JRA「ウマ娘」藤田晋オーナーの快進撃に急ブレーキ!? 新人オーナーに降りかかった競馬の“洗礼”…日本ダービー(G1)参戦を見据える使い分けが招いた「2つの悲劇」とは

いよいよ今月末には最大のビッグレース・日本ダービー(G1)を迎える競馬界、昨年6月から続く現3歳世代の戦いも、いよいよ大詰めを迎えている。
現3歳世代の戦いを振り返る中で、大きな注目を集めた人物の1人が藤田晋オーナーであろう。大人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)でお馴染みの株式会社サイバーエージェントの社長としても知られる藤田オーナー、「ウマ娘マネー」を馬産地に還元する形で、各種セールで高額馬を多数購入し話題を集めていた。
その藤田オーナーの馬主デビュー初年度となったのが現3歳世代。藤田オーナーは5頭を保有してその全てが勝ち上がり、更には1年目にして所有馬ドーブネが朝日杯フューチュリティS(G1)に出走、先月にはジャングロがニュージーランドT(G2)で重賞初制覇を果たすなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍をみせている。
しかし、5月に入ると破竹の勢いにブレーキをかける出来事が起こる。NHKマイルC(G1)を巡る所有馬2頭の使い分けが、藤田オーナーにとっての「2つの悲劇」を生んでしまったのだ。
絶好調オーナーにとっての「2つの悲劇」
NHKマイルCには当初、藤田オーナーの所有馬であるドーブネ、ジャングロの2頭が登録を済ませていた。
しかしレース前週の木曜日、ドーブネはNHKマイルCを回避して同週のダービートライアル・プリンシパルS(L)に向かうことが明らかに。馬主デビュー1年目での日本ダービー(G1)出走もよぎったのか、陣営は有力な所有馬2頭をマイル路線・クラシック路線で使い分けることを決断した。
しかし、結果的にはこの選択が裏目となり「2つの悲劇」の発端となる。
予定通りNHKマイルCに出走したジャングロは、単勝6番人気とまずまずの評価を受ける。ジャングロはキャリア4勝のうちの3勝で逃げ切りを決めており、今回も当然のようにレースを引っ張る形になるとの見方が大方であった。
しかし、いざゲートが開くとジャングロがまさかの大出遅れ。最後方から追い込んで7着に食い込み自力は示しただけに、ゲートさえスムーズならば結果は違っていたかもしれない。藤田オーナーにとってはG1初制覇のチャンスであっただけに、まさかの出遅れには頭を抱えることとなったはずだ。
一方で、プリンシパルSに出走したドーブネは抜群のスタートを見せる。内枠を活かして好位をロスなく立ち回る完璧なレース運びをみせていたが、初となる2000mの距離が応えたのか、最後は一伸び足りずに4着に敗れた。
この敗北により、日本ダービー出走は事実上不可能に。逆風はそれだけにとどまらなかったのか『競馬ブックWeb』によると、ドーブネが骨折し放牧に出されていることが示されている。仮に骨折しているのであれば、セールにて税込み5億円超で落札したドーブネの故障は、藤田オーナーにとってもショックな出来事に違いない。
NHKマイルCを巡る所有馬2頭の使い分けが招いた「2つの悲劇」、もちろん出遅れや骨折といったアクシデントは競馬において防ぎようのないアクシデントだが、馬主1年目の藤田オーナーにとっては競馬の手厳しい“洗礼”を浴びた形だ。
だが来月からは2歳馬による新馬戦がスタート、藤田オーナーにとって2世代目となる現2歳世代の所有馬16頭がデビューを控えている。馬主2年目のシーズンは初のG1制覇や、あと一歩届かなかった日本ダービーの出走も狙っているはず、藤田オーナーと所有馬たちによる2年目の前進に期待したい。
(文=エビせんべい佐藤)
<著者プロフィール>
98年生まれの現役大学院生。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。幸か不幸か、進学先の近くに競馬場があり、勉強そっちのけで競馬に没頭。当然のごとく留年した。現在は心を入れ替え、勉強も競馬も全力投球。いつの日か馬を買うのが夢。
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