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JRA 「無職」のどん底から1か月後にG1制覇、豪運オニャンコポンオーナー「波瀾万丈」の大逆転人生

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菅原明良騎手 撮影:Ruriko.I

 16日、中山競馬場で行われた京成杯(G3)は、6番人気のオニャンコポン(牡3歳、美浦・小島茂之厩舎)が優勝。前走・ホープフルS(G1)11着からの巻き返しに見事成功し、4月に同コースで開催される皐月賞(G1)の有力馬の1頭に名乗りを上げた。

 騎乗した菅原明良騎手はレース後、「デビューした時から力のある馬だと思っていたので結果を出せてうれしいです」と喜びを語った。

 前走で惨敗したにもかかわらず、20歳の菅原騎手を乗せ続けているのが、馬主歴20年目を迎えた田原邦男オーナーだ。

 レース後には自身のTwitterに「やりましたよ!関係者の皆様、応援してくださったファンの方々ありがとうございました!」と興奮気味に投稿。レースから丸1日たった17日16時現在、このツイートには、8500件を超える「いいね!」がついている。

「14年前、ブラックエンブレムでフラワーC(G3)と秋華賞(G1)を制した田原オーナーが、重賞を勝利したのは2008年以来。また、これまで所有した30頭以上のほとんどをセリで購入しています。

所有馬が、購入額2000万円を超えたのは過去に1頭だけ。ほとんどが1000万円前後と徹底しています。ちなみにオニャンコポンを購入したのは3年前の当歳セレクトセール。800万円(税抜)という格安でした。

奇しくも京成杯に出走していたホウオウプレミアが同じセールで2億7000万円(税抜)という高値をつけましたが、昨秋の百日草特別(1勝クラス)に続き、レースでは今回もオニャンコポンに軍配が上がりました」(競馬誌ライター)

 800万円のオニャンコポンが33倍以上の高額馬ホウオウプレミアを2度も撃破しただけでも驚きだが、決して多くない所有馬の中から2頭目の重賞勝ち馬を出した田原オーナーの豪運もかなりのもの。実はブラックエンブレムで秋華賞を制覇した08年は転機の年でもあった。

 田原オーナーが自身のTwitterに記しているように、その肩書きは「日本中央競馬会 馬主、投資家、マンションコレクター」である。慶応大学卒業後にゴールドマン・サックスに入社し、エリート街道を歩んできた。

 そんな折、08年4月に契約したのがリーマン・ブラザーズだった。ところが、その年の9月に同社が倒産。ブラックエンブレムが秋華賞を制した際は「無職オーナー」として話題になった。

「当時の懐事情はもちろん分からないですが、無職といってもエリートサラリーマンとして蓄えはあったはずです。それでも『リーマンショック』を最も身近で経験していますから、ブラックエンブレムの活躍は励みになったことでしょう。その後は15年にゆうちょ銀行で執行役員に就任し、19年4月から20年6月まで同社で執行役副社長も務めていました」(同)

 金融業界を歩んできただけに、馬主としての楽しみ方も一風変わっている。田原オーナーは『公益社団法人日本軽種馬協会』が提供している「JBIS」のサイト内インタビュー記事で、次のように語っている。

「もしボクが何兆円も財産があったら全部買えちゃうけど、それじゃ面白くないんですよ。金融の世界にも通じるところですけど、制約がある中でいかに最良のものを求めて、リターンを極大化するか。そこがゲーム感覚でもあるんです」

 800万円で購入したオニャンコポンは京成杯だけで賞金4000万円を獲得。今後の活躍次第では購入額の何十倍もの利益をもたらしてくれる可能性もあるだろう。田原オーナーの進撃はまだ始まったばかりだ。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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