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地方の怪物「オグリキヤツプ」が「オグリキャップ」になった日……。噂に違わない強さ「オグリ伝説」の幕開けを改めて振り返る

地方の怪物「オグリキヤツプ」が「オグリキャップ」になった日……。噂に違わない強さ「オグリ伝説」の幕開けを改めて振り返るの画像1

 16日、土曜阪神のメインは、3歳マイル重賞のアーリントンC(G3)が行われる。朝日杯FS(G1)3着馬ダノンスコーピオンを中心に骨っぽいメンバーがそろい、本番のNHKマイルC(G1)へ目が離せない一戦となりそうだ。

 1992年に創設され、今年が31回目というこのレース。タニノギムレットやジャスタウェイといった多くのスターホースが勝ち馬に名を連ねている。

 歴史をひもとくと、87年に創設され91年に廃止されたペガサスS(G3)を前身とする。当時も阪神・芝1600mが舞台で、僅か5回という短命に終わったが、勝ち馬5頭のうち2頭が後にG1馬に輝いた出世レースだった。

 G1馬2頭のうちの1頭は89年の覇者シャダイカグラ。次走の桜花賞(G1)で武豊騎手に初の牝馬クラシック優勝をもたらしたことで知られる名牝だ。そしてその前年、88年のペガサスSを勝利したのがあの“怪物”だった。

 前年に公営・笠松でデビューした当時の馬名は「オグリキヤツプ」。公営競馬では1990年頃まで小文字表記が認められておらず、3歳になってすぐの88年1月に中央へ移籍した際に、名称を読み通りの「オグリキャップ」表記に改めた。

 

ここから始まったオグリキャップの伝説

 

 2歳春のデビューから3歳はじめにかけて、笠松で圧倒的な強さを見せつけたオグリキャップ。12戦10勝の成績を引っさげ、移籍から約1か月後、満を持して中央初戦を迎えた。

 すでに中央ファンからの注目度は高かったオグリキャップ。ところが、中央初戦は1番人気をシンザン記念(G3)勝ち馬で4連勝中だったラガーブラックという馬に譲った。

 オグリキャップの鞍上を務めたのは、当時全国リーディング争いの常連で、3歳秋にかけて主戦を務めた河内洋騎手(現調教師)だった。「オグリ伝説」の幕開けとなったそのレースを改めて振り返ってみたい。

 中継した『関西テレビ』のレース実況を担当したのは、杉本清アナウンサー。レース直前の実況席ではオグリキャップの話題も出たが、あくまでも中心視されていたのはラガーブラックのほうだったという。

 ゲートが開いて、各馬がややばらついたスタートを切った。絶好の飛び出しで、難なく2番手を進んだのはラガーブラックだった。それとは対照的にオグリキャップは行き脚が今一つで、前半は中団後方を進んだ。

 杉本アナが先頭からシンガリまで出走馬全10頭を紹介した頃には、勝負どころの3コーナーに差し掛かっていた。2番手を進んでいたラガーブラックが苦しくなってやや後退。一方で、オグリキャップは大外を通って一気に先団へと押し上げていった。

「オーっと、外から青い帽子。来た来た、怖いオグリキャップ!オグリキャップが外から来る!」と杉本アナのボルテージはここで一気に上昇。

 直線を向いたオグリキャップは大外に持ち出され、早くも先団を射程に入れていた。先にカメラがとらえたのは、内でもがきながらもなんとか伸びようとするラガーブラック。しかし、カメラが外に振れると、すごい脚で追い込んできたオグリキャップの姿が映った。

「オーっと、外から1頭来たのはオグリキャップか。オグリキャップが一気に突き抜けた!オグリキャップ先頭だ!これは噂に違わない強さ!」

 ゴール前50mは河内騎手も手綱を緩めて流すほどの完勝劇だった。2着のラガーブラックには3馬身差をつけ、ゴール板を過ぎた後、杉本アナは改めて「噂に違わぬ強さであります」と一言、想像を超えるオグリキャップの強さを視聴者に伝えた。

 この勝利を皮切りにオグリキャップは中央で6連勝。当時の競馬の象徴としてタマモクロスやスーパークリーク、イナリワンといった“ライバル”たちとしのぎを削る新時代へと突き進んでいくこととなった。

 中央・地方合わせて32戦22勝という成績を残して90年限りで引退したオグリキャップ。ペガサスSは、まさに伝説の幕開けというに相応しいレースだったのではないだろうか。

(文=中川大河)

<著者プロフィール>
 競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。

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