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JRA【日本ダービー(G1)展望】イクイノックスVSダノンベルーガVSドウデュースVSジオグリフ! 3歳牡馬「四天王」が競馬の祭典で激突!

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イクイノックス

 29日、東京競馬場では2019年に生まれた3歳世代の頂点を決める日本ダービー(G1)が行われる。例年通り、主力は皐月賞組となるだろう。

 前走・皐月賞(G1)で1馬身差の2着に好走したイクイノックス(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)が、皐月賞上位勢では最も上がり目が見込まれる。

 昨夏の新馬、秋の東京スポーツ杯2歳S(G2)を2連勝し、注目されたのは今年の始動戦。陣営が下したのは、約7か月の間隔を空けての皐月賞ぶっつけ本番という決断だった。本来なら1番人気に推されてもおかしくなかったが、異例のローテーションと大外18番枠も嫌われたのか3番人気に落ち着いた。

 期待と不安が入り混じる中、五分のスタートを切ったイクイノックス。道中早めに動き、好位を取ると外を通って4コーナーへ。直線は馬場の真ん中を堂々と抜け出し先頭に躍り出たが、ゴール手前で同厩ジオグリフに差し切られた。

 3戦目で初黒星を喫したイクイノックスだが、デビューから手綱を取るC.ルメール騎手が「一番の目標は最初からダービー」と話しているように、皐月賞からの上積みは大。もちろん2400mの距離は未知数だが、父が無尽蔵のスタミナを誇ったキタサンブラックなら400mの延長は歓迎だろう。

 前走後はノーザンファーム天栄で調整し、今月14日に帰厩。1週前追い切りに騎乗したルメール騎手は『サンケイスポーツ』の取材に対して「前走を使ってすごく良くなった。体が大きくなってパワーアップした」と手応えを口にしている。

 陣営の思い描いた通り、イクイノックスは一生に一度の晴れ舞台で世代の頂点に立つことはできるのか。その走りに注目だ。

 イクイノックスと同じくデビュー3戦目の皐月賞で初黒星を喫したダノンベルーガ(牡3歳、美浦・堀宣行厩舎)は、前走4着からの巻き返しに燃える。

 最内1番枠からスタートした前走は、終始内ラチ沿いをロスなく立ち回った。ところがこの日は外伸びが顕著な馬場。真ん中から外を通った1~3着馬とはコース取りが明暗を分ける形となった。

 イクイノックスには0秒2離されたが、馬場の違いを考慮すればダービーで逆転してもおかしくないだろう。しかも、ダノンベルーガはもともと右後肢に弱点を抱えており、2戦2勝の左回り、東京へのコース替わりは間違いなくプラスに働くはずだ。

 そして注目したいのはダノンベルーガの調整過程である。ノーザンファームの生産馬で、普通ならレース間は外厩での調整がメインになっても不思議はない。ところが、2戦目の共同通信杯(G3)の約1か月前に帰厩後は美浦に長期滞在。異例ともいえる4か月以上の及ぶ在厩で調整されたきた。

 堀調教師の徹底管理の下、ダノンベルーガはダービーで夢をつかめるか。

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ドウデュース 撮影:Ruriko.I

 皐月賞でイクイノックスとダノンベルーガの間に入る形で3着に追い込んだのがドウデュース(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)である。

 昨年の朝日杯FS(G1)を3連勝で制覇。最優秀2歳牡馬に輝くと、4連勝を懸けて弥生賞ディープインパクト記念(G2)で始動した。ところが、道中で不利があってクビ差届かずの2着。続く皐月賞では堂々1番人気に支持されたが、痛恨の2連敗となった。

 しかし、前走はダービーを見据える上で決して悪くない負け方だった。鞍上の武豊騎手はハイペースを期待しての後方待機策を取ったが、1000m通過が60秒2というスロー寄りの平均ペース。掲示板を確保した5頭のうち4頭の4角通過順が3番手以内という前残りのなか、ドウデュースは4角14番手だった。それでも上がり3ハロンはメンバー最速タイムを叩き出しており、負けて強しの内容だった。

 今年に入ってから2度の中山遠征を経て、今回は東京への遠征となる。気になる状態面だが、1週前追い切りでは武豊騎手を背に3頭併せで最先着を果たし、タイムも理想的。前走8kg減った馬体重を維持できていれば、巻き返しは必至だろう。

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ジオグリフ

 ここまで皐月賞2~4着馬の名前を挙げたが、もちろん3頭を蹴散らした皐月賞馬ジオグリフ(牡3歳、美浦・木村哲也厩舎)も忘れてはいけない。

 新馬、札幌2歳S(G3)を2連勝後は、朝日杯FSで5着、共同通信杯で2着と勝ちあぐね、皐月賞では5番人気まで評価を落としていた。

 その前走はテン乗りの福永祐一騎手が“我慢”の好騎乗。道中はイクイノックスを先に行かせると、それをマークするように5~6番手を追走した。3~4コーナーの勝負どころでイクイノックスが先に動くと、福永騎手はワンテンポ遅れての仕掛け。結果的にこれが最後の伸びにつながったか。

 当然その勝ちっぷりから2冠を視界に入れるが、クリアすべき課題も少なくない。

 1つは400m延びる2400mの距離。父ドレフォンは現役時代にダートの短距離で活躍したスプリンター。現3歳世代が初めての産駒で傾向はつかみ切れていないが、やはり距離延長はプラスとはいえないだろう。

 さらにジオグリフは「ノド鳴り」の疾患も抱えている。皐月賞の当日は湿度もやや高めで、ジオグリフには良いコンディションだった。ダービー当日の天気、湿度がパフォーマンスに影響が出る可能性も考えておきたい。

 皐月賞で上位4着までを占めた4頭が中心となるが、他の皐月賞組も虎視眈々と逆転を狙っている。

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オニャンコポン

「四天王」に食い込む可能性が最も高いのは、皐月賞6着馬のオニャンコポン(牡3歳、美浦・小島茂之厩舎)か。

 キャリア5戦のうち4戦を中山で走り、1月の京成杯(G3)を制しているため、中山得意のイメージが強い。しかし、唯一東京で走った昨秋の百日草特別(1勝クラス)を勝利しており、コース替わりに不安はない。むしろダービー馬の父エイシンフラッシュと同じ京成杯→皐月賞→ダービーというローテーションなら皐月賞時以上のパフォーマンスを見せつけてもおかしくないだろう。そのユニークな馬名で注目を浴びる存在だが、今回も人気以上の着順に期待できそうだ。

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キラーアビリティ

 皐月賞で4番人気に推されたキラーアビリティ(牡3歳、栗東・斉藤崇史厩舎)は13着大敗からの巻き返しを図る。

 ホープフルS(G1)優勝以来となった前走は、スタート一息で道中も馬場の悪いインを走らされた。やや掛かり気味に位置を上げていったが、直線では息が持たなかった。休み明けを1度叩かれての上昇に期待がかかる今回だが、中間の動きも今一つ。

 光明があるとすれば、春のG1で結果を残せていない横山武史騎手の手腕か。先週のヴィクトリアマイル(G1)では6番人気のレシステンシアを3着に導き、悪い流れをひとまず止めた形だ。皐月賞からの反撃には鞍上の完全復活は欠かせないだろう。

 皐月賞5着のアスクビクターモア(牡3歳、美浦・田村康仁厩舎)は、メンバー屈指の中山巧者として1冠目に臨んだ。好スタートを切ると、内枠を利して鞍上・田辺裕信騎手が逃げの手を打ったが、ゴール前の急坂で力尽きた。それでも人気(6番人気)を上回る善戦を見せ、東京コースでもアイビーS(L)でドウデュースと0秒1差の実績がある。不当に人気を落とすようなら、無欲の先行策で一発の可能性もあるだろう。

 皐月賞以外の別路線組からは3頭の名前を挙げておく。

 NHKマイルC(G1)で2着に入ったマテンロウオリオン(牡3歳、栗東・昆貢厩舎)は、同じ寺田千代乃オーナーのマテンロウレオ(牡3歳、栗東・昆貢厩舎)との使い分けでマイル戦線を歩んでいたが、前走の好走を受けて急遽参戦。ダイワメジャー産駒で、距離克服がカギとなるが、陣営からは「東京なら」という声も聞かれる。

 プラダリア(牡3歳、栗東・池添学厩舎)はデビュー3戦目で未勝利戦を勝ち上がると、続く青葉賞(G2)を好位追走から押し切って2連勝。2400mで勝ち鞍があるのはこの馬だけ。しかも2勝しているとなると、ノーマークにはできないだろう。

 新馬、アルメリア賞(1勝クラス)、毎日杯(G3)を3連勝中のピースオブエイト(牡3歳、栗東・奥村豊厩舎)は、昨年のシャフリヤールに続き毎日杯から直行で戴冠を狙う。もはや死語と化した「関西の秘密兵器」と呼んでもいいかもしれない。メンバー唯一の無敗馬は、強力皐月賞組を相手にアッと驚かせることができるか。

 皐月賞で上位を占めた「四天王」が再び好走するのか。思わぬ伏兵の激走はあるのか。注目の日本ダービーは29日、15時40分に発走予定だ。

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