【新潟記念（G3）展望】“善戦マン”ヒートオンビートが中心も混戦模様

　7月10日の七夕賞（G3）から始まった今年の『サマー2000シリーズ』もいよいよ最終戦。9月4日に新潟競馬場で行われるのは第5戦の新潟記念（G3）だ。

　シリーズトップに立っているのは第4戦の札幌記念（G2）を制し、12ポイントを獲得したジャックドール。ただし、優勝に必要な13ポイントを下回っている。

　新潟記念の結果次第でチャンピオンは決まるが、その可能性がある馬を中心に展望していこう。

　まず取り上げたいのは、七夕賞で2着に入り、5ポイントを獲得したヒートオンビート（牡5歳、栗東・友道康夫厩舎）だ。

　前走を含めて、これまで重賞で2着が3回、3着も2回を数えるいわゆる善戦マンのヒートオンビート。2走前の天皇賞・春（G1）では中団からじわじわと脚を伸ばして4着に好走した。勝ったタイトルホルダーには1秒8ちぎられたが、初のG1挑戦で健闘してみせた。

　1番人気に推された前走の七夕賞は、宝塚記念（G1）を除外された影響もあって調整がやや難しかったか。勝ったエヒトに2馬身半差をつけられる完敗を喫している。ただし、勝ち馬とは3kgの斤量差があったため、ハンデ差の縮小が見込まれる今回は逆転も十分可能だろう。

　鞍上は3走前の日経賞（G2）からコンビを組む池添謙一騎手。前走後には「3200mを走った後で、ついていけないところがありました」と一気の距離短縮を敗因の一つに挙げていた。今回は引き続き2000mで、待望の重賞初制覇を狙う。

　七夕賞でヒートオンビートを下したエヒト（牡5歳、栗東・森秀行厩舎）は、前走が5か月ぶりの実戦だった。それまで3度の重賞挑戦は全て7着以下に敗れていたが、斤量54kgも生かして、6番人気で見事な勝利を飾った。

　重賞ウイナーとなった今回は前走から2～3kg増で迎えることになりそう。ただし、前走のレース内容からも、本格化した今なら重賞2連勝のチャンスは十分あるだろう。通算「0-2-1-5」と勝利がない左回りを克服できれば、再びヒートオンビートを破るシーンがあっても驚けない。

　函館記念（G3）3着で4ポイントを獲得しているスカーフェイス（牡6歳、栗東・橋田満厩舎）も今年に入ってから中山金杯（G3）2着、小倉大賞典（G3）5着、大阪杯（G1）では大健闘の6着と力をつけている。

　前走の函館記念では後方インを追走。勝負どころで外に持ち出されると、直線鋭く伸びて3着に食い込んだ。騎乗した岩田康誠騎手は「勝負は3コーナー手前でしたね。内に入れれば勝ち馬のラインで行けたのですが」とコメント。インを突けず外を回さざるを得なかった点を悔やんだ。

　この馬はエヒト以上に左回りコースに課題を残していて、「4-3-1-7」の右回りに対して、左回りは「0-0-0-7」とサッパリ。ただし本格化してからは右回りしか使われていなかったため、ここで大駆けがあってもおかしくないだろう。

　サマー2000シリーズ初出走のフェーングロッテン（牡3歳、栗東・宮本博厩舎）にもチャンスがある。

　3月の大寒桜賞（3歳1勝クラス）で3着するなど、春は1勝クラスで伸び悩んでいた。ところが格上挑戦で臨んだ2走前の白百合S（L）を5番人気で逃げ切ると、続くラジオNIKKEI賞（G3）は中団から直線狭い最内を突いて差し切り勝ち。重賞初挑戦で勝利を飾っている。

　目下の充実ぶりに加え、3歳馬で軽量が見込めることも加味すれば、初の古馬相手でも魅力十分。鞍上は白百合Sで初コンビを組み、2戦2勝と好相性の松若風馬騎手が務める。

　サンレイポケット（牡7歳、栗東・高橋義忠厩舎）は、昨年の新潟大賞典（G3）を制するなど、新潟では崩れておらず、ここでも勝利を狙える存在だ。

　前走の函館記念は5着に敗れたが、57.5kgを背負っており、実績的にも引き続きのハンデ戦で厳しい斤量を課せられるだろう。それでも、秋を見据えて賞金加算は絶対条件だ。

　オルフェーヴル産駒の2頭も不気味な存在だ。

　1頭目は2走前の大阪―ハンブルクC（OP）で約1年ぶりの勝利を挙げたディアマンミノル（牡5歳、栗東・本田優厩舎）。前走・目黒記念（G2）では10番人気という低評価だったが、4角17番手から直線で猛然と追い上げて0秒1差の4着に好走している。追い込みが利く新潟外回りで自慢の豪脚は炸裂するか。

　2頭目のオルフェーヴル産駒はイクスプロージョン（牡4歳、栗東・杉山晴紀厩舎）。昨年3月以降は徹底して左回りコースを使われ続けてきたサウスポーで、目下3勝クラスと関越S（OP）を2連勝中と勢いに乗る。前走は早め先頭から実績馬キングストンボーイなどに競り勝っており、ここでも上位を狙う。

　この他には、3年前の当レース覇者ユーキャンスマイル（牡7歳、栗東・友道康夫厩舎）、昨秋の菊花賞（G1）で1番人気に支持されたレッドジェネシス（牡4歳、栗東・友道康夫厩舎）の友道厩舎2頭も復活を試みる。

　サマー2000シリーズの結果にも注目が集まる一戦は9月4日、15時45分に発走予定だ。