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JRA「1番人気はいらないから1着だけ欲しい」あまりにも有名なダービーの名言、武豊やサイレンススズカも歯が立たなかった二冠馬の圧逃劇

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 ファンが最も勝つ可能性が高いと考えた馬が1番人気に支持される。当然ながら全体的な成績でも抜群の勝率を誇る訳だが、だからとってそれは人間が決めた評価であり、必ずしも勝てるとは限らないのも競馬だ。

 後の三冠馬オルフェーヴルは4番人気、春二冠のメイショウサムソンにしても6番人気で皐月賞(G1)を制している。「1番人気馬が強いのではなく、勝った馬が強い」という事実は今に始まった話でもない。

 ただ、皐月賞制覇で評価の上がった日本ダービー(G1)を1番人気で制したこれら2頭に対し、6番人気で栄冠を掴んだのが、1997年に二冠を達成したサニーブライアンと大西直宏騎手のコンビだった。

 何しろ皐月賞の前哨戦・若葉S(OP・当時)で4着に敗れ、その前の弥生賞(G2)でも武豊騎手が騎乗したランニングゲイルの前に6馬身半も離される完敗。11番人気の低評価を覆して皐月賞を優勝したとはいえ、大穴馬が“たまたまハマっただけ” という評価をされただけに過ぎなかった。

 それまでの8戦2勝という地味な成績からも、たとえ一冠目を制したからといって、この馬が本当に強いと考えた人間は多くなかったはずだ。

 ダービーを逃げ切ったサニーブライアンに対し、1番人気のメジロブライトや、2番人気のランニングゲイルは脚を余す格好で敗戦。直線の長い東京なら捕まえられると考えられていたからである。

 しかし、そんな世間の評価をあざ笑うかの如く、いとも簡単に二冠を達成してしまったのだから競馬は何が起こるか分からない。

「1番人気はいらないから1着だけ欲しい」あまりにも有名なダービーの名言

 逃げ馬にとって、先手を取り切るまでに脚を使わされる8枠18番の大外枠を引く不運もありながら、鞍上の大西騎手の脳裏には逃げの選択のみ。ゲートが開くと一目散にハナを奪うと、最後まで後続を寄せ付けずに先頭でゴールした。

 ちなみにサイレンススズカも同年のダービーに出走していたものの、サニーブライアンにハナを譲って9着。古馬となった翌年に稀代の快速馬として素質を開花させるのは、武豊騎手と出会って以降のこと。当時はまだまだ脆さが目立っていた。

 レース後の勝利騎手インタビューで評価が低かったことに対し、大西騎手が「評価はどうでもよかった。1番人気はいらないから1着だけ欲しいと思っていました」と答えたことも、競馬における名言としてあまりにも有名だ。皐月賞でデビュー18年目にして初めてG1を勝利した遅咲きの苦労人は、同年にダービージョッキーの称号をも手に入れた。

 この勝利でようやく実力が認められたサニーブライアンだが、世間をアッと驚かせた二冠馬がターフを去るのもまたアッという間だった。

 ダービー後の放牧中に骨折が判明し、三冠を期待された菊花賞(G1)の出走は叶わず、翌年に屈腱炎を発症して引退。種牡馬となったものの、産駒の目立った活躍はカゼニフカレテ(愛知杯・G3)、グランリーオ(中日新聞杯・G3)といった程度で、これといった大物は出なかった。

 また、サニーブライアンほどではないが、今年のクラシック戦線も当時と少し重なる部分もある。先週末のオークス(G1)を3番人気で優勝したスターズオンアースは、7番人気で桜花賞(G1)を制して二冠を達成したばかり。

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ジオグリフ

 今週行われる日本ダービーに出走予定のジオグリフにしても、5番人気で皐月賞を優勝した上に、自身のノド鳴りやドレフォン産駒に距離延長の不安もあるため、1番人気はライバルに譲りそうな雰囲気だ。

 もし、スターズオンアースに続きジオグリフも優勝するようなら、コントレイルとデアリングタクトが同年に二冠を制した2020年に続く快挙となる。

 さらに春二冠をいずれも1番人気で制した先輩三冠馬2頭とは異なり、いずれも1番人気にならないままなら勿論史上初。今週末は一体どのような結末が待っているのだろうか。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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