JRA【アーリントンC(G3)展望】大本命ダノンスコーピオンに「49戦0勝」のジンクス、 武豊デュガには距離の壁……混戦必至のレースを制するのは
16日、阪神競馬場では3歳馬のマイル重賞・アーリントンC(G3)が行われる。3着馬までに与えられるNHKマイルC(G1)の切符を手にするのは果たしてどの馬になるだろうか。早速展望していこう。
出走予定馬の中で頭一つ抜けた実績を誇るのはダノンスコーピオン(牡3歳、栗東・安田隆行厩舎)だ。新馬、萩S(L)を連勝後、朝日杯FS(G1)では、皐月賞(G1)最右翼のドウデュースから0秒2差の3着に入り、世代上位の実力を示した。
ところが今年の始動戦となる共同通信杯(G3)では初の馬券圏外に沈む7着。この時は追い切りの時点で川田将雅騎手が「間に合っていない」、「いい頃の動きまではできていない」と話していたように、状態面に不安を抱えての参戦だった。
その後、陣営は春競馬を全休する可能性も仄めかしたが、最終的にアーリントンCをステップにNHKマイルCを目指すことになった。前走後に川田騎手が発した「1800mは長い」という言葉からも、しばらくはマイル路線に専念するだろう。
次走はともかく、今回は3戦2勝、3着1回という阪神が舞台。いずれのレースでもゴール前の急坂を力強く駆け上がっており、体調面の不安を払拭できれば、ここでは負けられない存在だ。
ただし、ダノンスコーピオンにとって弱点となり得るのが意外にも安田隆調教師のジンクスである。
これまでロードカナロアやカレンチャンなど数多くの短距離チャンピオンを育ててきた安田隆師だが、実は芝1600m以下の3歳限定重賞では勝利がない。意外なことに、ここまで通算49戦0勝という成績である。
一時はクラシック有力候補にも挙げられたダノンスコーピオンはこのジンクスを打破できるだろうか。
ファルコンS(G3)で17着に終わったデュガ(牡3歳、栗東・森秀行厩舎)も、前走だけで見限るのはまだ早い。
昨年10月にデビュー4戦目で勝ち上がると、続く1勝クラスも勝利したデュガ。一息入れて、年明け初戦はクロッカスS(L)を予定していたが、感冒のため出走を取り消していた。
その後は体調もすぐに回復。ファルコンSで3連勝を狙ったが、まさかのブービー17着に大敗した。この時は好位で競馬を進めたが、武豊騎手がレース後、「ハナに行けないともろいですね」と話していたように、やはり逃げてこその馬。
そこから中3週で未勝利勝ちを収めた阪神コースでの一戦は、ハナを奪いに行くことは間違いないだろう。そして、距離克服がやはり課題となりそうだ。
これまでの6戦は1200~1400mを走り、今回が初マイル。距離のごまかしが効かない阪神外回りコースでどこまで粘り込めるか。
奇しくも同厩で、『ウマ娘』藤田晋氏の所有馬、ジャングロが9日のニュージーランドT(G2)を逃げ切り、一足先に重賞初勝利を挙げた。デュガは強運のルーキーオーナーに2週連続重賞制覇を届けることはできるか。
キングエルメス(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)は、昨秋の京王杯2歳S(G2)でトウシンマカオやラブリイユアアイズ相手に完勝した実力馬だ。
レース後に骨折が判明し、休養していたが、先月下旬に栗東に帰厩。NHKマイルCを見据えて、5か月ぶりの実戦復帰を果たす。
すでにG2を勝っているため賞金面の心配はなく、骨折明け初戦のここは大目標に向けての試走となるか。
ジュンブロッサム(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)は近2走の内容が濃い。2走前の共同通信杯(G3)は4着に敗れたが、アサヒやダノンスコーピオンに先着している。また、前走のアルメリア賞(1勝クラス)は2着に敗れたが、勝ったピースオブエイトはその後、無傷の3連勝で毎日杯(G3)を制覇した。今回が初マイルとなるが勝機は十分あるだろう。
タイセイディバイン(牡3歳、栗東・高野友和厩舎)は、デビューから1800~2000mを使われていたが、前走のファルコンSで一気に距離を短縮。これが嵌って、13番人気ながら2着に好走した。阪神コースは3戦して「1-1-1-0」と安定している。ここでも上位争いに顔を出してきそうだ。
この他には、3走前のデイリー杯2歳S(G2)でセリフォスと0秒3差の3着に好走したカワキタレブリー(牡3歳、栗東・杉山佳明厩舎)、デビューからダートと芝で2戦2勝のケイアイオメガ(牡3歳、栗東・梅田智之厩舎)などが出走を予定している。
マイル路線に的を絞ったダノンスコーピオンが真の実力を発揮するのか。それともデュガが距離延長を克服するのか。注目のアーリントンCは16日15時30分に発走予定だ。
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