
JRA日本ダービー(G1)イクイノックス「兄」とジオグリフ「兄」が猛プッシュ!?「東京・芝2400m」を勝ち切った意味と血の勢いに要注目

29日に東京競馬場で行われる3歳牡馬クラシック第2戦・日本ダービー(G1)は、今年も第1戦を戦った皐月賞組が中心になりそうだ。クラシックの王道を歩む彼らの陣営にとって、日本ダービー攻略の最大のポイントは「東京・芝2400m」という舞台だろう。
単純に2400mという距離が未知数ということもあるが、それ以上に各陣営が懸念するのが、直線の短い中山から、直線の長い東京へのコース替わりである。
実際に今年も皐月賞(G1)を制したのはジオグリフだが、日本ダービーでは東京スポーツ杯2歳S(G2)勝ちのあるイクイノックスや、共同通信杯(G3)勝ちのダノンベルーガといった東京コースで高い実績を誇る馬が注目されている。
皐月賞を終えて日本ダービーを迎える約1か月半、各メディアも皐月賞から日本ダービーに舞台が替わることについて各陣営に取材し、熱心な競馬ファンが有利になる馬や不利になる馬を様々な角度から分析するのがある意味、この時期の競馬の風物詩とも言っていいだろう。
そんな中で迎えた今月8日、皐月賞の2着馬イクイノックスにちょっとした“追い風”が吹いた。
お先に「兄」が東京・芝2400mを快勝
「兄のヴァイスメテオールが東京2400mのメトロポリタンS(L)を見事に勝利。兄がキングカメハメハ産駒で、弟イクイノックスはキタサンブラック産駒なので、この結果をそのまま鵜呑みにすることはできませんが、それでも同じ木村哲也厩舎の所属馬ということもあって、陣営にとっては縁起がいいでしょうね。もともと、イクイノックスは皐月賞組でも距離の不安があまりないと見られていましたが、陣営はさらに自信を深めたと思います」(競馬記者)
例えば、今春の大阪杯でポタジェが8番人気の低評価を覆してG1初制覇を飾ると、その翌週には弟のテンカハルが同じ阪神で行われた大阪ハンブルクC(OP)で2着に好走。その2週間後には、やはり阪神で妹のプレミアムスマイルが未勝利戦を5馬身差で圧勝するなど、競馬において「血の勢い」というのは得てしてリンクしていたりする。

そういった観点からもライバルを一歩リードしたイクイノックスだったが、その翌週に今度は皐月賞馬ジオグリフが同じような幸運に恵まれる。兄のアルビージャが東京・芝2400mで行われた緑風S(3勝クラス)を快勝したのだ。
「レースの格こそ、イクイノックスの兄ヴァイスメテオールが勝ったメトロポリタンSの方が上ですが、もたらす『意味』という点では、ジオグリフの兄アルビージャの勝利の方が大きいかもしれません。
というのも、ジオグリフは皐月賞組の中ではどちらかというと距離を不安視されている馬。それは父が米国のダートスプリントで活躍したドレフォンであることに起因していますが、現役時代にマイラーだったモーリス産駒の兄が東京2400mを勝ち切ったことは、陣営にとっても心強いと思いますね」(同)
日本競馬において「東京・芝2400m」というコースは特別な舞台だ。
それは日本ダービー、オークス、ジャパンCという3つの日本競馬を代表するG1レースが行われるコースであることに起因しているが、開催G1の数に反して、G1以下のレースの開催が少ないため、どこか特別感があるのかもしれない。
例えば、NHKマイルCと安田記念、ヴィクトリアマイルという3つのG1が行われる東京・芝1600mは日頃から数多くのレースが開催され、富士S(G2)や東京新聞杯(G3)、サウジアラビアロイヤルC(G3)、キャピタルS(L)といったG1以下のレースも充実している。
しかし、その一方で東京・芝2400mで行われる重賞は、日本ダービーの王道トライアルとなる青葉賞(G2)だけ。オープン・リステッド競走まで視野を広げても、メトロポリタンS(L)が該当するのみだ。
そんな中で、イクイノックスの兄ヴァイスメテオールと、ジオグリフの兄アルビージャがこの時期に東京2400mで結果を出した意味は小さくない。サイン馬券などを嗜むオカルト好きのファンなら2頭には要注意といったところだろうか。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。
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