
有馬記念「外枠」引いても買いはどれ? 女傑が強さを証明した大波乱にヒント
今週末25日に開催される有馬記念(G1)。28日にホープフルS(G1)が控えているとはいえ、こちらは2歳限定戦であり、ファンの多くは1年の総決算イコール暮れのグランプリという想いだろう。
ただ、この大一番で出走馬の運命を分かつのが枠順だ。実際、過去10年の有馬記念で8枠を引いた馬の優勝はゼロ。今年の枠順も例によって公開抽選会で確定するが、出走各馬の陣営も出来ることなら外は引きたくないだろう。
そもそもなぜ外の馬が内より不利なのかといえば、人間の陸上競技と違って、競馬は全馬のスタート地点が同じだからである。小回り且つ直線の短い中山の芝2500mが舞台となる有馬記念では、道中でいかにロスのない進路取りをするかもポイント。買いたい馬がいても外枠を引いたらどうしようと頭を悩ませるファンも少なくないはずだ。
21日現在、『netkeiba.com』が公開している有馬記念の単勝予想オッズによれば、イクイノックスとタイトルホルダーが二強を形成しており、ジェラルディーナ、エフフォーリア、ヴェラアズールの順で上位人気となっている。枠順次第で人気の序列に変化もありそうだ。
とはいえ、8枠を引いたからといってノーチャンスという訳でもない。考えようによっては、8枠を引いて人気が下がるようなら配当的な妙味に期待できるメリットもある。今回は上位人気必至の馬で、8枠が問題にならないタイプに注目してみたい。
結論から先に言うと、それは逃げ馬だ。多くの騎手がスタート後に周りの出方を見ながら道中の作戦を考える。ただ逃げ馬に関しては、パンサラッサのような徐々に加速していくレアケースを除けば、テンのスピードに長けているのが特徴。スタートさえ決めてしまえば、外を回ることなく最内を走れるため、外枠のデメリットを相殺できるのだ。

上位人気馬で該当するのはタイトルホルダーな訳だが、今年の宝塚記念(G1)でもハイペースで飛ばすパンサラッサを手応え十分に2番手で追走。芝2200mのレースを2分9秒7のスーパーレコードで圧勝した。
といっても3歳で出走した昨年の有馬記念で5着に負けているじゃないかと、ツッコミがありそうだが、このときはまだ本格化前のタイミング。天敵エフフォーリアがスランプに陥っている状況や同型のパンサラッサの出走がない上、先着を許したクロノジェネシスやステラヴェローチェもいない。春のパフォーマンスを思えば、再び圧勝しても不思議ではないだろう。
女傑が強さを証明した大波乱にヒント
その一方で、警戒しなければならないのは、仮にタイトルホルダーが強過ぎた場合、これをマークする馬が追走で脚を使わされるケースである。その一つとして女傑ダイワスカーレットの圧勝した2008年の有馬記念がヒントになりそうだ。
14頭立てで行われたこのとき、ダイワスカーレットは8枠13番からスタート。ハナを奪うと1000m通過59秒6の怪ラップで飛ばし、他馬を寄せ付けないままゴールまで押し切ってしまった。
そしてライバルと見られていたマツリダゴッホ、スクリーンヒーロー、メイショウサムソンらは激流に飲み込まれた影響もあってか直線半ばで脚が鈍り、無理に追い掛けなかった後方待機策のアドマイヤモナークが2着、エアシェイディが3着に食い込んだ。
1番人気ダイワスカーレットが圧勝した一方で、2着に14番人気、3着に10番人気の大穴が入っている。どちらかというと無欲の好走というか漁夫の利的な決着であり、勝ちにいった馬は、早めに捕まえようとしたことが裏目に出た印象である。
勿論、タイトルホルダーにしても外枠より内枠が望ましいのは確かだが、天皇賞・春(G1)や宝塚記念くらいのパフォーマンスを発揮できれば問題ないはず。もし8枠を引いたとしても苦にしないのではないか。
PICK UP
Ranking
23:30更新「素行不良」で干された若手の更生に関西の大御所が名乗り! 福永祐一を担当した大物エージェントもバックアップ…関係者から「優遇され過ぎ」の声
【NHKマイルC(G1)予想】ジャンタルマンタルは皐月賞の反動があるとみて消し! 出走唯一の連勝馬に着目
横山典弘騎手が若手騎手に「あの乗り方はやめろ」岩田康誠騎手らが実践する「お尻トントン」は、競走馬の負担になるだけ?
- 「シャフリヤールの激走はわかっていた」本物だけが知る有馬記念裏事情。そして“金杯”で再現される波乱の結末とは?
- 浜中俊「哀愁」の1年。かつての相棒ソウルラッシュ、ナムラクレアが乗り替わりで結果…2025年「希望の光」は世代屈指の快速馬か
- 「関東の問題児」がバチバチの叩き合いで痛恨の騎乗停止…被害馬の騎手からもクレーム? 降着の裁決に「迷惑をかけてしまい申し訳ない気持ち」
- JRA「馬が走ってくれません」スタート直後の“レース拒否”に大反響!? 三浦皇成も打つ手なし……未勝利馬がまさかの「自己主張」で1か月の出走停止処分
- 皐月賞(G1)クロワデュノール「1強」に待った!? 「強さが証明された」川田将雅も絶賛した3戦3勝馬
- JRA「一寸先は闇」のような勢力図の激変…注目集めた若手同期の明と暗、あの「お騒がせ騎手」が佐々木大輔に続くブレイク?
- 武豊「こんな馬ではない」アルテヴェローチェ不完全燃焼!レースレベルに疑問残るも…川田将雅「4コーナーで勝つと思いました」の明暗