JRA NHKマイルC(G1)「ハナ差2着」のリベンジへ! 代打の神様・池添謙一が狙う一年越しの大記録に警戒必至!
最大で10連休の史上稀に見る今年のGWも終盤戦に突入、みなさんは充実した連休を過ごせただろうか。
競馬界において、最も充実したGWを過ごしている男は、おそらく池添謙一騎手であろう。連休2日目の先月30日にはダービートライアル・青葉賞(G2)を単勝4番人気プラダリアで勝利、4日の交流重賞・兵庫チャンピオンシップ(G2)でも単勝3番人気ブリッツファングを勝利に導いた。
ここまで現3歳世代のレースでは相次ぐ有力馬の乗り変わりにも泣き、苦戦を強いられてきた感もあった池添騎手だが、連休突入をきっかけに完全に息を吹き返した。
となれば、連休の最後に待ち受けるNHKマイルC(G1)の勝利にも期待がかかる。今回はサウジアラビアRC(G3)で2着の実績がある快速牝馬・ステルナティーア(牝3歳、美浦・木村哲也厩舎)との初コンビで参戦する。
「代打・池添」本領発揮なるか
ステルナティーアは過去の4戦では福永祐一騎手、C.ルメール騎手が騎乗してきた。だが今回は福永騎手がセリフォスに騎乗、ルメール騎手はアメリカ遠征とあって都合がつかず、「代打」として池添騎手が抜擢された。
マイルG1での「代打・池添」と聞いてゾッとするファンも多いのではないか。池添騎手は19年のマイルCS(G1)でインディチャンプに、20年の安田記念(G1)ではグランアレグリアに、それぞれ代打として騎乗して勝利を収めている。
更にこの2戦はそれぞれ福永騎手、ルメール騎手の代打としての騎乗であった。今回のステルナティーアへの騎乗も同様に、福永騎手、ルメール騎手の代打として池添騎手が騎乗する経緯があり、不思議な巡り合わせを感じてしまう。
ステルナティーアは近2走では力を出せておらず、今回は伏兵扱いの評価に留まっている。しかし、近2走はいずれも阪神・マイルでのもの。新潟の新馬戦では3馬身差の圧勝劇、東京のサウジアラビアRCではコマンドラインと0.1秒差の2着と好走している。今回の舞台は得意の左回りであり、美浦からの輸送の負担も軽くなる。条件良化で本来の力を出せれば、世代上位が相手でも侮れない存在だ。
最終追い切りには池添騎手が騎乗し、美浦の南ウッドで3頭併せを行った。馬なりで追い切られたが、鋭い走りを見せてラスト1ハロンでは11.1秒を計測。これには鞍上も好感触を得たようで、会見では「ワンチャンあっていいと思います」と強気なコメントを残した。
実は池添騎手にとって、NHKマイルCは因縁のあるレースである。
昨年の同レース、池添騎手は単勝7番人気のソングラインに騎乗。最後の直線、残り200mで完全に抜け出したが、ゴールの手前で左に若干モタれてしまう。そこを後方から脚を伸ばしたシュネルマイスターに差されてしまい、結果はハナ差の2着に。あと一歩のところで大金星を逃してしまった。
池添騎手にとってNHKマイルCは「3歳G1完全制覇」の記録がかかるレースであった。武豊騎手、福永騎手、ルメール騎手に続く史上4人目の記録達成を寸前のところで逃しただけに、悔しさも相当であっただろう。昨年の“忘れ物”を獲りに行くため、池添騎手も気合が入っているはずだ。
昨年は7年ぶりにG1勝利ゼロの悔しさを味わった池添騎手。先日1300勝を達成した際には「今年は必ずG1を獲りたい」と意気込んでいた。「代打」での無類の勝負強さを発揮して、久しぶりのG1勝利を挙げられるか。勢いに乗る池添騎手とステルナティーアには警戒必至だ。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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