
JRA武豊「繰り返しの愚行」がダービーVサイン!? スペシャルウィーク、アドマイヤベガ、「僕は帰ってきました」発言キズナに共通していたもの

18日、日本ダービー(G1)に向けたドウデュース(牡3、栗東・友道康夫厩舎)の1週前追い切りが行われ、栗東のCウッドで6ハロン79秒6、ラスト1ハロン11秒2の好タイムをマークした。
1番人気に支持された皐月賞(G1)では、スローペースを味方につけた勝ち馬ジオグリフや2着イクイノックスが、好位からソツのない競馬で好走。これに対し、ドウデュースは、直線14番手の後方からメンバー最速の末脚で伸びたものの3着。騎乗した武豊騎手には、道中の位置取りが消極的過ぎたのではないかという批判の声も出た。
「ポジションが結果的に後ろだったかもしれません。今日は大事に行きました。もっと流れるかと思ったのですが、流れませんでした」
敗戦をそう振り返った武豊騎手だが、コンビを組むドウデュースは、皐月賞前に世界最高峰の舞台といわれるフランスの凱旋門賞(G1)にも登録したほどの逸材。朝日杯フューチュリティS(G1)を制しているものの、G1タイトルを上乗せしたかっただろう。
だが、この敗戦は決して悪い側面ばかりが目立った訳でもない。
武豊騎手としては、マイルG1を勝っただけに血統的にどうかなという疑念もあったようだが、皐月賞の走りで不安も払拭。前走の敗戦で「芝2400mの距離もいける」という感触を掴んだようだ。元々実力はトップクラスの馬だけに、後は騎手次第となるのだが、こちらについても条件はむしろ好転するといっていい。
武豊「繰り返しの愚行」こそダービーVサイン
一部では愚行を繰り返したとまでいわれた皐月賞だが、誤解を恐れずに述べれば今に始まったことではない。
武豊騎手が自身初勝利となった1993年ナリタタイシンでは、直線12番手からの差し切り勝ち。2勝目の2000年エアシャカールも道中は15番手から捲っての勝利。2005年ディープインパクトもまた道中16番手から徐々にポジションを押し上げての勝利だった。
言ってしまえば、皐月賞の武豊騎手はこれらに限らず、大抵後ろからの競馬をする傾向にある。
その一方で目立つのは、次走の日本ダービー(G1)でしっかりと雪辱したケースだ。

天才・武豊でさえ勝てないことが、「競馬界の七不思議」ともいわれた競馬の祭典を初めて優勝したのは、1998年スペシャルウィークとのコンビだ。今年の皐月賞と同じような展開で、好位から競馬をしたセイウンスカイ、キングヘイローに後れを取っての3着に敗れたが、続くダービーで2着に5馬身の差をつける圧勝でリベンジに成功している。
翌年にアドマイヤベガで連覇を達成したが、同馬もまたダービーで後方待機策を貫いての勝利。2013年キズナは皐月賞出走が叶わず、京都新聞杯(G2)経由の参戦となったダービーで末脚を爆発させた。
不振が続いたことで騎乗馬の質が急落し、当時は本人も認める逆境の中で巡ってきたチャンスをモノにし、「僕は帰ってきました」という名言が飛び出した勝利騎手インタビューは、ファンの心を鷲掴みにした。
この他にもダービーで勝利の美酒を味わったパートナーには、タニノギムレットやディープインパクトなどもいるが、小回りで直線の短い中山競馬場が舞台の皐月賞よりは、直線の長い東京コースのダービーを得意としていることが伝わる。
そういう意味ではドウデュースの敗戦は、いかにも武豊騎手らしい負け方であり、ダービーで巻き返す条件にも合致しているのだ。
前走で大事に乗った理由の一つに距離の不安を感じていたというのなら、次はもう少し強気に乗ってくるはず。同じ後方からの競馬になったとしても、過去に巻き返したことを考えれば、それほど悲観する必要はないかもしれない。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。
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