。そこで横山武騎手に白羽の矢が立ったのだ。
同騎手は4月の皐月賞(G1)でエフフォーリアに騎乗してG1初勝利。また、10月は菊花賞(G1)のタイトルホルダー、天皇賞・秋(G1)のエフフォーリアと2週連続でG1を制するなど絶好調だ。
大舞台に強いだけでなく、年間を通じて成績も安定している。現在98勝で関東2位の吉田隼人騎手に13勝差をつけ、2年連続の関東リーディングをほぼ手中に収めている。最近はシュネルマイスターやアリストテレスといった有力馬への代打騎乗も増加しており。今回のキラーアビリティもその手腕を評価されての起用だろう。

デビュー5年目にしてトップジョッキーの仲間入りを決めた横山武騎手の躍進ぶりと対照的な状況に陥っているのが、関西の若手のホープ岩田望騎手だ。
今年の騎手リーディングで86勝の岩田望騎手は、横山武騎手に次いで全国リーディング6位。すでに76勝で9位だった昨年を上回っており、勝利数では横山武騎手と遜色のない活躍をしているように見える。
しかし、岩田望騎手はG1どころか重賞すら未勝利と中身は全く異なる。これまで重賞に通算85戦騎乗し、中には上位人気に支持されるような有力馬にも複数回騎乗したが、最高でも2着まで。2019年デビューの同期では1番多く勝利数を稼いでいるが、団野大成騎手や菅原明良騎手などは、既に重賞勝利を経験していることから、気にするなというのは無理だろう。
それを象徴するのが、今回のキラーアビリティ降板だ。
同騎手は先述の小倉戦で同馬を初勝利へ導くと、続く前走の萩S(L)でも騎乗。6頭立てのレースながら、3・4コーナー中間で先行する2頭へ並びかける競馬をしたが、ゴール手前で競り合ったダノンスコーピオンに敗れている。
萩Sでの敗戦が決定打となったのかはわからないが、陣営は岩田望騎手から福永騎手へのスイッチを決断。とはいえ、福永騎手が乗れないとなれば、前走まで騎乗していた岩田望騎手へ戻ることも考えられたが、馬主・陣営サイドはテン乗りになる横山武騎手を選んだようだ。
岩田望騎手とすれば、小倉で出会ったクラシック候補で悲願の重賞初勝利を達成したかったかもしれないが、それまでに関係者からの信頼を勝ち取れなかった自身の実力不足を悔いるしかない
果たして関西のホープの元へキラーアビリティは再び戻ってくるのだろうか。それとも関東のホープが勝負強さを発揮して、お手馬にするのだろうか。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……
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