JRA C.ルメール「自信」の1番人気馬に大誤算!? 予約のダービーをまさかのキャンセル、「世代NO.1候補」に訪れた悲し過ぎる結末
29日、東京競馬場では2019年に生まれた3歳世代・7522頭の頂点を決する日本ダービー(G1)が行われる。
26日には18頭の出走馬と枠順が確定。2分の1の抽選はジャスティンロックが突破し、コマンドラインが涙を呑む結果となった。
競馬関係者や、競馬ファンの中でもPOGを嗜む方々にとってはこのダービーが1年の総決算。来週からは2歳新馬戦がはじまり、新たなシーズンのスタートということになる。
思えばちょうど1年前のこの時期、競馬界のニュースター候補として話題を集めていた馬がコマンドラインだった。
「世代NO.1候補」に訪れた悲し過ぎる結末
名門・国枝栄厩舎のエース候補として早くから注目を浴びていたディープインパクト産駒の牡馬は、デビュー前の調教の時点でC.ルメール騎手に「ポテンシャルはとても高い。来年のダービーの予約をしておきます」と言わしめたほどの才能の持ち主。
当然ながら競馬ファンからも相当な期待を集め、JRA-VAN主催のPOGでは全体トップとなる2万5703人が同馬を指名。『netkeiba』主催のPOGダービーでも全体トップの1万7721人が指名と、紛うことなきこの世代のNo.1人気馬だった。
迎えた新馬開幕週の東京・芝1600m戦。過去にはグランアレグリアやサリオスといった大物を輩出してきたレースで単勝1.1倍の支持に応える圧巻のパフォーマンスを見せると、休養を挟んで挑んだ2戦目のサウジアラビアロイヤルC(G3)も勝って重賞を制覇。期待に違わぬ好スタートを切る。
ところが、暮れのホープフルS(G1)では1番人気を裏切る12着と大敗。立て直しに期待がかかった年明け初戦の毎日杯(G3)でも10頭中の8着に沈み、以降は順調にクラシックロードを歩むことができなかった。
それでも陣営はこの馬のポテンシャルを信じ、抽選に賭けてまで生涯一度の大舞台への参戦を表明。しかし、競馬の神様が微笑むことはなかった。
ダービー当日に中京競馬場で行われる3歳リステッド競走・白百合Sにも登録があったが、抽選の結果を受け、クラブ側は今後について「一旦仕切り直し」を表明。なんと次走の候補には7月のジャパンダートダービー(G1)も挙がっているという。
日本ダービーに出走が叶わず、まさか砂のダービーを目指すことになろうとは、1年前にこの馬を指名したファンはもちろん、「ダービーを予約」していたルメール騎手もきっと想像していなかったことだろう。
また、そのルメール騎手にも想定外の事態が襲い掛かっている。26日に発表された日本ダービーの枠順。皐月賞2着馬・イクイノックスと挑む大一番で、与えられた枠番は大外18番だった。
前走の皐月賞も18番枠からの2着だったが、当時の中山・芝コースは内側が痛んだ外有利の馬場。また、先週のオークス(G1)もスターズオンアースとのコンビで18番枠から優勝を果たしているものの、日本ダービーにおける直近10年の18番枠の成績は【0-0-1-8/9】(※昨年はフルゲート割れ)。最後の勝利は2001年のジャングルポケットという“鬼門”である。
出走馬確定、枠順発表の時点から“まさか”の連続となっている今年のダービー。これが波乱の呼び水となるのか、はたまた杞憂で終わるのか。2017年以来のオークス・ダービー連勝に挑むルメール騎手の手腕が試される。
(文=木場七也)
<著者プロフィール>
29歳・右投右打。
本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。
ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。
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