武豊×藤田晋のNHKマイルC(G1)が「降格危機」奪取のカギ!? エルコンドルパサー、シーキングザパールらも優勝したトライアルの行方
先日、JRAからニュージーランドT(G2)のレーティングが発表された。
何故、春のG1シーズン真っ只中でG2レースのレーティングに注目していたのかというと、実はニュージーランドTが現在G3降格の危機にさらされているからだ。
日本の重賞競走の格を取り仕切る日本グレード格付管理委員会から「警告」があったのは、今年の1月だ。ニュージーランドTは、3歳G2競走に定められている基準値110を3年連続で3ポイント以上下回っていたという。
本来なら、この時点でG3降格が検討されるはずだが、昨年の結果は新型コロナウイルスの影響によって適用外になるという“特例”に救われた。
降格崖っぷちのニュージーランドT
「昨年勝ったバスラットレオンは、今年のドバイでゴドルフィンマイル(G2)を制した馬。世界でもトップクラスの実績を持つ馬ですが、残念ながら昨年のニュージーランドT制覇以降、スランプに陥ってしまって4戦連続で二桁着順の大敗を繰り返してしまいました……。
昨年のニュージーランドTは、そんなバスラットレオンが5馬身もちぎったレースですから、格付委員会としても高いレーティングを付けることはできなかったのではないでしょうか」(競馬記者)
ちなみに昨年のニュージーランドTは、3歳G2競走の110に対して103.5と非常に低い最終レースレーティングだった。適用外になったのは、まさに不幸中の幸いといえるだろう。
その上で、気になるのが今年のレーティングである。
武豊騎手とジャンクロが鮮やかに逃げ切り、『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)で有名な藤田晋オーナーに初の重賞制覇をプレゼントした今年のニュージーランドT。現在のところ上位4頭の平均レーティングは107.25で、3歳G2競走の基準値110には及ばないものの3ポイント以上は下回ってはおらず、まずは一安心といったところか。
「勝ち時計こそ昨年より少し(0.4秒)遅いですが、勝ったジャンクロはすでに中京2歳S(OP)とマーガレットS(L)を連勝していた強豪。さらに2着のマテンロウオリオンも、すでにシンザン記念(G3)を勝利しており、実績馬がしっかりと結果を残したことが大きいと思います。最終的なレーティングは年末に発表されますが、来年以降のことも鑑みれば、少しでも高い値になるといいですね」(同)
ちなみにジャンクロとマテンロウオリオンの次走には、優先出走権を掴んだNHKマイルC(G1)が予定されている。ここで好結果を出せば、さらにニュージーランドTの権威は安泰になるはずだ。
かつてファビラスラフインやシーキングザパール、エルコンドルパサーといった後のG1馬が羽ばたいていったニュージーランドT。降格の憂き目に遭わないためにも、まずは2頭の本番での活躍に注目したい。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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